2011/07/28

門脇厚司(2010)『社会力を育てる』岩波新書


  • 生まれる子供の8割は都市部。生育環境としての都市空間は無機質化・無人化した。
    • 心の中に描く現実の風景が,ガラス,コンクリート,プラスチックなどの材質で組み立てられる。
    • 心の風景の中に,生きた生身の人間が存在しない。
    • 心の風景から,においや温度,変化や腐敗など,物質の変化という有機的要素がない。
  • 人が「私も社会の一員である」という自覚を持つことができるのは,様々な人との好ましいつながりがあり,親しく付き合いつつ,自分のやるべきことをやったり,誰かのためにすることで,誰かに感謝されたり頼りにされたりすることから生じる自尊的な感情があるから。
  • ブルデューが注目したのは家庭の文化資本。家の中の知的な本,高学歴な家族,世界情勢や政治問題の話題が,見えざる資質や性向を作り(ハビタス),それが学校の文化と同質のため,子供が早くから学校の文化に馴染み,学業成績が良くなる。
  • バーンシュタインが注目したのは精密コード。教養ある親の話す言葉に慣れた子供は,ことの成行きを客観的に説明できる。学校の先生が教える言葉が精密コードのため,授業の理解度に差が出る。
  • 階層間の移動が行き詰ったのは,教育が不公平であったからではなく,公平に教育した結果。よって,すべての子供の学力向上をといってもよくならない。人はそれぞれ違う。すべての子に最良の教育を行うほど,先天的な能力ははっきり出る。
  • 互いに違いを認め,そのうえで互いの関係を良くすること。良い関係の中で助け合い生きていくこと。それを当たり前のこととして生きる人間を育てる。教育の在り方の発想をを変えなければならない。
  • ソーシャルキャピタルを構成する要素は,人的交流,信頼関係,互恵性。
  • 社会力の豊かな人間の具体的イメージ。
    • 人間が好き
    • どんな人ともコミュニケーションできる
    • 他の人といい関係が作れる
    • 他の人と協力しながら物事を成し遂げられる
    • 他の人の身になり、立場に立って物事を考えられる
    • 他の人を思いやれる
    • 物事に対して常に前向きに取り組もうとする
    • 何事にも創意工夫を怠らず創造的
    • 自分も社会の一員であるという自覚がある
    • 社会の運営に積極的に関わろうとする構えができている
    • 自分の能力を活かし,家庭・地域・職場で自分の役割を果たせる
    • 社会の改善や改革にも積極的に関わろうとする意欲がある
    • 広い視野から社会の動きや社会の動向を判断できる人間
    • 自分の行動が他の人や社会の動向にどう影響するかを考えながら行動できる
    • 人類社会の将来に常に思いを馳せながら行動できる