槇谷正人(2017)「組織変革の阻害要因」『経営情報研究』24(1-2),1-16
- 組織変革の4要素(組織能力、組織学習、組織間関係、組織文化)と8つの促進要因(槇谷 2016)
- 成功の罠における成功シンドローム(Nadler and Shaw 1995)
- 成功を盲進する、内部重視主義、尊大・自己満足に陥る、組織が複雑化する、保守主義に陥る、学習不能になる。
- 実証研究の方法:社史、有価証券報告書、アニュアルレポート、CSRレポート、新聞記事など16年分。
- 経営者の在位期間ごとの組織変革の断行(中期経営計画調査)
- 経営チームによる意思決定基準の明確化と実行(グローバル戦略、M&A、業務提携、資本提携の調査)
- 組織変革プロセスにおける組織形態と構築変化(組織構造、全社的活動、小集団活動、プロジェクトチームの調査)
- 組織学習が促進される要因としてのシステム・制度構築と変化(経営理念の明文化と共有化、人材育成制度、人事制度、提携戦略の調査)
- 組織変革の7つの阻害要因
- 戦略シフトにおける経営者の意思決定:時期・タイミングが遅い。
- 協働システムとインセンティブシステムの設計:両者の同期化がされない。
- 戦略シフトにおけるステークホルダマネジメント:両者の連動において、メンバー間の相互作用を誘発する制度構築の遅れが阻害要因になる。
- 組織間クロスファンクショナルの設計:全社的な体制整備と、その後の組織間クロスファンクショナルの設計段階に阻害要因がある。
- マネジャーの役割機能不全:人員削減と事業撤退の場面では、理念経営の体制整備と、マネジャーの機能を重視した全社展開のプロジェクト活動の設計と運営が、組織変革の阻害要因を削減するうえで不可欠。
- 職務間におけるボトルネック:全社的な職務間ボトルネックを把握するタイミングと、それを未然に防止する活動の遅れが阻害要因になる。
- メンバーの主体的役割機能不全:メンバー間の相互作用を通した設計・施策だけでなく、主体的な役割認識の形成を図る活動が重要。その時期とタイミングを経営者が間違えるから阻害要因になる。
- インプリケーション
- 事業撤退への意思決定とグローバル戦略の展開:組織能力が形成され修正される要因であり、競争優位の組織学習が誘発される場面でもある。
- 前者 ⇔ 企業家精神の欠如、経営者チームの能力の限界、パワー関係から生ずる不整合が阻害要因。
- 後者 ⇔ 各国政府の法的規制による意図せざる結果、異文化での困難な状況下での不適応、戦略の実行段階での市場への不浸透、現地の人材活用と人材育成の不適合が阻害要因。
- 組織文化の変革を意図して行う:組織を取り巻く内外の現象としてパラドックス状況を視野に入れる(計画的戦略だけで組織変革が実現するとは到底考えにくい)。→ 組織のスラックによる創発的戦略も取り入れた組織変革を企図しな ければならない → イノベーションによる多角化と事業撤退の両面を同期化させて事業活動の舵取りを行うことが重要。その結果、既存の組織文化に変革が生じ、新たな環境に適応できるオープンな組織文化が形成される可能性が高まる。
- 組織変革の断行場面:組織慣性、メンバー・ステークホルダの抵抗が阻害要因になる。→ メンバー間の相互作用促進、組織形態を変化させた活動基盤の設計が不可欠 → 組織間クロスファンクショナル体制の整備が重要。