2011/07/01

赤林英夫(2008)「競争は教育に有害か?経済学からの再解釈」『労働と社会保障政策のフロンティア』

  • 教師は労働者であり,生徒・保護者を PrincipalとするAgentに過ぎない。しか し,教室内での教師の行動の情報は不完全なため,教育の「成果」に則 した一定の「インセンティブ」の導入が経済学的には正当化される。
  • 教師には金銭的な報酬よりも非金銭的な報酬(表彰制度など) がふさわしいと言われるが,教育分野でこれらのことが実証され ておらず,今後の研究課題。
  • 学校間競争の効果が出てくるためには,教育サービスの供給主体(学 校)が企業のように,教師の採用権と資源配分権を持っているか,需要主体 (保護者)教師を評価し選択することが可能か,少なくともどちらかが必要。
  • 学校や教師自体の質に関する情報がなければ,確かに入学してくる子どもの差異だけが強調され,学校のイメージとラベル付けが行われる可能性がある。
  • 現在のように,教員の配置が,学校ではなく教育委員会の裁量によりローテーション的に管理されていれば,教師自身に「当事者意識」がなく,学校選択が行われても,教育の質の向上も望めず,学校選択制は何の効果もない。
  • 鶏が先か卵が先かという関係は,経済学的には同時決定。
  • 情報開示を教師の 当事者意識と結びつけるためには,「学校」という漠然とした単位ではなく,「教師」の力量が分かるように,情報を作っていく必要がある。
  • わが国の教育に何が欠けているのかをえぐり出すために,PISAなど国際的な序列が必要。
  • 競争原理を教育に持ち込むな」という一点張り,「子どもにもっと競争心を」という安易な市場のアナロジーではなく,競争の本質は「良い教育法や新しい知識を学び,教育の質を向上したいと考えることが競争」。