2018/12/27

「理想の大学教育」『IDE 現代の高等教育』No.607,2018.12

山極壽一「大学を未来のコミュニティの中心に」
  • 日本の大学の目的:ヨーロッパ型=良識ある市民を育成する⇔アメリカ型=個人の能力を鍛える。絶えず揺れ動いてきた。
  • 科学技術の高度化→製品開発を担う高度専門人材を求めた→大学院重点化→バブル崩壊・中央研究所廃止→ポスドク増→企業の役に立つ人材要請→国立大学民営化構想→法人化・法人評価→資金誘導・短期目標志向→個性の喪失
  • 企業が役立つ人材、研究力低下、国際性不足を指摘するのは、自前で人材育成と基礎研究をしなくなったため。しかし、大学への寄付や委託が増えたわけではない。
  • 今後は、大学の公共財化:地域産業・行政と大学活動を支えるコンソーシアム型運営。
小林雅之「高等教育無償化」
  • J-HECSの逆選択機能:
    • HECS:全公立大学生が対象
    • J-HECS:家計所得1100万未満&希望選択制 → 卒業後高所得が見込めるものほど利用しない → 利用者が低所得・返済額が貸与額を満たさない
    • イェール大でも破綻した仕組み

2018/12/23

ウィリアム・デレズウィッツ(2016)『優秀なる羊たち: 米国エリート教育の失敗に学ぶ』三省堂


  • アメリカ高等教育の起源:イギリスのカレッジ・ドイツの研究大学=2つの異なる教育機関の使命を受け継いでる。
    • もともとカリキュラムは古典中心、人格形成が目的 → 時代遅れに感じられる → 科学に焦点を当てた知識工場
    • その結果:専門別の学部、教授職の階級、テニュア権、博士号
    • その一方でグレートブックス、コアカリキュラムなど一般教育保存の活動
    • → 現代アメリカ高校教育の根源にある折衷:リベラルアーツカレッジをリサーチユニバーシティの中に収めようという考え方はうまくいかないことがわかった。
    • 教員は研究のトレーニングしか受けていないため。
  • 真の教育は履歴書ではなく、いくつかの疑問を抱えた状態で世に送り出すこと。
  • エリートの間でのリーダーシップとは、責任感、名誉、勇気、粘り強さ、献身的態度など、貴族階級の価値観を意味していた。
  • リベラルアーツは、知識の追求を、それ自体を目的として行えるようにするための訓練である。リベラルアーツを学ぶことは、知識がどのように創られるかを学ぶことであり、人はそこで知識を得るのではなく、知識を論じる。
  • 自然科学の命題:これは真理だろうか?⇔ 人文科学の命題:これは私にとって真理だろうか?
    • 人文科学の知識は、人が感じる現実に関連している。
  • 考えることは一つの技能。ボールを打つのと同じ。それを本やビデオでは学ばない。だからオンラインでは学べない。
  • 学生指導の誤解:教授は学生に話すのではなく、彼らの話を聴く。
  • 授業を学術畑の季節労働者に任せるのではなく、本物の教授を配置しないといけない。

