2019/05/22

Active Learning That Distracts from Learning


  • 授業に活動を取り入れた結果、学生が活動に注目してしまい、重要な学習内容を身につけられないという事例。
https://www.facultyfocus.com/articles/effective-teaching-strategies/active-learning-that-distracts-from-learning/

2019/05/21

阿曽沼明裕(2019)「国立大学の機能強化のための統合・連携」『兵庫高等教育研究』3,47-57


  • 名古屋大学の指定国立大学:しばらく進まなかった大学の連携・統合という課題に対して、中央教育審議会や国立大学協会などの談論に沿うとともに、それをリードしつつ、明確な形で大学の連携・統合のモデルを示したことが重要な要因。
  • 自律分散型のマルチ・キャンパスシステム:アメリカの大学システムのように大学=機関(キャンパス)の自律的な運営を維持しつつ、各大学(キャンパス)の資源を共有することで、財政的な制約を乗り越えた機能強化を図ろうとするもの。
    • 教育研究評議会は各大学
    • 経営協議会、概算要求は法人
    • 予算編成は法人化前ベース
  • アメリカの大学システムは多様
    • カリフォルニア:大学の機能分化に応じたシステム化(UCシステム=研究大学群、CSUシステム=教育重視大学群、CCCシステム=短期大学群)。
    • ウィスコンシン:研究大学、教育重視大学、CCを含む ← 東海国立機構?
    • システムの個別大学に対する統治の強さは、システムを構成する大学によって異なる。(旗艦大学以外は大学の自律性は概して低い)。
  • 外部ガバナンス:機関としての大学経営を統治する。
  • 内部ガバナンス:部局の経営を大学中央が統治する。
  • アメリカの大学システム:理事会(=統治機関(governing body))はシステムに置く。
    • 各大学は経営を行い、システムはそれをコントロール(統治)する。
    • ⇔ 東海機構は、「法人としての経営と各大学の教育研究が分離される」=経営統合。← 経営とガバナンスの違いが認識されていない。
  • アメリカ:理事会が学長を選ぶ(=学長の経営をコントロールする)。
  • 日本国立大学:学長が理事を選ぶ(=学長の経営をコントロールする理事会がない)。
    • 東海機構には大学経営をコントロールする意味での統治組織がない(実質は文科省?)。
  • 研究大学は自律性が高くあるべき。(文科省コントロール下にあり、実態は低い)。
    • アメリカは理事会が直接州議会等と交渉する(間に入る文科省などがない=大学が議会に対して自律性が高い)。(←?)
  • 経営と教育研究の分離はアメリカの大学の誤解、各大学内にも経営(人事・財務)があり、各カレッジ・デパートメントにも経営がある。
  • 東海機構の基本構想:財政難・財政制約からの必要性+大学・産業・地域の好循環モデル
    • 説明では後者を強調するが、成果は自明でない。産学連携には集約した窓口が必要という説明は説得力がない。
    • まず抵抗の少ないマルチキャンパスシステムで始め、いずれ避けられないスクラップ&ビルドにならざるを得ない。
  • 東海機構は、アメリカの大学システムとは違い、ガバナンスと経営の違いの認識がなく、法人統合よりも経営統合に近い、にもかかわらず経営統合のための財務評価もしていない。

2019/05/13

市川昭午(2004)「高等教育の理論を求めてー天野・喜多村両氏に学ぶ」『高等教育研究紀要』19,262-274


  • 高等教育研究3つの疑問
    • 現実から出発しなかった:大学紛争を無視(内部からの改革運動という希有な事例にもかかわらず)。大学とは何であるかという基本的な問いに答えられない。
    • 理論があるのか:研究が蓄積されたにもかかわらず。政策にグランドデザインがないという前に、グランドセオリーがない。
      • トロウのエリート・マス・ユニバーサルが有名。
    • 論争が乏しい:例えば、女子教育の存在理由など議論されてしかるべき。学会でも論争がない。
  • 歴史と比較の2つの視点は無視できない。
  • 天野歴史研究の特徴
    • 旧制専門学校を高等教育の主流ととらえる(旧制高校・帝国大学を正当とする見方と異なる)。
    • 文部省所管の機関だけを対象としている。
    • 戦時期・大学紛争期の分析を避けている。
    • アメリカを重視して、これを基準に発言。
  • 喜多村アメリカ研究の特徴
    • アメリカを理想的・理念的モデルと捉えている。
    • 日本が遅れているとしながら、どう改善するかを示さない。
    • アメリカを将来予測の目安にしている。
  • 重要な論点
    • システム論:高等教育システムは社会に開かれているべき⇔サブシステムだから完全閉鎖はあり得ない&開かれすぎて自律性を失い、システムといえなくなる方が問題。
    • 学校化論:教育不在を批判・大学の学校化の必要性を強調⇔研究の自由を制約する&教育に力を入れたからといって学生が勉強するようになる保証はない。
    • 自己規制論:外部介入を避けるため大学は自ら変革すべき⇔大学評価の理論も方法も確立されていない。
    • 企業体化論:大学が企業体化することは避けられない⇔既に企業化している。
    • 未来論:高等教育の合理化が進むとゆとりや柔軟性、創造性が失われる。
  • 大学人のあきらめ。抵抗精神のなさが急ピッチの改革を可能にしている。
  • 大学に改革はなじまない。大学が変わるのは、個別の人間の選択や決定の積み重ねがもたらすゆっくりとした変化の過程を通じてである(天野)。

