今、職員に求められる最も重要な能力は、立案した政策を様々な関係者の利害を調整しながら、理解を求め、了解を取りながら実行に移す「政策実行力」である。
特に、既得権擁護に走る教授会を動かすには、確かな事実とデータの裏付けを持って、教員を説得する力である。
そのため、高い調査力・分析力を持っていることが前提である。
立命館大学大学行政権級研修センターでは、内外の高等教育に関する知識、学内の課題分析と政策の理解、調査・アンケートの実施、具体的な政策提言を行う研究論文、調査統計・統計解析、日本語文章力検定2級、TOEICを1年で修めるプログラムを行っている。
2008/08/25
2008/08/24
吉武博通(2008)「知識基盤社会における大学職員の役割」『大学時報』
職員に期待されるプロフェッショナルとしての役割を、教育研究(客観データの分析とFDの推進)、人的基盤(人材育成・評価システムの整備)、財務基盤(財務戦略の策定)、ハード・ソフト基盤(情報システム基盤整備、効率的な意志決定システム整備)、リレーション(産学連携、地域貢献、同窓ネットワーク、国際連携)の5つで考える。
こうした人材をどう育てるか。第1に、理想の職員像を明らかにして学内で共有すること(ディプロマポリシーと同様)、第2に、理事・部課長のマネジメント能力育成が重要。これらは、OJTをベースに、研修プログラムを組み合わせて育てる(具体策の言及なし)。
これといって新しいことも、具体的な政策や解決策を述べたものではない。
こうした人材をどう育てるか。第1に、理想の職員像を明らかにして学内で共有すること(ディプロマポリシーと同様)、第2に、理事・部課長のマネジメント能力育成が重要。これらは、OJTをベースに、研修プログラムを組み合わせて育てる(具体策の言及なし)。
これといって新しいことも、具体的な政策や解決策を述べたものではない。
2008/08/23
喜多一・井田正明(2003)「大学評価と大学情報データベース」『大学評価』No.3 pp.5-20.
本論文は、大学の評価のための情報活用について述べたものである。論旨として特に重要な点があるというわけではないのだが、本論文なりの評価論について触れた点があるので、ここで簡単にまとめておく。
情報という点から評価の課題をまとめると、使命の複合性、ステークホルダーの複合性、活動の多様性、アウトカム計測の困難さがあるといえる。
情報という点から評価の課題をまとめると、使命の複合性、ステークホルダーの複合性、活動の多様性、アウトカム計測の困難さがあるといえる。
- 使命の複合性:教育・研究・社会サービスという組織全体としての複合的な使命に加えて、個々の教員が多面的に関わっており、大学院など教育と研究が不可分な領域もある。他学部への教育参画、学外者との共同研究もある。そのため、その寄与が情報として把握しにくい。
- ステークホルダーの複合性:使命の複合性に関連して、その利益の享受者も複合的である。例えば、教育の直接的受け手は学生であるが、間接的に活用するのはその雇用者であり、学費の負担は多くの場合学生自身ではなくその親と、公的支出を払う社会全体である。また、研究成果も学問領域の知の蓄積だけでなく一部は社会にも還元される。満足度などの調査を行う際には、こうした情報の把握を行った上で行われなければならないだろう。
- 活動の多様性:Boyerによれば、大学教授職の使命を学識(Scholarship)を発見(Discover)・統合(Integration)・応用(Application)・教育(Teaching)することと言う点からも多様であることがわかる。例えば、研究は学問分野によって投入する資源やプロセスが大きく異なり、発表形態も多様である。
- アウトカム計測の困難さ:評価を困難にする点がここであり、例えば教育で明示的に獲得した知識は計測しやすいが、問題を発見・設定して解決する力は計測が困難である。研究面では査読システムが比較的計測として使いやすいが、多様な研究成果の発表形態の一つであり、全てを覆うものではない。まして、研究成果が社会に与える効果などは計測が困難であるし、多くの費用を要する。また、アウトカムの計測にはタイムラグが存在する。教育・研究の成果が即時に現れるとはかぎらないが、長い時間を経て得られたアウトカム情報がどれほどの価値を持つのかというのも問題であり、正確性と迅速性のトレードオフ問題が存在する可能性がある。
2008/08/22
Yonezawa, A. (2002) "The New Quality Assurance System for Japanese Higher Education: Its Social Background, Tasks and Futuer," Research in University Evaluation, No.2, pp.23-34.