2018/12/18

塩田邦成(2017)「学部新設に見る大学改革のマネジメント事例の研究」『大学経営政策研究』7,121-137


  • 問い:大学改革に資する大学運営とはどのようなものか。← 政策調整機能に着目。
    • 特に学部新設に着目:大学改革の諸要素が集約的に現れるため。
  • シェアドガバナンス:
    • 執行部と評議会が並立する形で教員のガバナンス参加を保証するとともに、相互に対するチェック&バランスを機能(福留 2012)。
    • 法的権限と専門的権限という二つのシステムのバランスを保つ構造やプロセス(バーンバウム 2003)。
  • 日米のガバナンスの違い:経験や手法の蓄積の差
    • 正規の意思決定手続きの脇に、大学執行部、教員・教員団の両者をつなぐインフォーマルな組織(Joint Big Decisions Committee)を設置したり、オープンな意見交換を実施している例(Keller 1983)。
    • 調整会議、企画会議などの政策調整機能(両角 2012)
  • 同志社と立命館
    • 危機認識システムに違い:前者は危機遭遇なし、後者は80年代に2度危機あり(認知度低下、志願者減、就職実績弱、低学費・弱財政基盤)
      • → 前者は90年代以降、急速に政策調整機能を確立
    • 両者とも政策調整システムあり
      • 同志社:役職者感調整→大学将来構想委員会→総合企画会議(担い手が拡大、改革経験者層が厚くなる)
      • 立命館:長期計画委員会、全学協(委員・事務局メンバーの拡大)

2018/12/10

林倬史(2008)「新製品開発プロセスにおける知識創造と異文化マネジメント : 競争優位とプロジェクト・リーダー能力の視点から」『立教ビジネスレビュー』1, 16-32


  • ダイナミックケイパビリティ(環境変化対応力)の源泉:組織間・組織内学習(知識創造を含む)。
    • グローバル化:知識創造の分散化 → 知識創造活動は、よりクロスカルチャル、クロスボーダーになる。
  • 一般にR&D強化による製品開発は、グローバル化、製品ライフサイクル短縮化、市場の多様化のもとでは非効率になる。→ 外部知識活用・R&D国際化へ。→ 文化的差異を認識し、それを超えたコンセプトを作る必要が生じる。
  • 文化=考え方・感じ方・行動の仕方のパターン(software of the mind)。
    • 個人のマインド(パーソナリティ)は、重層的な文化を背景にしている。= すべてのコミュニケーションは異文化コミュニケーション。=メンバー間で認知され共有されたコンテクストには、常に曖昧さが存在する。
    • トップダウンでは、片方の見方が固定化されたままプロジェクトが進行する。対話すると、解釈的行為により、別の見方が指摘できるようになる。両者が統合されないと、プロジェクト全体が全員によって正確に把握されない。
      • 例えば、メンバーの専門が異なるほど技術革新が生まれるが、失敗リスクも高い。
  • 革新的に新しい洞察や展開は、コミュニティの境界で生じる。
    • コミュニティ:明確な目的を持って知識と学習に重点的に取り組んでいる極めて限定的な社会組織(Wenger et al 2002)=文化的共有の程度が高い。
    • 場:その時々の特定のミッションのもとに形成される複数メンバーによる知識共創の一時的共同体=文化的共有の程度低い。
    • Wengerの実践コミュニティ:2つの中間。
  • コアケイパビリティを構成する知識の構成:個人固有、組織固有、業界固有、科学論文。
    • 個人固有知識は移転が困難。
    • 参加メンバーのドメインが全て重複する領域で新しい知識は創出される。
      • それには真剣な対話が必要。→ 互いに認知されているコンテクストの差異を理解し、曖昧さを明確にして、他領域の知識との接点を認識できるから。
      • そのときに、プロジェクトリーダーが boundary spanner として、それを促進する。⇔ リーダーの境界マネジメント力が低いと、プロジェクトは成功しない。
    • 参加メンバーの専門が2~3=アプローチは分析的に。
    • 参加メンバーが多様=対話の質は解釈的に。→ 曖昧さが増し、一層のオープン性と継続性、信頼感が必要。
  • ケーススタディ
    • プロジェクトリーダーは、文化的多様性が増すほど、参加者に必要情報を積極的に提示させ、相互の問題意識を共有しながら新しいコンセプトを創出した。