2019/05/12

羽田貴史(2019)『大学の組織とガバナンス』東信堂


  • 高等教育の組織に関する議論の問題
    • ガバナンスと組織を分けて論じる
      • 大学の組織構造の二重性:水平的学術機構・階層的管理構造(Peterson 2007)。
      • 70以前:官僚制モデル(閉鎖組織モデル)→70年代:オープンシステム→80年代:文化モデル・マトリクスモデル・サイバネティックモデル→企業家モデル(資源減少による)。
    • 組織構造とガバナンスの相互依存性を論じていない。
    • ガバナンスとマネジメントを区別していない。
      • ガバナンス:権限と責任の体系
      • マネジメント:ガバナンス構造のもとで目的を達成する作用
      • →組織パフォーマンスを改善したい:権限と責任を組み替えればよいか?運営手法を改革すればよいか?で異なる。
    • 普遍的に有効なガバナンスモデルはない。
  • マネジメントの課題をガバナンスで解決する主張の繰り返しが問題。
  • 組織が効率的に作動しないのは、問題を分割して把握し、断片化して扱うため(センゲ)。



  • Peterson & Mots(1987)
    • ガバナンス:意思決定の構造とプロセス
    • マネジメント:決定を実行し、職務を果たす構造とプロセス
    • リーダーシップ:個人が決定に影響を与える構造(地位・組織・役割)とプロセス
  • クラークのトライアングルモデル
    • 業務の特質に応じた統合と信念が理論的根拠。機関内の各階層で異なる価値体系が行動様式を決定する。⇔ システムレベルでの市場統制への移行を根拠づけるものと理解されがちだが。
  • 大学と営利企業の違い:教員と職員の役割が区分され、権限と責任が分担されていること(Bess & Dee 2012)。
  • 今後の研究課題
    • 複雑系組織としての組織研究:単一原理と考えるべきでない。さまんざまなコンフリクトを処理するマネジメント論の構築が必要。
    • マネジメントの多様性:大学は二重の権限体系を持たざるを得ない。この側面がシェアドガバナンスと表現されている。
    • グローバル社会は国民国家の弱体化をもたらす=市民教育の再構築が求められている。日本の高等教育はこれを研究していない。
    • 教育マネジメントの研究:正課中心からキャンパス全体の学習経験への転換。
    • 学修成果測定=高等教育の画一化・標準化をもたらし、学生のプライバシーを危うくする。
    • 認知科学、学生発達理論研究が不足。



  • 組織分析には、(1)業務と組織の関係性、(2)構造、(3)ガバナンスの3つを包括する理論が必要。
  • Clarkトライアングルモデル:システムレベルの登記構造の類型ではない。機関の各レベルで権威構造が異なることを示したもの(講座レベル=専門・個人・同僚支配、機関レベル=理事会権威・官僚性的権威が機能する、2つのレベルでは統合の要因がことなる)。
  • 優れたマネジメント:構成員のモチベーションを高め、能力を引き出し、組織の価値を共有させるマネジメント。
  • FDに組織社会性開発が欠落している:組織改革の必要性を認めながら、身体化された行動様式が裏切る状況→多様な組織移行モデルが提示されるべき。単に教育研究組織分離をすればいいというものではない。



