2011/07/11

矢野眞和(2011)『「習慣病」になったニッポンの大学』 日本図書センター

  • 1975年頃には,男子大学進学率は40%を超えていたにもかかわらず,今の大学はもはや大学ではないと言う意見が流布し,進学率が40%から50%になるまで35年もかかっている。なぜこんなにかかったかの方が疑問。
  • 教育改革の方法論が制度論。今の大学改革の多くは法制度の変更。
  • 大学は,みんなのためにある:大学は,学術の中心として,広く知識を授けると共に,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的および応用能力を展開させることを目的とする。大学はその目的を実現するための教育研究を行い,その成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与するためにある。
  • 過去30年で,家計の教育費負担が上昇したことは,みんなのための大学から学生個人のための大学に変わったことを意味する。
  • 偏差値が大きな力を持つのは,試験の結果が正規分布に近くなっているという経験に基づいている。(最近の調査ではピークが2つ,3つあるというデータもあるようだが?)
  • 進学率が2桁以上になれば,通王に位置する多くの普通の人が進学するようになる。3評定以上が進学するには,7+24+38=69%の進学率。普通の人が増えるだけで,学生の質が低下したとはいえない。
  • 東大生らしくないがほめ言葉になった背景は,60年代にエリート,ノンエリートの線引きと分極化が進むのでなく,2つが溶解してエリートの存在が見えなくなった大衆化。
  • 76年の高等教育の計画的整備についての中で,大都市立地制限がかかることになった。しかし,計画から5年度の進学率を見ると,都市部で抑制,地方では伸びないという結果になり,進学率ブレーキとなる。
  • 合格率が上がると進学率は上がる。授業料が上がるのに進学率が上がるのは,失業率が上がるため。
  • 現在の大学改革は,制度改革から大学の経営努力に移行。政府がやるべきチェックリストを作る形から,それが見つからないので,大学で考える方向へ。
  • 政策を研究する際には,手段として大学を選ぶ人,自己目的な選択をする人の双方が共有できる網をかける必要がある。そこで何のための大学かを,経済生活を強くするため,社会生活を強くするための2つとする。
  • 高卒〜60歳までの賃金が2億5千万円,大卒〜60歳までの賃金が3億2千万円。