槇谷正人(2016)「組織変革の促進要因」『経営情報研究』23(1・2),17-35
- 組織変革のパラドックス:相反する論理のように見える変革活動の行為と構造を同時に分析する視点。=「矛盾していて相互に排他的な要因で、しかも同時に存在しかつ等しく働くという要因間の状況」「矛盾する要因が同時に存在するがジレンマのように選択する必要がない状況」」
- 組織変革は動態的側面が必要なのに、従来の機能主義的組織論は、均衡や整合性の論理を追求しすぎたため限界がある。
- 2つの視点で変革プロセスを考察することが重要。
- 組織内部の資源や能力の形成にかかわる視点。
- 外部環境に適応を目指した資源の活用や知識の創造にかかわる視点。
- パラドックスの例
- 組織が存続するには、柔軟性と確実性の同時追求が必要(Tompson 1967)。
- 組織文化の形成は制度化されて社会化されることと、メンバーの自律性のパラドックス状況(Shein 1985)。
- パラドックス構築に関わる3点(大月 2005)
- 時間経過による環境変化
- 経営資源(ヒトモノカネ情報)の独自変化
- 大規模組織におけるトップ・ミドル・ロワーの階層の存在。
- → パラドックスはあくまでも心理的構築物:どの要因が優先的に注目されるかはパラドックスの内容によって異なる。
- パラドックスの研究方法
- 組織の合理的な側面と非合理的な側面を同時に把握する必要がある。
- → 中長期の時間軸で活動事実を把握する必要がある。マクロ・ミクロの両面から、個人間・組織間の相互作用を分析することが重要。さらに、経営者の言及と意思決定と活動を定着させるリーダーシップ行動を質的研究として分析。
- つまり、事例企業を特定し、公表された活動事実から分析する。
- 以下では、組織変革に密接に関わる4つの促進要因に注目:組織能力、組織学習、組織間関係、組織文化。
- 組織能力:組織変革においてどのように競争優位の組織能力が形成されるか・環境に適応できなくなった競争劣位の組織能力が破壊されるかに注目(=RBVアプローチ)。
- RBV:経営資源を組織能力に含めるか含めないかで議論が分かれる。
- ダイナミック・ケイパビリティ:経営資源を活用する組織能力・競争優位を生み出す組織能力
- ルーチンがダイナミックケイパビリティを構成する。
- ルーチンには管理的業務ルーチンと作業ルーチンがあり、それぞれ生産現場・営業販売・研究開発・経営管理の4つの職能的組織ルーチンに位置づけられる。
- ルーチンには慣性があるので、組織変革には組織ルーチンを変化させるルーチンも必要(=戦略的組織ルーチン)。
- 組織変革は、変えてはいけない組織能力と変えるべき組織能力を峻別する活動。
- 組織学習:3つの層からアプローチ:(1)個人主体、(2)組織主体、(3)組織と個人の相互作用 ← 3番目こそ重要(組織ルーチンに着目することが重要)
- 高橋(1998)の2つの命題
- (1)組織ルーティンはいわば個人記憶を要素としたシステムであり、この個人記憶は手続き的記憶として蓄積されている。しかもこのシステムは、構成要素である個人記憶が置き換えられても、要素間の関係パターンについては持続性が生き残り続ける性質がある。
- (2)組織学習とは組織内エコロジーによる組織の適応プロセスであり、組織学習のパフォーマンス向上のためには、組織ルーティンの持続性がある程度必要である。
- ただし、メンバーにとっては、組織ルーティンを形成したり、それを安定させたり変 化させたりすること自体が仕事の目的ではない。→ それが承認されるマネジメントが必要。
- 組織間関係:組織間協力体制をいかにつくり管理して行くのかは、変革にとって中核的問題(山倉 1995)。
- 5つの分析枠組み:資源依存、組織セット、協同戦略、制度化、取引コスト
- 資源依存:3つの分類:自律化戦略(他組織との合併と自らの経営資源や内部の組織能力による多角化)、協調戦略(他組織の自由裁量を認めたうえで安定した依存関係の合意形成)、政治戦略(相互の組織に利害関係を持たない政府などの第三者機関が介入することで組織をコントロールすること)。
- 組織文化:
- ある集団によって一般的かつ集合的に受容された意味(meaning)であって、ある時点でその集団に作用するもの(Pettigrew 1979)。
- ある集団が外部適応と内部統合の諸問題を解決することを学習する際に、生み出し、発見し、開発してきた、良く機能するがゆえに現在でも有効だと考えられている一連の基本的仮定であり、したがって新しいメンバーにもそうした問題に接したときの正しい認識の仕方、思考方法、正しい感じ方として教え込まれるものである(Shein 1985)。
- Sheinの組織文化:ライフサイクルを適用したもの。
- 組織変革の4要素と8要因