  • 国立大学法人法:法人の組織・運営を定める法律。国立大学の組織や活動を直接定める法律ではない。私立学校法も同じ。大学(教育研究組織)は、学校教育法などに基づき、各法人が学則で定める。
  • Clarkの企業的大学の5つの特徴
    • 強化された運営コアの成立:企業モデルの大学運営、学長への権限集中。
    • 周辺組織の発展:学部中心→外部連携組織中心(&マトリクス化)
    • 基盤となる自由裁量資金の保有:交付金中心→外部資金中心
    • 中心地の促進:企業的になりやすい分野(理系など)を促進、文系軽視、企業的性格は学内に不均等に現れる。
    • 統合された企業的信念:これらの思想が信念となり、文化として大学内で正当化され、再生産されていく。
  • 集権的分権化:同僚制の大学に企業的執行体制が浸透→大学への分権化と大学内の分権化が進む=資源配分がパフォーマンスベースになる→あるユニットの成功が他のユニットの不成功をもたらす。
    • つまり、中間組織で分権化が進むと、組織内の資源配分の不均等が進み、その不均衡を是正するために機関レベルの強力な集権化が必要になる。
    • → 内部組織にインセンティブと権限を与えると同時に、中央の影響力を残すシステムが必要。



  • 職員の専門職化論
    • ジェネラリストは育たない(教員がそうであるように)。
    • 教員を雑務から解放するという論理は、ユネスコの地位勧告に矛盾する。
    • 大学教員の参加が不効率という根拠はない。
    • 教員にありすぎるものが職員になく、職員にありすぎるものが教員にない。
      • 教員の考えるよい管理者=自分の思考様式にあった組織を作る、規則に縛られずに活動を思いつく
      • 職員の考えるよい管理者=規則を守る、リスクを比較衡量する
      • →いまのまま職員の専門性を高めると、学長の思いつきを具体化するのがよい職員になってしまう。
      • →大学管理者としての教員を見直してから職員の管理者を考えるべき。



  • 職員論の問題
    • 教員支配と職員という構図を過剰に強調:事務組織は実質事務局長が統括し、学長も権限が及ばないのが実態。
    • 教育・研究事項が教員の責任で決定されるのはおかしいことではない。
    • 専門化を万能処方箋とする:セクショナリズム、特権化などの課題を考えていない。
    • 人事制度と一体に論じなければ、職員の役割や専門性を具体的に考えられない。
    • 新たな価値を生み出す現場の在り方として職員論が進められていない。

2019/05/11

野口寛樹(2008)「NPOにおける組織ルーチンの生成プロセス」『經濟論叢』182(5-6),627-648


  • NPO法人は継続が重要。社会からの信頼が高まり、新たな展開のため。
  • →継続に必要な組織能力を持つために、組織で共有された活動パターン・ルーチンは何か?
  • 自主性・自発性=既存の組織論で説明できない。
    • ミッション重視、非官僚的システム、環境から強い影響→本稿は自主性・自発性に着目。
  • 個人の自主性・自発性が尊重される組織で、個人を組織運営にどう参加させるか?
  • NPO2分類:問題解決型(社会へ向けた活動)と存在重視型(自分たちのための活動)(松本 2006)→ 前者の方が高い組織能力が必要。
  • 組織ルーチン:効率性、複雑性、環境圧力における問題解決の視角を提供できる。
    • 8つの特徴:集合的な行動などのパターン、繰り返し・再現性がある、集合の現象である、意識せずできるものと努力して達成したもの、過程をさすもの、組織や構造に埋め込まれているか状況に特定的なのもの、経路依存するもの、二者間の相互関係また外部から影響を受け変化するもの 
      • → 行動規則・再現可能な相互関係のパターン、認識的な規則・一般的な運営手続・ルール、知識や記憶の3つに要約可能
    • 6つの組織への影響: 調整と管理、休止状態を作る、非ルーチン作業ができるように認識できる潜在能力を高める、不確実性を減らす、安定性、知識の貯蔵庫
      • → 調整、安定性、意識下にあるもの、知識・特に暗黙知を持つの4つに要約可能
    • 3つの生成:組織学習(成員聞の相互作用パターンから形成される共通の反応パターンの学習)、戦略論(組織全体の持つ組織ルーチン及びその活用能力)、解釈論パラダイム(質的学習論)
      • → 刺激−反応から生成されるルーチン(構造)、相互学習を通して生成されるルーチン(プロセス)の2つに要約可能
  • ルーチン生成過程モデル:明示的とパフォーマティブの2つの間の循環で生成
    • 循環に必要な3指標:実践主体、権力、主観性
    • 生成の促進(明示→実行):方向付け、参照する、報告する
    • 実践からのフィードバック(実行→明示):繰り返しする、使用し続ける、修正する
  • トップのルーチン生成
    • 厳しい仕事を率先して行う背中を見せる。→ 参加者の自主性が伸びる。
    • =パフォーマティブな面からメンバーが学習を行い、明示的な面へ変換される。
  • 参加者の理解:18名への聞き取り調査
    • 必要性の理解が参加理由であることをデータで確認。
  • 結論:トップがメンバーに学習を促し、ルーチン化させている。
    • 創生期NPOのルーチン生成として。