本論文は、日本の大学において評価が必要になってきた背景と、新しい評価システムについて述べることを目的としている。しかしながら、その論旨を一言で述べると、評価のための情報収集の方法を確立し、そのデータベースの活用を早急に進めるべきであるというものにとどまっており、研究論文としてはほとんどインプリケーションのないものになっている。本論文は、大きく分けて(1)質の保証(Quality Assurance)の複雑な文脈の中における大学評価学位授与機構(NIAD)設置の背景、(2)新しい質保証システムのデザイン、(3)大学評価活動の大学へのインパクトについて考察する。
まず、日本の高等教育の特徴であるが、(1)行政組織は欧州型に近い、(2)大学の序列が明確、(3)私学セクターが大きい(この点は韓国も特徴的)という点があげられる。こうした中で、教育・研究・社会サービス活動のQAについては、日本が複雑な背景を負っていることが指摘されている。すなわち、戦後QAの責任は文部省が負っており、大学基準協会は実質的な機能を果たしてこなかったが、その後、質の保証は大学の自己評価が基本であるというトレンド、大学の社会的な存在意義を高める動きとしてJABEEなどに代表される専門団体による認定の動きが現れ、第三者評価の要請とそれを束ねる機関の設立が要請されるに至った点である。評価システムとしてはアメリカ型がよく知られているが、高等教育の制度からみるとイギリス型の評価システムを日本は注目すべきである。
第三者評価機関は(1)教育・研究活動の改善活動と成果を各大学にフィードバックする役割であることと、(2)評価手法の専門職団体であることの二つが求められ、本論文でいうNIADによる新しいQAシステムはこれである。そのために、NIADには大学評価、大学改革と質的評価に関する研究、大学評価に関する情報の収集・分析・公開の機能が付加されている。
次に、評価プログラムについてであるが、前提としてNIADは質保証は大学の自律的な仕事ととらえている。すなわち、自らゴールを設定し、それに基づいて外部評価を行うということである。その評価プログラムは3つのタイプに分けられ、(1)テーマ別評価(特定領域において日本の大学全体を評価する)、(2)専門分野別の教育評価(ミッションが評価の鍵になり、5年ごとに行う。教育の目的とゴール、教育の内容と方法、学生支援・教育成果、社会サービス・交換プログラム、教育の質の向上と改革のシステムの5点を評価する)、(3)専門分野別の研究評価(ピアレビューが質を保証する。研究の目的とゴール、研究の内容と水準、社会・経済・文化への貢献、機関の目的への到達、研究の質を向上させる組織的対応の5点を評価する)とまとめられる。
こうして、いわゆる「機構評価」が行われるようになった結果、NIADは、機関がミッションを明確にし、機関の差別化を図るための高等教育の情報の提供、すなわち、高等教育の巨大なデータベース作りと活用を進めるというインパクトを与えたと論じている。しかしながら、こうした形でNIADの存在意義を主張するだけでは、QAの本質を語っていることにはならないだろう。本論文は非常に重要な問題意識を持っているものの、その論旨が主観的な点と、論旨をサポートするバックが論理性や学術性に欠ける点が非常に悔やまれる。まず、QAにあたって「質」というものをどのように考えるのかという議論が前段階に必要となるだろう。
まず、日本の高等教育の特徴であるが、(1)行政組織は欧州型に近い、(2)大学の序列が明確、(3)私学セクターが大きい(この点は韓国も特徴的)という点があげられる。こうした中で、教育・研究・社会サービス活動のQAについては、日本が複雑な背景を負っていることが指摘されている。すなわち、戦後QAの責任は文部省が負っており、大学基準協会は実質的な機能を果たしてこなかったが、その後、質の保証は大学の自己評価が基本であるというトレンド、大学の社会的な存在意義を高める動きとしてJABEEなどに代表される専門団体による認定の動きが現れ、第三者評価の要請とそれを束ねる機関の設立が要請されるに至った点である。評価システムとしてはアメリカ型がよく知られているが、高等教育の制度からみるとイギリス型の評価システムを日本は注目すべきである。
第三者評価機関は(1)教育・研究活動の改善活動と成果を各大学にフィードバックする役割であることと、(2)評価手法の専門職団体であることの二つが求められ、本論文でいうNIADによる新しいQAシステムはこれである。そのために、NIADには大学評価、大学改革と質的評価に関する研究、大学評価に関する情報の収集・分析・公開の機能が付加されている。
