高間邦男(2008)『組織を変える「仕掛け」』光文社新書368
- メンタルモデルとは,人が日々判断し行動する際に用いる価値観,世界観,固定概念,枠組みのことを指す。組織やリーダーシップの文献は多数出ているが,従来の枠組みと新しい枠組みが混在し,2つのメンタルモデルが混在して互いに理解し合えない事態になっている。
- 経営トップになりたい人が減っているのは,若い人のやる気が下がったのではなく,若い人の価値観が出世から離れてきていることを示しているだけ。そうしたメンタルモデルでは,トップダウン的リーダーシップやマネジメントは通用しない。
- 変革は辺境から起きる。トヨタの三現主義(現場・現物・現実)スタイルをトップは認めるべき。
- 新しいマネジメントスタイルの前提は,3つの変化(変化のスピードの加速,複雑性の増大,多様性の高まり)。ここでの生産モデルは,参加型(コミュニティ,コラボレーション,自己組織化)が生産的。なのに,マネジメント手法は50年前と同じ(目標のブレイクダウン,進捗管理,評価,処遇・配置・給与)。
- PDCAはマネジャーが回すのではなく,メンバー個人が主体的に回してこそ意味がある。
- 組織を生命体ととらえるなら,人件費は費用に含まない。売り上げー費用=利益+人件費。
- 2-6-2は多様な尺度で考えればよい。業績という単一尺度でみることだけが強調されてきた。多様な強みが生命体としての力を高めて存在を安定化させる。
- ボトムアップがうまくいくには,トップに相当の柔軟性とリスクをとる覚悟が必要。メンバーのエネルギーは8割が組織内に,2割が顧客に向かう。リスクを減らし証拠や最適解を要求するトップでは,ボトムアップは多組織でうまくいったことしか提案されない組織文化を形成する。
- 従来の問題解決手法は,ギャップアプローチ(理想ー現状=課題)。それをうまく行う方法は,フレームワークの活用(4P,3C,SWOT,ABC)。ただし,誤ったフレームを使うと間違った答えをいくらでも出せる。機械の問題はこれで解決できるが,組織の問題にはシステムアプローチがよい。
- システムシンキングは,世の中すべて拡張プロセス(+→+)と平衡プロセス(+→ー)の組み合わせととらえる。
- システムには,家族,組織,他組織,顧客,行政,地域など考える人の認知によって広がる。ゆえに,教養が必要。教養とは,自分が生活者として関わるコアのシステム以外に,どれだけ幅広く自分に関係する周辺のシステムを理解しているかということ。
- 相手といい関係を築くには言いたいことを言い合い,お互いを正確に理解するという考えは幻想。肯定的幻想が好循環を生み出す。幻想が確信を与え,確信が安心感につながる。See HBR 2008.8, Gotman。リーダーシップの役割は,強みの連携をつくり,弱みを無関係にすること。
- ポジティブ・アプローチで組織を変える原則:(1)信頼感のある対話の場をつくる,(2)メンバーの察知力を高める(皿を洗って返すか?),(3)個人を尊敬し,強みを認める(問題解決の責任は問題に気づいた人にある),(4)主体性を引き出す,(5)自他非分離の場をつくる(リストーリー),(6)暗在的リーダーシップでサポートする(リーダーシップは個人能力ではなく組織能力,CCL ASTD Conf. 2003)。
- ハイポイント・インタビューを使った研修ができるとおもしろい。
- 効果がない研修の問題の4割は受講者のレディネス,2割は研修自体の悪さ,4割は研修内容を職場で実践する際の環境の障害(Brinkahof, ASTD Conf. 2007)。
- グーグルは20%,住友3Mは16%,今の業務ではない新しいものを生み出すための時間に使うことの義務づけ。
- 大きなアクションプランはつくらない。小さなアクションプランだけをつくる。そのときに,何を,誰が,いつまでに,どのレベルまで実行するかを明確にする(特に誰が)。
- 「コミュニケーションによる情報共有」というアクションの指標は,週1回の情報交換会の開催ではなく,全員が他のグループのプロジェクトの内容と進捗状況を知っているなど,状態指標。