2019/05/10

Robert Ubell (2016) Why Faculty Still Don’t Want to Teach Online


  • 教員のキャリアが研究業績で決まる状況において、教員がオンライン教育に関わるモチベーションを持つだろうか?
  • もちろん教育業績は評価されるが、教室の授業をうまくやることが評価されても、オンライン授業まで評価されるか?
  • こうした教員のオンライン教育への関心の低さは調査でも裏付けられている:なぜオンライン教育を渋るのか→学生とのインタラクションが減るから、体面授業と同等の質が保てないから(ビジュアルサインがないために)。
  • 威信の大学ほど、オンライン授業へのサポートが手薄。自分もいいオンライン教育の経験がないので、否定しがち(逆に経験すると抵抗も小さくなる)。
  • 技術的・教授法的支援が少ないということも教員の不安の1つ。
  • 最も教員が恐れるのは、コントロールを失うこと。通常授業は、授業計画、教材準備、課題を教員が用意するが、オンライン授業は専門化や支援者の介入を招いてしまう。
  • 経営側はオンライン授業を低コストで多数を教えられる方法と考えがち(実際低コストで教えることは可能)。さらに、オンラインで学ぶ方が成績がよいという研究も一部にはある。
  • しかし、教員のネガティブな態度に寄り添うことに失敗してきた。
  • 対面教育で優れた教員はオンライン教育でも優れている。学生の心境に入り込み、彼らの困難を理解し、自分が学生の時の苦労を思い出している。
  • また、講義をALにするのは完全に新しい授業を作るのと同じ(Craig 2014)。これまでの授業をオンラインにするのは転換ではなく、新しい国で生活したり新しい言語や文化を学ぶのと同じ。
  • まず教員がオンラインで学ぶ経験をすべき。長所がわかれば抵抗は大きく減る。
  • 対面かオンラインかという議論をやめて、ALを支援する優れた教授法を支援すべき。
https://www.insidehighered.com/advice/2016/12/13/advice-faculty-members-about-overcoming-resistance-teaching-online-essay

2019/05/09

Jacobi, L. (2016) "The Trifecta Approach and More: Student Perspectives on Strategies for Successful Online Lectures", inquiry in education, 8(2),


  • オンライン講義が効果的か非効果的かを論じた研究は多いが、何がオンライン講義を効果的にするかはよくわかっていない。これは、今までの研究が単に対面講義をオンラインに置き換えてきただけだから。しかし、そもそもオンライン講義の戦略は異なるはず。
  • 即時性:コミュニケーション態度が親密さと非言語反応で促進される。オンラインでも存在することを確認した研究は多い。
  • Teaching presence:双方向性・即時性と合致する概念。授業内容の選択、構造化、提示と学習活動・評価課題の開発を含む概念。
  • これ以外にないのか?これを学生面談を通して探求する。
    • この授業で最もよかった点は?、悪かった点は?、授業は効果的だったか否か、または対面と同等か、それはなぜか、何が効果的にしたか?、他のオンライン授業とどう異なっていたか?の4点を質問。
    • コーディングで5つのテーマを生成:3連アプローチ、講義の振り返りの容易さ、講義の簡潔性、重要な点のハイライト、事例の活用。
  • 3連アプローチ:スライド、音声、テキストの同時活用。授業にいる感覚を得るのに重要な要素。
  • 振り返りの容易さ:止める、巻き戻す、見直すが必要に応じてできること。
  • 簡潔性:簡潔、単純、限定されていること。20分以上はだめ。
  • ハイライト:授業目標到達に何が重要かわかること。
  • わかりやすい事例:概念を理解するための具体例・生活活用例がある。
  • 学生が効果的でないというもの:テキストとの関連がわからないこと。
  • どっちが効果的かについては、プラス、マイナス、イーブンどれもある。

2019/05/08

Sheikh, A. and Aghaz, A. (2019) "The challenges of the faculty members’ commitment: The role of university brand", Higher Education Quarterly, 1-16


  • 専門コミットメントが高いほど、組織コミットメントは高まるか。大学ブランドは組織コミットメントを高めるかを実証。
  • 組織コミットメント:Allen and Meyer's (1990) scaleで測定。
  • 専門コミットメント:Meyer et al. (1993) で測定。
  • ブランド:Mael and Ashforth (1992)で測定。
  • 結果は、専門→組織のインパクトより、専門→ブランド→組織のインパクトの方が大きい。

2019/05/07

Miller, G. (2019) "I’ll Know One When I See It: Using Social Network Analysis to Define Comprehensive Institutions Through Organizational Identity" Research in Higher Education,


  • IPEDSのベンチマークデータを使って、どの機関がどこを比較対象としているかのネットワーク関係を実証分析。

2019/05/06

Rose, M. (2018) What are some key attributes of effective online teachers? Journal of Open, Flexible and Distance Learning, 22(2), 32-48.


