阿曽沼明裕(2019)「国立大学の機能強化のための統合・連携」『兵庫高等教育研究』3,47-57
- 名古屋大学の指定国立大学:しばらく進まなかった大学の連携・統合という課題に対して、中央教育審議会や国立大学協会などの談論に沿うとともに、それをリードしつつ、明確な形で大学の連携・統合のモデルを示したことが重要な要因。
- 自律分散型のマルチ・キャンパスシステム:アメリカの大学システムのように大学=機関(キャンパス)の自律的な運営を維持しつつ、各大学(キャンパス)の資源を共有することで、財政的な制約を乗り越えた機能強化を図ろうとするもの。
- 教育研究評議会は各大学
- 経営協議会、概算要求は法人
- 予算編成は法人化前ベース
- アメリカの大学システムは多様
- カリフォルニア:大学の機能分化に応じたシステム化(UCシステム=研究大学群、CSUシステム=教育重視大学群、CCCシステム=短期大学群)。
- ウィスコンシン:研究大学、教育重視大学、CCを含む ← 東海国立機構?
- システムの個別大学に対する統治の強さは、システムを構成する大学によって異なる。(旗艦大学以外は大学の自律性は概して低い)。
- 外部ガバナンス:機関としての大学経営を統治する。
- 内部ガバナンス:部局の経営を大学中央が統治する。
- アメリカの大学システム:理事会(=統治機関(governing body))はシステムに置く。
- 各大学は経営を行い、システムはそれをコントロール(統治)する。
- ⇔ 東海機構は、「法人としての経営と各大学の教育研究が分離される」=経営統合。← 経営とガバナンスの違いが認識されていない。
- アメリカ:理事会が学長を選ぶ(=学長の経営をコントロールする)。
- 日本国立大学:学長が理事を選ぶ(=学長の経営をコントロールする理事会がない)。
- 東海機構には大学経営をコントロールする意味での統治組織がない(実質は文科省?)。
- 研究大学は自律性が高くあるべき。(文科省コントロール下にあり、実態は低い)。
- アメリカは理事会が直接州議会等と交渉する(間に入る文科省などがない=大学が議会に対して自律性が高い)。(←?)
- 経営と教育研究の分離はアメリカの大学の誤解、各大学内にも経営(人事・財務)があり、各カレッジ・デパートメントにも経営がある。
- 東海機構の基本構想:財政難・財政制約からの必要性+大学・産業・地域の好循環モデル
- 説明では後者を強調するが、成果は自明でない。産学連携には集約した窓口が必要という説明は説得力がない。
- まず抵抗の少ないマルチキャンパスシステムで始め、いずれ避けられないスクラップ&ビルドにならざるを得ない。
- 東海機構は、アメリカの大学システムとは違い、ガバナンスと経営の違いの認識がなく、法人統合よりも経営統合に近い、にもかかわらず経営統合のための財務評価もしていない。