2018/12/08

桂直美(2006)「E・アイスナーの「教育的鑑識眼と教育批評」の方法論」『教育方法学研究』15,57-72

  • アイスナーの表現的活動:
    • 「目的は活動の前を行く必要はなく、活動自体のプロセスの中で定式化される」=今後検討されるべき課題。
    • ⇔ ブルームの教育目標論
  • アイスナー(1979):ブルームの行動主義的カリキュラム論の限界を超えようとするカリキュラム評価論。→ 2002年の第3版で、質的研究の方法の1つとも述べる。
    • 質を唯一定義している。
    • 方法論の二重の特性を捉えるために用いたメタファー:鑑識眼と批評。
  • 鑑識眼:ある1つの特殊な対象の質を知覚し評価できる力(知覚されたものを公に表現することは含まない)。⇔ 教育批評は、知覚されたものを公に表す技術。
    • つまり、批評の技術を持たない鑑識者はあっても、鑑識眼を持たない批評はありえない。
  • 教育批評の4局面:記述、解釈、評価、一般化(ステップではなく、全体として4つの働きをもつのが批評)。
    • 記述:浸透的質(場面や対象の生活づけ)と、構成的質(全体の中の特定の質)の着目が重要。
    • 解釈:場面が何を意味するか、いかに機能するかを、概念や理論で説明する。
    • 評価:教育のプロセスを向上させる。価値中立はあり得ない。
    • 一般化:他の教室での実践に関わる主題を追求。

2018/12/07

勝見健史(2011)「小学校教師の「鑑識眼」に関する一考察:熟達教師と若手教師の授業解釈の差異性に着目して」『学校教育研究』26,60-73


  • 鑑識眼(Educational Connoisseurship):児童が見せる複雑で偶然性を潜めた活動の意味や価値を解釈し,臨機応変に適切な指導を行う能力。
    • 教育活動の蓄積を通して経験的に高まる力量。
    • 熟達教師と若手教師が教育実践に際して日常的でインフォーマルなコミュ ニ ケーションを通して無意識に共有・継承され洗練される力量。
  • → 教師の経験の中で積み重ねられた感覚や多様な実践的知識によって可能となる解釈により,客観的測定の難しい教室内外の教育活動の質を捉え,評価する能力と定義(=質的評価の力量)。
  • アイスナー:教育活動の複雑性,偶発性,非可逆性,教師や児童個々人の特性の存在を重視 ⇔ 合理性や効率性,予測可能性を重視。
  • 研究方法:若手教師と熟達教師が共通の授業の発話記録を読み合う場面で,両者が指摘する内容を比較。授業全体を解釈し意味化する場面における教師の経験差による 「鑑識眼」を考察。→ 熟達教師に解釈の根拠となった知識を問うインタビュー(児童理解,教科内容,教師指導の3つの知識のどれかを問う)。

2018/12/06

井上義和(2018)「地の変容とアカデミズム」稲垣恭子・内田良『変容する社会と教育のゆくえ(教育社会学のフロンティア2)』岩波書店,75-97


  • Discipline(躾):学問分野ごとの規律訓練。
  • 講座制教授会:各分野の第一人者が一堂に会するから、真理は自ずから顕現される。
    • ← 国家の官吏を超えて権威を持った秘密。
  • 講座制=帝国大学 ⇔ 学科目制:授業科目に応じて教員が置かれる。
    • 講座制は法人化で廃止(2004)。大学院重点化・院生数増で講座制教授の統率力が下がった。
  • 専門性習得の規範に訴えられない教養部=学生の心に届く言葉を研ぎ澄ます効果があった。