次に、評価プログラムについてであるが、前提としてNIADは質保証は大学の自律的な仕事ととらえている。すなわち、自らゴールを設定し、それに基づいて外部評価を行うということである。その評価プログラムは3つのタイプに分けられ、(1)テーマ別評価(特定領域において日本の大学全体を評価する)、(2)専門分野別の教育評価(ミッションが評価の鍵になり、5年ごとに行う。教育の目的とゴール、教育の内容と方法、学生支援・教育成果、社会サービス・交換プログラム、教育の質の向上と改革のシステムの5点を評価する)、(3)専門分野別の研究評価(ピアレビューが質を保証する。研究の目的とゴール、研究の内容と水準、社会・経済・文化への貢献、機関の目的への到達、研究の質を向上させる組織的対応の5点を評価する)とまとめられる。
こうして、いわゆる「機構評価」が行われるようになった結果、NIADは、機関がミッションを明確にし、機関の差別化を図るための高等教育の情報の提供、すなわち、高等教育の巨大なデータベース作りと活用を進めるというインパクトを与えたと論じている。しかしながら、こうした形でNIADの存在意義を主張するだけでは、QAの本質を語っていることにはならないだろう。本論文は非常に重要な問題意識を持っているものの、その論旨が主観的な点と、論旨をサポートするバックが論理性や学術性に欠ける点が非常に悔やまれる。まず、QAにあたって「質」というものをどのように考えるのかという議論が前段階に必要となるだろう。
2008/08/14
McMillan, M. and Chan, W. (2006) "University Efficiency: A Comparison and Consolidation of Results from Stochastic and Non-stochastic Methods," Edu. Econ., 14
本稿は、カナダの大学効率性推定を事例に、DEAとSFAの結果の違いを検討した大変興味深い分析である。
効率性推定において、どちらのモデルを選択すべきかについては、判断基準がない。そこで、両者の推定を比較して、その特徴を出そうという意図である。
45の大学について、出力変数として理系在学数、文系在学数、修士数、博士数、外部研究費額、教員平均給与額、文系教員の外部研究費獲得件数割合、理系教員の外部研究費獲得件数割合、博士課程を持たない大学ダミーを入れる。入力変数は、総支出のみである(DEAとSFAの比較のために、入力を1変数にしている)。
推定は、外部研究費獲得件数割合を含めるものと含めないものの2種類をそれぞれ、narrowとbroadとしてモデル化する。
結果は、モデルによってかなりばらつきがあることがわかる。結果の効率値ランキングの相関は、どの組み合わせも低い。強いて言えば、narrowモデルの方が一致性が高くなる傾向はある。すなわち、単一の推定では結論を誤る可能性がある。
効率性推定において、どちらのモデルを選択すべきかについては、判断基準がない。そこで、両者の推定を比較して、その特徴を出そうという意図である。
45の大学について、出力変数として理系在学数、文系在学数、修士数、博士数、外部研究費額、教員平均給与額、文系教員の外部研究費獲得件数割合、理系教員の外部研究費獲得件数割合、博士課程を持たない大学ダミーを入れる。入力変数は、総支出のみである(DEAとSFAの比較のために、入力を1変数にしている)。
推定は、外部研究費獲得件数割合を含めるものと含めないものの2種類をそれぞれ、narrowとbroadとしてモデル化する。
結果は、モデルによってかなりばらつきがあることがわかる。結果の効率値ランキングの相関は、どの組み合わせも低い。強いて言えば、narrowモデルの方が一致性が高くなる傾向はある。すなわち、単一の推定では結論を誤る可能性がある。
2008/08/09
里見朋香(2008)「「体験的」大学職員論」IDE No.501
本稿は、本省官僚による大学職員体験論であるが、大変興味深い指摘をしている。
指摘は4点で、大学の自治は教員の自治、事務からは言えない、説明しておかなくていいの?、代理がきかない、である。
そして、SDなどいろいろ言われるが、前提条件が必要であり、職員のエンパワーメント、すなわち、運営に関わる執行部や教員が、職員を大学運営の対等なパートナーとして認めることであると指摘する。
中でも、説明しておかなくていいの?という指摘は、職員のみならず、大学の至る所で見られる。
改革案は、関係差に応援してもらわないといけない。そこで、ご説明が必要で、委員会なら委員の一人一人に出向いて前もって意見を聞いておくことが必要だ。省庁では常識とのこと。下準備をする文化を創らなければならない。
指摘は4点で、大学の自治は教員の自治、事務からは言えない、説明しておかなくていいの?、代理がきかない、である。
そして、SDなどいろいろ言われるが、前提条件が必要であり、職員のエンパワーメント、すなわち、運営に関わる執行部や教員が、職員を大学運営の対等なパートナーとして認めることであると指摘する。
中でも、説明しておかなくていいの?という指摘は、職員のみならず、大学の至る所で見られる。
改革案は、関係差に応援してもらわないといけない。そこで、ご説明が必要で、委員会なら委員の一人一人に出向いて前もって意見を聞いておくことが必要だ。省庁では常識とのこと。下準備をする文化を創らなければならない。
