2018/12/10

林倬史(2008)「新製品開発プロセスにおける知識創造と異文化マネジメント : 競争優位とプロジェクト・リーダー能力の視点から」『立教ビジネスレビュー』1, 16-32


  • ダイナミックケイパビリティ(環境変化対応力)の源泉:組織間・組織内学習(知識創造を含む)。
    • グローバル化:知識創造の分散化 → 知識創造活動は、よりクロスカルチャル、クロスボーダーになる。
  • 一般にR&D強化による製品開発は、グローバル化、製品ライフサイクル短縮化、市場の多様化のもとでは非効率になる。→ 外部知識活用・R&D国際化へ。→ 文化的差異を認識し、それを超えたコンセプトを作る必要が生じる。
  • 文化=考え方・感じ方・行動の仕方のパターン(software of the mind)。
    • 個人のマインド(パーソナリティ)は、重層的な文化を背景にしている。= すべてのコミュニケーションは異文化コミュニケーション。=メンバー間で認知され共有されたコンテクストには、常に曖昧さが存在する。
    • トップダウンでは、片方の見方が固定化されたままプロジェクトが進行する。対話すると、解釈的行為により、別の見方が指摘できるようになる。両者が統合されないと、プロジェクト全体が全員によって正確に把握されない。
      • 例えば、メンバーの専門が異なるほど技術革新が生まれるが、失敗リスクも高い。
  • 革新的に新しい洞察や展開は、コミュニティの境界で生じる。
    • コミュニティ:明確な目的を持って知識と学習に重点的に取り組んでいる極めて限定的な社会組織(Wenger et al 2002)=文化的共有の程度が高い。
    • 場:その時々の特定のミッションのもとに形成される複数メンバーによる知識共創の一時的共同体=文化的共有の程度低い。
    • Wengerの実践コミュニティ:2つの中間。
  • コアケイパビリティを構成する知識の構成:個人固有、組織固有、業界固有、科学論文。
    • 個人固有知識は移転が困難。
    • 参加メンバーのドメインが全て重複する領域で新しい知識は創出される。
      • それには真剣な対話が必要。→ 互いに認知されているコンテクストの差異を理解し、曖昧さを明確にして、他領域の知識との接点を認識できるから。
      • そのときに、プロジェクトリーダーが boundary spanner として、それを促進する。⇔ リーダーの境界マネジメント力が低いと、プロジェクトは成功しない。
    • 参加メンバーの専門が2~3=アプローチは分析的に。
    • 参加メンバーが多様=対話の質は解釈的に。→ 曖昧さが増し、一層のオープン性と継続性、信頼感が必要。
  • ケーススタディ
    • プロジェクトリーダーは、文化的多様性が増すほど、参加者に必要情報を積極的に提示させ、相互の問題意識を共有しながら新しいコンセプトを創出した。