情報という点から評価の課題をまとめると、使命の複合性、ステークホルダーの複合性、活動の多様性、アウトカム計測の困難さがあるといえる。
- 使命の複合性:教育・研究・社会サービスという組織全体としての複合的な使命に加えて、個々の教員が多面的に関わっており、大学院など教育と研究が不可分な領域もある。他学部への教育参画、学外者との共同研究もある。そのため、その寄与が情報として把握しにくい。
- ステークホルダーの複合性:使命の複合性に関連して、その利益の享受者も複合的である。例えば、教育の直接的受け手は学生であるが、間接的に活用するのはその雇用者であり、学費の負担は多くの場合学生自身ではなくその親と、公的支出を払う社会全体である。また、研究成果も学問領域の知の蓄積だけでなく一部は社会にも還元される。満足度などの調査を行う際には、こうした情報の把握を行った上で行われなければならないだろう。
- 活動の多様性:Boyerによれば、大学教授職の使命を学識(Scholarship)を発見(Discover)・統合(Integration)・応用(Application)・教育(Teaching)することと言う点からも多様であることがわかる。例えば、研究は学問分野によって投入する資源やプロセスが大きく異なり、発表形態も多様である。
- アウトカム計測の困難さ:評価を困難にする点がここであり、例えば教育で明示的に獲得した知識は計測しやすいが、問題を発見・設定して解決する力は計測が困難である。研究面では査読システムが比較的計測として使いやすいが、多様な研究成果の発表形態の一つであり、全てを覆うものではない。まして、研究成果が社会に与える効果などは計測が困難であるし、多くの費用を要する。また、アウトカムの計測にはタイムラグが存在する。教育・研究の成果が即時に現れるとはかぎらないが、長い時間を経て得られたアウトカム情報がどれほどの価値を持つのかというのも問題であり、正確性と迅速性のトレードオフ問題が存在する可能性がある。