2018/12/05

小針誠(2018)『アクティブラーニング 学校教育の理想と現実』講談社


  • アクティブラーニングを巡る幻想
    • これまでの教育では未来社会を生きる子供に目標を達成できない。
    • 活動的に学べば、主体的・能動的に学べる。
    • ALを経験すれば、思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲が高まる。
    • 教員が学べば誰でもALで教えられる。
    • 以上からALは好ましく、政策として導入されるべき。
  • ALの定義変遷
    • 大学改革期:ALを導入すれば主体的に考えられる人間が育てられる。
    • 小学~大学期(2014以降):何を学んだか→何ができるようになったか。
      • 大学=講義からの脱却 ⇔ 初中等=基礎知識・技能の習得をもとに、言語活動を中核にして、思考力・判断力・表現力の育成を目指す。
    • 新学習指導要領告示後(2015以降):AL→主体的・対話的で深い学び。
      • 活動あって学びなし→「ALは視点である」=ALは特定の型ではない。
      • しかし、視点になったために、強化外活動についても目標・内容・方法・評価を3つの学力に集約させた。
      • さらに、教室内で達成する水準が高くなった(=習得した概念や考え方を活用して自ら問いを発見し、課題の解決を行う探究的な学びを、限られた時間の中で多様な子供を相手に行う=不可能)。特に、3つめの学びに向かう意欲という内面のあり方も評価対象。
      • これは、ゆとり教育→ふとり教育:十分に消化しきれない盛りだくさん教育。
      • さらに、太った部分は、カリキュラムマネジメントとして、現場に責任転嫁された。← 戦時下の「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」
  • PISA調査では、ALを経験しないほど、数学的リテラシーの得点は高い(OECD PISA2012データベース)。

  • 近代学校のミッション:個人の解放(学歴獲得)と国民の統合(愛国心教育)という矛盾を引き受けて子供を教育する場。
  • 成城小学校ドルトンプランでも、児童間の意欲や学力格差は深刻だった(最も恵まれた学校であったにもかかわらず)。
    • 子供にできる以上の自主性を要求した→クラスにつながりがない。
    • 基礎学力なくして自学自習は成立しない。
  • 奈良の問題:ALの型を批判された。
  • 戦後小学校のコアカリ:社会科(社会・生活)が中心で花形=活動・経験によって学ぶ
    • 戦後混乱期で教材や資料が十分ない→条件が整わずにできない・社会科は現場調査をやらせる教科だと錯覚される。
    • 系統性・体系性が重要な国語・算数で、単元学習が困難と教員が感じる。
  • はいまわる経験主義批判:今後の学習指導の方針
    • 個人差の考慮、反復練習、能力別グループ指導
    • ただし、当時の調査では厳密な方法と十分な根拠で学力低下を立証したとはいえなかった。
  • → 花形の社会科は、系統主義化で覚える科目になった
    • 自民党・文部省は、日教組が社会科をマルクス主義思想教育として利用することを最も恐れた → 法的拘束力のある指導要領で、系統主義カリキュラムにした。→ それに抵抗できる子供を育てるために、学級集団作りを進めた。
  • ⇔ 班などの学級集団作り(共産圏の少年団(ピオニール):相互監視と減点評価で個性を埋没・抑圧させる結果に(もともとは個の力を自覚し、討議を通じて、集団の力を発揮する)。
  • 1987以降のゆとり教育:今のALは過去の政策評価が不十分。
    • これまで:画一性、硬直性、閉鎖性
    • これから:個性の尊重、自由・自立、自己責任
  • 児童の家庭環境や基礎学力の差が顕著だと、活動による学習は、格差が露骨・残酷に出てしまう。そこに教育的配慮をすると、劣等感や疎外感が増幅される。
    • 基礎学力上位層:AL受けたい ⇔ 下位層:AL受けたくない。
    • 家庭環境が恵まれた子供ほど、調べ学習に積極的でグループ活動でまとめ役になる。
    • ブルームは、知識、理解なしに、高次の水準には到達できないと指摘。
  • 昔のALと今のALの違い
    • 戦後新教育=社会的な学習が目標。個人の外側の生活や社会が対象。
    • 総合的な学習=自己発見の学習。個人の内面の心理が対象。
  • 歴史から学べること:実践、運用、倫理上の課題がある。
    • 実践の課題:ALは強い個人を前提条件にしている。
      • 時間の限界:すべての子供が同じ時間でALで学ぶ。
      • 場所の限界:教室内では多様性は育みにくい。
      • 指導者の限界:既存教材・教員の指導力では対応できない。
      • 学習者の限界:意見の対立が人間関係の対立になる。
    • 運用の課題:マニュアルでALはできない。
      • 教員の仕事は不確実性で支配されている(佐藤)。
      • 型でALはできない。
      • 大学入試で十分評価できるとは限らない。
    • 倫理上の課題
      • 社会科学分野でALをするには、政治、社会、道徳の問題や背景まで、深い理解と批判的な洞察ができ、問題を自分の問題として自覚しなければできない。十分な内化がなければ、ALは不可能。
      • 参加しない自由がない学びの強制は、個人の内面に過剰に介入する。
      • 人材を作るためにALをする政治的問題。ALが求められる時代は、国や社会が一方的な希望や期待を子供に寄せた社会。

