Ruan, J., Cai, Y. & Stensaker, B. (2023) University managers or institutional leaders? An exploration of top‐level leadership in Chinese universities, Higher Education.
- 中国の大学の二重統治機構=学長と党書記
- 両者は自らのリーダーシップをどう認識しているのか?
- →象徴的より構造的=組織のリーダーよりも経営者の自認(⇔中国外では象徴的次元が強調される)
- RQ
- 中国の高等教育機関のトップレベルの指導者は、自らのリーダーシップをどのように認識しているのか?
- 中国の公立高等教育機関では、どのような配置がなされているのか?
- Bolman-Dealフレームワークは、中国の状況においてどの程度適切か?
- 「中国の特色ある高等教育」=イデオロギー的パラドックス=機関の自律性(グローバル思想)⇔実質的な権限は国家(檻の中のダンス)
- ただし、実態は複雑
- 学長になると、党書記と同じ共生上の地位を得る
- 学長になるには、政府高官と同じ基準を適用される
- しかし、学長はアカデミックに関心、党書記は政治に関心
- 大学長会議の党員は中国共産党大学委員会の委員
- つまり、学術的役割と政治的役割が融合する
- Bolman-Dealの4つのリーダーシップフレーム:リーダーが組織を見る方法、とるべき戦略的行動、役割をどう果たすかのモデル
- 構造的フレーム
- リーダーの優先:目標の明確化、組織構造と環境の整合性、目の前のタスクに適した役割と関係の確立
- 効果的な組織:方針、連携、権限の範囲が明確に定義され、一般に認知されている。合理的な構造が確立されているため、メンバーは自分の義務や貢献を認識
- 人的資源フレーム
- リーダーの優先:メンバー
- 効果的な組織:スタッフが組織に対して献身的かつ忠実であり、彼らの個人的なニーズや目標が満たされる組織
- 政治的フレーム
- リーダーの優先:組織を利益闘争の場として理解(権力基盤を構築し、感受性を発揮しながら適切に権力を行使すること)
- 効果的な組織:政治的現実を認識し、紛争を解決したり対処したりする
- 象徴的フレーム
- リーダーの優先:織をユニークなものにすることに熱中し、その情熱を人々に伝える。
- 効果的な組織:意味を創造し、スタッフに方向性と目的を与える要素を特定すること
- Bolman-Dealの功績は、経営的有効性とリーダーシップ的有効性を統合したこと
- 経営的有効性=構造的志向と密接に関連→リーダーが現状維持を好む→管理者の役割を果たしやすい
- リーダーシップ的有効性=政治・象徴志向と関連→リーダーが変化を好む
- 両方に関連=人的資源
- どのリーダーがマネジメント志向かリーダーシップ志向かを判別するために、このモデルを使った
- 調査設計:6人のインタビュー(全員女性←男性にコンタクトしたがボツ)
- コンビニエンスサンプリング+スノーボールサンプリング:国際会議でアプローチ→個人的コネクションで研究参加
- 1名が学長兼党副書記長、他はリーダーポジションなし(副学長、党副書記長)
- 結果
- 4フレームは全て発現した=リーダーが多様な認知レンズで自分の組織やリーダーシップを捉えている
- 発話頻度:構造が支配的、人的資源が2番目、その他は低頻度(⇔アメリカ・カナダでは象徴的が高頻度)→経営的有効性は高いが、リーダーシップ有効性は低い
- 中国は階層的な社会的価値観=経営慣行が権威主義的になりやすい=組織への信頼が低い→リーダーシップを活用するイノベーションが困難
- 西洋=個人主義⇔中国=集団主義(個人のニーズよりも集団の調和・社会的義務を重視)
- →リーダーは、他のリーダー、部下、利害関係者との関係構築に特別な注意を払う
- 形式上の最高機関があっても、党幹部が出席して合議制の意思決定を行う
- 研究参加者も、アカデミックリーダーと政治家を区別せず、どちらも必要と言う
- →曖昧な二元論は内部対立を生みやすいが、実際にそれを実感している人はいない
- トップリーダーは、学長と党書記を行き来するなど、キャリアの中で流動的、時間の経過と共にリーダーシップのあり方の考えが変化するのではないか
- →Bolman-Dealモデルは、中国の大学を理解するには有用でない
- →制度的視点を取り入れるべき(制度的環境=リーダーシップが組み込まれている政治的領域や統治機構を無視できない)
- →制度論者は、組織的なリーダーと制度的なリーダーを区別している(Washington et al.2008, p.720)
- 前者は道具的に目的を達成することを好み、後者は組織の実践を導く上で核となる価値や規範を重視する