2018/09/21

戸田宏治(2009)「チーム生産とインセンティブ」『福岡経大論集』38(2),61-87


  • チームアプローチ:チームの構成員が何らかの同一目標を共有していると想定するところから出発する。
    • → 構成員の活動をいかにコーディネートするかが課題。
    • → ただし課題も多い。
      • 各構成員の権限が曖昧で、本人の努力水準が正確にモニターできない。
      • モニタリング費用が大きいと、努力水準を下げたり、ゴマすりで不当な評価を得ようとする。
      • → 何らかの競争原理が必要。→ 日本は長期雇用を前提としたトーナメント方式で行ってきた。
      • → 今日組織のフラット化が進行。トーナメントがインセンティブにならない。
  • 非対称情報下で各主体が利己的に行動すると市場が失敗する。
    • 隠れた行動:取引相手の行動が完全に把握できない状況=深刻なモラルハザードを起こす。
    • 隠れた情報:取引相手の性質や能力が観察困難な状況=逆選択
  • コースの企業の本質:企業はなぜ存在するのか?
    • 現実の経済過程には取引費用が存在するため、市場で取引するより企業を設立して取引した方が、取引を効率的に組織化できる
    • 取引の事前に結ばれる契約は、あらゆる事態をあらかじめ予測することができないため基本的なルールのみとなり、詳細は事後的になる。このとき、資源配分のコーディネートに企業が必要になる。
    • 租税が存在する場合、市場での取引よりも企業内部で資源を調達した方が効率的。
    • → いずれも市場取引のコストを小さくすることが理由。
  • 契約が完璧でない=事後に再交渉が生じる→物的資産をどう分配するかに影響する。
    • この権利は資産の所有者に与えられるため、企業が内部と外部をどこで分けるかによって、権利の所在が決まる=企業の境界を検討することで、制度の効率性を明らかにするアプローチ。
    • ex. ホールドアップ問題:事前の取引費用によって契約が不完備になる(交渉力の高い側が過小投資をするなど)。
  • 契約理論に代わるもう1つの企業分析アプローチ:チーム生産アプローチ
  • チーム生産の問題を回避する方法
    • 長期雇用・トーナメントによる競争。
    • 強い職業倫理とピア評価。(国家公務員は課長以上にはピア評価の影響が大きい。)
  • フラット型組織:決裁権限を持つ職位階層を簡素化 し、意思決定を迅速にすることで経営の効率化を図る組織。
  • フラット化=従業員の自律性を拡大することでモラル低下を防ぐことを期待した。しかし、それよりも昇進可能性が減る負のインセンティブの方が大きかった。