2018/12/04

石川淳(2016)『シェアド・リーダーシップ』中央経済社


  • リーダーシップ=職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力
  • 持論=有効なリーダーシップを発揮するために必要な態度・行動について、その人なりに持っている、明示的・暗黙的な自分独自の信念
  • 持論が優れている理由
    • 応用が容易
    • 自らの性格や能力に基づいている
    • 状況に基づいている
  • 持論を鍛える=様々な場面に適した持論を持ち、自らの持論に対する自信を深める+リーダーシップ自己効力感を高める
    • 自己効力感=思い込みではなく信念、根拠のある心からの自信
  • 理論=持論を言語化できる+経験で得られない考え方を得るために必要
    • 理論 ⇔ 持論 ⇔ 経験
  • 聖路加の職員は、全員1週間のオリエンテーションで救急治療を学ぶ=全員がリーダーシップを発揮する素地を作る
  • シェアドリーダーシップの特徴
    • 全員によるリーダーシップ
    • 全員によるフォロワーシップ
    • 流動的なリーダーとフォロワー
  • マネジメント=人を通じて・人とともに、物事を効率的・効果的に成し遂げるプロセス
    • 計画、組織化(役割分担・指示命令・報告ルート)、リード(モチベート・方向提示)、コントロールの4つが重要な役割
  • 変革型リーダーシップ(フォロワーにビジョン・新しいやり方を示し、働く意義を伝え、個別に育成する)は、カリスマ型リーダーシップに似ている。
  • フォロワーに受け入れられなければ自己満足に過ぎない。
  • ケリーのフォロワーの分類
    • 横(フォロワーとしての役割を果たす):消極的⇔積極的
    • 縦(フォロワーとして自ら考える):独立的・批判的⇔依存的・無批判的
    • 積極・独立批判=模範的フォロワー(チーム・目標へのコミットが高い)
    • 消極・独立批判=独自フォロワー(一人で仕事してしまう)
    • 消極・依存無批判=受け身フォロワー(指示待ち族)
    • 積極・依存無批判=順応的フォロワー(指示以上をする使いやすい人)
  • TMLQ(team multifactor leadership questionnaire):シェアドリーダーシップ尺度
  • シェアドリーダーシップが効果的な対象
    • メンバーの職務態度(=対象や出来事への評価、ex. 職務満足)
    • メンバーのモチベーション(=仕事そのものと人間関係の満足が上がる)
    • 職場にもたらされる能力・情報量(コミュニケーション活発化→共有情報増加→コンテクストの共有化)
    • 職場の成果
  • シェアドリーダーシップが効果的な状況
    • 職場を取り巻く環境(技術環境・競争環境)が曖昧(=試行錯誤が必要な環境)
    • 成果として創造性が求められる(個人が創造性を高めるには、専門的知識・技能、フレキシブルな認知能力、内発的モチベーションの3つが必要)
    • 対応として素早さが求められる(権限委譲、情報・能力が必要)
    • メンバーの専門性が高い
  • シェアドリーダーシップの3つの誤解
    • リーダーシップは権限に依存している ← そもそも影響力には5つの源泉がある。権限だけから発揮されるのもではない。
    • 全員がリーダーシップを発揮すると混乱する ← 混乱の原因は不適切なリーダーシップが発揮されていること(=問題にアプローチしないリーダーシップ)。