2008/08/07
小田切宏之(2008)「公益事業と競争政策」経済セミナー No.634
1日に100人利用する駅と1000人利用する駅を比べるとき、校舎を10倍大きく作る必要はない。100人しか利用しない駅にも改札口は少なくとも1つ必要で、電車が停車できるプラットホームの長さが必要。すなわち、最低限の大きさが必要。
このため、利用者あたり費用は利用者数が増えるに従って逓減する。これが規模の経済性。
これは、設備を重複して建設・維持することが社会的に非効率であることを意味する。
このため、必然的に独占になりやすく、社会的にも独占の方が効率的になりやすい。(自然独占)
これらは設備を建設・維持するコストが大きく、サンクコストであるため、新規参入が難しい。この状態では、高価格を設定しやすいため、認可を行うなど価格規制を行うことが一般的である。
こうした産業では複数事業間で、範囲の経済性が生まれやすい。
このため、利用者あたり費用は利用者数が増えるに従って逓減する。これが規模の経済性。
これは、設備を重複して建設・維持することが社会的に非効率であることを意味する。
このため、必然的に独占になりやすく、社会的にも独占の方が効率的になりやすい。(自然独占)
これらは設備を建設・維持するコストが大きく、サンクコストであるため、新規参入が難しい。この状態では、高価格を設定しやすいため、認可を行うなど価格規制を行うことが一般的である。
こうした産業では複数事業間で、範囲の経済性が生まれやすい。
2008/08/05
山本眞一(2008)「これからの大学職員」IDE No.501
本稿は、大学職員の能力について述べたものであるが、端的に言えば、大学職員に必要な能力は専門性ではなく、問題解決能力である。
日本では、教員数に比べて職員数が少なく、専門性を主張するほどの余裕はない。
興味深い指摘であるが、問題解決能力と言ってしまえば、それは社会人基礎力であり、あらゆる職種に求められる能力である。本当にこんなことを主張するために、本稿のような文章を書いたのであろうか。
その養成についても曖昧な主張であり、説得力のある論稿とはなっていない。
日本では、教員数に比べて職員数が少なく、専門性を主張するほどの余裕はない。
興味深い指摘であるが、問題解決能力と言ってしまえば、それは社会人基礎力であり、あらゆる職種に求められる能力である。本当にこんなことを主張するために、本稿のような文章を書いたのであろうか。
その養成についても曖昧な主張であり、説得力のある論稿とはなっていない。
2008/08/04
金子元久(2008)「大学職員の展望」IDE No.501
大学職員の展望という題目で書かれた論稿であるが、特別興味深いことを述べているわけではなく、むしろ冗長とも言える内容である。
しかし、一点目を引くのは、日本では将来事務職員(や教員管理職)の専門化は進まないと論じている点である。
現代の大学職員に求められるのは、大学全体がどのような課題を抱えているかを考えるための広い視野、大学がどこへ向かっているかという方向感覚、それを具体的な業務に結びつけていく知恵である。
その形成に向け、人事制度、処遇、能力開発を、組織的・計画的に形成することが、大学に求められている。
しかし、一点目を引くのは、日本では将来事務職員(や教員管理職)の専門化は進まないと論じている点である。
現代の大学職員に求められるのは、大学全体がどのような課題を抱えているかを考えるための広い視野、大学がどこへ向かっているかという方向感覚、それを具体的な業務に結びつけていく知恵である。
その形成に向け、人事制度、処遇、能力開発を、組織的・計画的に形成することが、大学に求められている。
2008/08/03
上杉道世(2008)「トータルプランで職員を変える」IDE No.501
本稿は、東京大学の事務局長であった人物による、同大学の事務職員改革に関する紹介である。
興味深い点は、職員組織の改革では、「全ての課題を一気に示して、同時並行で改革する」という点である。これが、トータルプランという意味であろう。
人事
- 定員管理方式から、人件費管理方式へ
- 統一試験に加え、独自採用試験実施
- 非常勤職員の選考採用
- 大学職員キャリアガイドを作成、将来の希望を書かせる
- 研修は、課題発見解決型
- 若手に新人の採用面接と初任者研修、メンターをさせる
- 幹部職員は学内公募制、論文と面接と業務実勢で判定
- 目標管理方式評価は現在試行中
- 部・課をやめ、全てグループ制
- そのため、決済は立案責任者と承認責任者の2つだけ
- 従来の役職呼称は処遇上残すが、給与体系とは切り離す
- 学内から業務改善案を募集、収益なものを実施し、優秀な取り組みは学長表彰
- 幹部職員行動指針、新人職員応援ブックの制作
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