- 経営人材が自律的・協働的に経営を行っていくには、どこに留意し、どんな工夫をすればよいかをまとめた。
- 大学進学率の地域間格差は大きい(東京=73%、青森・岩手=38%)。格差是正は必要だが、大学の戦略として注目すべき。
- 推計は将来予測ではなく、どの程度のインパクトがあるかを知り、どのような対策をとるべきかを検討するために行う。予測が正しいかどうか自体は重要ではない。
- 構成員の課題共有が経営状態の良し悪しに影響を与える。
- 大学経営改善批判:大学の努力が足りないのか、大学の努力を超えた状況にあるのかを検討すべき。
- 公立大学は定員充足の目標を設定しない大学が多い。
- 人件費比率等の経営目標設定は国公立で特に低い。
- 大学全体の授業開講数の検討は、ほとんどの大学で目標設定をしていない。
- 本部・部局のたり取りを熱心に行っているのは国立大学。
- 学部別予算編成・管理は、定員1000人未満で最も実施されている、5000〜10000人で最も実施されていない
- 日本の企業=過剰計画・過剰分析・過剰法令遵守(オーバープランニング、オーバーアナリシス、オーバーコンプライアンス)が競争力を失わせている。分析・管理は、問題の改善ができることもあるが、やりすぎの弊害も大きい。
- アメリカの戦略マネジメント研究:組織文化や風土の観点に注目。暗黙的で潜在的な機能を持つ組織文化がマネジメント改革を促進することも阻害することもある重要な資源。
- 戦略課題について、重要な指標についてはシンプルにわかりやすい数値目標を示すことが有用。
- 年度計画の実質化、数値目標の設定、中長期計画の策定といったマネジメント改革は、組織内の課題共有度を高めることを通じて、経営改善にプラスの影響あり。ただし、小規模大学では明確な関係なし。
- どのようなガバナンスのパターンが日本の私立大学においてみられるのか、どのようなタイプの大学でどのようなガバナンスをとっているのかという「類型化」が重要。
- →学長付帯型、理事長・学長兼任型、経営・教学分離型
- 小規模大学でも努力しなければ課題共有は進まない、大規模大学でも工夫次第で浸透が進む
- 大規模大学ほど数値目標を多く使う。各活動の状況把握が難しいため。
- Keller(1993):各大学の得意分野や個性を明確化することが重要。そのために戦略策定のプロセスを確立することが必要=経営側と教学側の両方がメンバーとなる共同協議会(Joint Big Decision Committiee)を作ることを推奨。
- 失敗する戦略計画:
- 戦略計画の内容の充実度に比して、多くの人間が会合、文書作成に時間を使い過ぎている
- 優先順位や歩み寄りのない各学科による画一的な要求事項の山
- 明確な目標、責任の割り当て、時間行程管理などがなく、現実的ではないもの
- 進行中の事業と戦略計画がつながっていないもの
- アメリカの学長:理事会が承認した方針(財政立て直し、ランキング向上など)を実現できる具体的な政策に落とし込んで実行(人員削減・寄付募集の強化、有名教授招聘、キャンパス整備、授業料・奨学金政策など)
- 学長の時間の使い方:小規模=企業家、中規模=管理者、大規模=政治的指導者
- ガバナンスの原則は公共性と自主性
- これから教員組織を作る=学長付託型、理事長学長兼任型が多い→学部の増設や規模拡大の中で全てに目を配って運営するのが難しくなり、経営・教学分離型へ移行するのではないか。
- ガバナンス改革は手段ではない:教学改革・入試改革などで一定の成果を上げて学内の信頼感を得たところで、必要なガバナンス改革も実現でき、それによってさらに改革がしやすくなるという時間的順序をたどる大学が多い。
- 日本の私学法の特徴:自主的な相互規制という概念を導入=私学の集団としての自主性の意義を考え直す時期に来ている。
- 韓国において、公共性を高めるために、学外者をいれるのではなく、教職員の参加志向を強化したのは非常に興味深い。
- 学長選考過程において、構成員の意見を聞くプロセスがあることは重要であるが、そもそも学長として誰が望ましいのかについての情報を学内構成員は十分に持ち合わせていない。不適の学長を選んだ責任を負うわけでもなく、最終的な判断が構成員の直接選挙に任されているという状態はリスキーと言わざるを得ない。
- →補者の発見・育成、選任、評価という一連のシステムの中で検討する必要がある。まず学長の評価をしっかり行うことが重要。
- 統合では、移籍教員とその処遇問題がセンシティブで難しい。
- 学生調査の共有、教養教育の合同実施、教職員研修の合同実施、事務の共有化は大学単独で実施するよりも、効率も効果も高くなることが考えられるが、自分の大学内でやろうという自前主義が強いため、連携は期待されるほどは進んでいない。
- アドミニストレーダーという用語を用いられることが多いが、幅の広い概念であり、この言葉を使う時には注意が必要:経営幹部・管理職=top-leel admin、教員がプロフェッショナル=middle-level admin は特に区別が必要。
- ミドルアドミニは意思決定に参加しない、この点の誤解が多い。日本の大学職員の方が大学全体の方向性や戦略に対るす意識が高く、様々な場面で影響を与えているのではないか。
- 小規模大学ほど、学長がもっとリーダーシップを発揮すべきだという意見が多い。
- 小規模大学ほど、職員の自己啓発を奨励されていない傾向がある。
- 低偏差値の大学ほど、専門職化の要求が高い。
- 経営人材として大学職員の役割の重要性が高まっていることには間違いないが、大学職員の一般論として語るのではなく、組織特性や管理運営機構を踏まえた議論が必要。
- 授業や教育に対しては、年齢による意識の違いはそれほど大きくない。管理運営に対しても、年齢の高い教員ほど政策などに対して批判の目が向くが、若手教員ほど学内の運営に対しての批判が強い。
- 日本の大学教員はなぜ自営モデルが好き?=自営モデルの居心地のよさ
- 日本の大学教員の多くが、ほかの大学教育のあり方・モデルに触れる機会が少なく、変化のしにくさに影響を与えている。
- 日本はほかの国と比べて教育活動でも研究活動でも他者に評価される機会が少ない。
- 大学の内部組織の作り方にはヨーロッパ的な内部組織である、講座(チェア)とファカルテイと、アメリカ型の内部組織である、デパートメントとカレッジの大きく2つがある(クラーク 1994)。
- 大学改革推進には、ガバナンスよりマネジメント、マネジメントより人材育成が重要。