      • 適切な判断には、メンバーが方向性(ミッションやビジョン)、状況(生じている問題)、他のメンバー(メンバーの得手不得手や感情、進捗状況)、自分(自分の得手不得手や役割)の4つを把握していればよい。
    • 誰もがリーダーシップを発揮できるわけではない ← ここでの考え方はパーソナリティ・ベース・リーダーシップ。カリスマではない。
      • 同じ経験をしても、学習には差がある。それがリーダーシップの持論の豊かさの差になることはある。
  • 日本は権力格差の受容度が高い=権限に基づくリーダーシップを考える傾向がある。
    • それでも日本の職務概念は、担当が明確でないものがある構造。
    • 職務範囲を曖昧に捉えている日本企業は、潜在的にシェアドリーダーシップの発揮が求められている。
  • シェアドリーダーシップの状態を出現させるには、分化と統合の状態を同時に達成することが必要。
    • 分化を促進する要因:自己効力感、パーソナリティ・ベース・リーダーシップ、多様性を認める風土。
      • 自己効力感は、達成体験、代理経験、言語的説得、生理的情緒的高揚感の4つで高められる。
      • PBLのベースになる強み:性格(自己監視性=自らの行動を客観的に見る傾向+ビッグ5=外向性・感情の安定性(ストレス耐性)・協調性・慎重さ(几帳面・我慢強さ)・経験への開放性)を知り、強みを生かす。⇔マネジメントは弱みの克服も必要。
      • 異質性を排除する要因に配慮して多様性を確保する:ハロー効果(偏った印象だけで判断する)、情報不足(知覚的バイアス)、自己利益の損失(自分が大事にする考えや価値観が否定される可能性)。
    • 統合を促進する要因:目標の共有化、視点の変化(上下両視点の獲得)
      • 5つの要因が重要:制度、儀式、シンボル、言語、公式リーダー
  • 目標の共有化:メンバー全員が目標達成を重要だと考え、そのために貢献したいと思うようになること。そのためには次の3つが必要。
    • 目標の重要性:組織にとってミッションやビジョンがどう重要か、個人にとってどう重要か(自己実現欲求に関わるか)。個人と組織のニーズを整合させておく or 組織目標の達成が個人の欲求充足につながることを示す(報酬を明確にするなど)。
    • 目標の明確さ:曖昧で多義的な目標ではモチベーションは高まらない。
    • 目標の受け入れ
  • 分化と統合という矛盾する事象の同時達成には、メンバー間の信頼関係が必要。
    • 信頼=他人に安心して身を任せることができる心理状態。
    • 信頼を得るために6つが重要:
      • 有能さ:概念構築力、人間関係力、専門的・技術的能力
      • 誠実さ:正直、未来志向、人を奮い立たせる、有能
      • 慈悲深さ:プライベートまで配慮する
      • 開放的:物事を決めるときに基準を明確にする、真実を話す
      • 公正さ:分配的公正(報酬配分の公正)、手続き的公正(報酬決定の手続き・ルールの公正)、関係的公正(敬意を持って接せられる度合い)
      • 一貫性:基本となる信条や価値観が変わらない

2018/12/03

三谷尚澄(2017)『哲学しててもいいですか?』ナカニシヤ出版


  • 哲学すると何がいいのか?
    • 論理的に思考する
    • 箱の外に出て思考する
  • 役に立つという言い方=箱の中の規則に従って役に立つという意味なら、哲学は役に立たない。← 社会的要請の諸能力の育成
  • 哲学教育:
    • ×:測定可能な知識や技術の習得
    • ○:経験の蓄積を通じた習慣の形成
残念だがささやかにも反論になっていない。