  • 5人の効果的なオンライン教育を行う教員への質的調査。
  • 構造化質問
    • 質の高い教育はどのようなものだと考えますか?
    • どのような特徴や要素が効果的なオンライン教育につながると考えますか?
    • ご自身が効果的だと考えたオンライン教育について説明してください。
    • 効果的なオンライン教育を行って得られた知見や教訓を教えてください。
  • 知見1:講義中心を避ける
  • 知見2:教授法を変える
    • チャンクを作る、80秒の映像にする。
    • 短い講義、ウェブサイトへのジャンプ、鍵となる数問のクイズ、チャットフォーラム。
    • 学生は一人で考えてから複数で考える経験をしないと深く内容に関与できない。
  • 知見3:価値ある失敗をさせる
    • 学ぶ前に問題に取り組んで、稚拙・間違った考えで挑戦する。コンテンツを学んだ後で、より高次の問題に取り組む。
  • 知見4:学習を促す
    • 学生を一人にせず、オンライン上や対面上でつなげる。教員ともつなげる。
  • 知見5:シームレスな構造をつくる
    • 学ぶ内容が構造化されている、体系的で、論理的で、次に学ぶことが予想できる構造になっている。

2019/05/05

渡辺伊織(2019)「大学ガバナンスの概念に関する試行的検討」『大学経営政策研究』9,213-228


  • 産業界・政府の考えるガバナンス ≠ 大学人が考えるガバナンス
  • 政治学・行政学:
    • ガバメント:統治の主体に着目する語(単一の統治機構を表す語)
    • → 統治に関わるアクターの拡大 → 統治の関心がプロセス(アクター間の調整)に移る = ガバメントからガバナンスへ
  • 経営学:
    • ガバナンス ≒ コーポレートガバナンス
    • 狭義の意味:企業内の内部統制システムやその構築(=PAによる監視・統制) → 関心がプロセスへ広がる
  • 大学:
    • 内的な政治的利害関係から、高等教育形成に決定的な役割をはたす、より広い政治的ダイナミクスや政策形成へと移行(Gumport 2007)
    • 同僚性と連邦国家的性格による内的多様性が重要
    • Kerr(1963)のマルチバーシティ:ユニバーサル化で様々なコミュニティを内包することで一貫性が低くなった = マルチバーシティ内の独自の価値観を持った多様なコミュニティの活動に共通点なし
    • ガバナンスの主体:AAUP 1966宣言(教員団の大きい影響力)⇔ 2015 学校教育法・国立大学法人法改正
  • → 大学組織モデル:クローズドシステムからオープンシステムと考えらえるようになった = 学外の多様性やステークホルダの存在が強く意識されるようになった(政治学・行政学、経営学と似ている)。
  • 両角(2018):ガバナンス=意思決定の構造とプロセス、マネジメント=意思決定を実施するための構造とプロセス、リーダーシップ=個人が意思決定に影響を与えようとする構造とプロセス
  • 共通点:組織内部の多様性に根本的関心がある
  • → ガバナンス概念を支える重要な要素
    • 多様性:特に内的多様性
    • 意思決定:問題の認識と解決策の選択
    • 調整:多様性のある組織を方向付ける
    • ダイナミクス:意思決定のプロセスに注目する
  • ガバナンスは多様性を内包する概念 ⇔ トップダウンという語との併用は矛盾になる
  • 意思決定の研究:規範的(良いとされる意思決定を達成する方法を説く)と記述的(人間が実際に行う意思決定を説明する)がある
  • 集団的意思決定:定型的と非定型的がある
  • 意思決定の重要なモデル:IDC(Simon 1947、Intelligence-design-choice)
  • 良い意思決定の見方(印南 1997):質、スピード、満足度・受容度(3つのバランスをどの程度求めるかは問題によって異なる)
  • 限定合理性への対応:(1)プロセスの洗練化、(2)集団化による認知能力の拡大
    • (1)適切なメタ意思決定が必要(=プロセスや方法に関する意思決定、意思決定の目的設定を含む)
    • (2)メンバーの異質性が異なる側面から問題を捉え、認知を変革することで良い意思決定に至る
  • ガバナンスと意思決定は一体的に捉えるべき:ガバナンスの成果=意思決定、実際の意思決定=ガバナンスを構築・改善する材料
    • この点に関する研究が不十分