石川淳(2016)『シェアド・リーダーシップ』中央経済社
- リーダーシップ=職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力
- 持論=有効なリーダーシップを発揮するために必要な態度・行動について、その人なりに持っている、明示的・暗黙的な自分独自の信念
- 持論が優れている理由
- 応用が容易
- 自らの性格や能力に基づいている
- 状況に基づいている
- 持論を鍛える=様々な場面に適した持論を持ち、自らの持論に対する自信を深める+リーダーシップ自己効力感を高める
- 自己効力感=思い込みではなく信念、根拠のある心からの自信
- 理論=持論を言語化できる+経験で得られない考え方を得るために必要
- 聖路加の職員は、全員1週間のオリエンテーションで救急治療を学ぶ=全員がリーダーシップを発揮する素地を作る
- シェアドリーダーシップの特徴
- 全員によるリーダーシップ
- 全員によるフォロワーシップ
- 流動的なリーダーとフォロワー
- マネジメント=人を通じて・人とともに、物事を効率的・効果的に成し遂げるプロセス
- 計画、組織化(役割分担・指示命令・報告ルート)、リード(モチベート・方向提示)、コントロールの4つが重要な役割
- 変革型リーダーシップ(フォロワーにビジョン・新しいやり方を示し、働く意義を伝え、個別に育成する)は、カリスマ型リーダーシップに似ている。
- フォロワーに受け入れられなければ自己満足に過ぎない。
- ケリーのフォロワーの分類
- 横(フォロワーとしての役割を果たす):消極的⇔積極的
- 縦(フォロワーとして自ら考える):独立的・批判的⇔依存的・無批判的
- 積極・独立批判=模範的フォロワー(チーム・目標へのコミットが高い)
- 消極・独立批判=独自フォロワー(一人で仕事してしまう)
- 消極・依存無批判=受け身フォロワー(指示待ち族)
- 積極・依存無批判=順応的フォロワー(指示以上をする使いやすい人)
- TMLQ(team multifactor leadership questionnaire):シェアドリーダーシップ尺度
- シェアドリーダーシップが効果的な対象
- メンバーの職務態度(=対象や出来事への評価、ex. 職務満足)
- メンバーのモチベーション(=仕事そのものと人間関係の満足が上がる)
- 職場にもたらされる能力・情報量(コミュニケーション活発化→共有情報増加→コンテクストの共有化)
- 職場の成果
- シェアドリーダーシップが効果的な状況
- 職場を取り巻く環境(技術環境・競争環境)が曖昧(=試行錯誤が必要な環境)
- 成果として創造性が求められる(個人が創造性を高めるには、専門的知識・技能、フレキシブルな認知能力、内発的モチベーションの3つが必要)
- 対応として素早さが求められる(権限委譲、情報・能力が必要)
- メンバーの専門性が高い
- シェアドリーダーシップの3つの誤解
- リーダーシップは権限に依存している ← そもそも影響力には5つの源泉がある。権限だけから発揮されるのもではない。
- 全員がリーダーシップを発揮すると混乱する ← 混乱の原因は不適切なリーダーシップが発揮されていること(=問題にアプローチしないリーダーシップ)。
- 適切な判断には、メンバーが方向性(ミッションやビジョン)、状況(生じている問題)、他のメンバー(メンバーの得手不得手や感情、進捗状況)、自分(自分の得手不得手や役割)の4つを把握していればよい。
- 誰もがリーダーシップを発揮できるわけではない ← ここでの考え方はパーソナリティ・ベース・リーダーシップ。カリスマではない。
- 同じ経験をしても、学習には差がある。それがリーダーシップの持論の豊かさの差になることはある。
- 日本は権力格差の受容度が高い=権限に基づくリーダーシップを考える傾向がある。
- それでも日本の職務概念は、担当が明確でないものがある構造。
- 職務範囲を曖昧に捉えている日本企業は、潜在的にシェアドリーダーシップの発揮が求められている。
- シェアドリーダーシップの状態を出現させるには、分化と統合の状態を同時に達成することが必要。
- 分化を促進する要因:自己効力感、パーソナリティ・ベース・リーダーシップ、多様性を認める風土。
- 自己効力感は、達成体験、代理経験、言語的説得、生理的情緒的高揚感の4つで高められる。
- PBLのベースになる強み:性格(自己監視性=自らの行動を客観的に見る傾向+ビッグ5=外向性・感情の安定性(ストレス耐性)・協調性・慎重さ(几帳面・我慢強さ)・経験への開放性)を知り、強みを生かす。⇔マネジメントは弱みの克服も必要。
- 異質性を排除する要因に配慮して多様性を確保する:ハロー効果(偏った印象だけで判断する)、情報不足(知覚的バイアス)、自己利益の損失(自分が大事にする考えや価値観が否定される可能性)。
- 統合を促進する要因:目標の共有化、視点の変化(上下両視点の獲得)
- 5つの要因が重要:制度、儀式、シンボル、言語、公式リーダー
- 目標の共有化:メンバー全員が目標達成を重要だと考え、そのために貢献したいと思うようになること。そのためには次の3つが必要。
- 目標の重要性:組織にとってミッションやビジョンがどう重要か、個人にとってどう重要か(自己実現欲求に関わるか)。個人と組織のニーズを整合させておく or 組織目標の達成が個人の欲求充足につながることを示す(報酬を明確にするなど)。
- 目標の明確さ:曖昧で多義的な目標ではモチベーションは高まらない。
- 目標の受け入れ
- 分化と統合という矛盾する事象の同時達成には、メンバー間の信頼関係が必要。
- 信頼=他人に安心して身を任せることができる心理状態。
- 信頼を得るために6つが重要:
- 有能さ:概念構築力、人間関係力、専門的・技術的能力
- 誠実さ:正直、未来志向、人を奮い立たせる、有能
- 慈悲深さ:プライベートまで配慮する
- 開放的:物事を決めるときに基準を明確にする、真実を話す
- 公正さ:分配的公正(報酬配分の公正)、手続き的公正(報酬決定の手続き・ルールの公正)、関係的公正(敬意を持って接せられる度合い)
- 一貫性:基本となる信条や価値観が変わらない