安藤知子(2014)「教員養成・研修プログラムの改革をめぐる大学における「組織学習」の課題」『日本教育経営学会紀要』56,13-23
- 教員養成大学のミッション:大学における授業の改善を促し, 実践力養成を重視することで教員の質保証を実現する。
- 社会学的アンビバランス(2つの価値の間で揺れ動く葛藤):葛藤の源泉を個人ではなく、社会の中に構造的に組み込まれた複数の規範的期待と考える。
- → 教師の葛藤、大学の困難もアンビバランス。→ その対応を組織学習論を手がかりに議論する。
- 改革の背景:(1)教員の資質低下論、(2)大学教育の質的改善論(ユニバーサル化)。
- 教員養成プログラムは2つの交点にある:実践力ある教員の養成 ⇔ 初年次教育の充実・体験学習の重視(現場でない大学に現場での即戦力育成教育を期待)。
- 大学におけるアンビバランス
- 養成原理
- 教員に深い学力が必要 ⇔ 学問だけでは教師は務まらない
- 大学教育は人間形成を目指すべき ⇔ 教える必要によって学ぶことも必要
- 養成すべき教員像
- 全教員が最低限共有する職務遂行力の養成 ⇔ 現場の多様な状況に応じて臨機応変に対応する力の養成
- 目標を主体的に獲得する反省的学習が重要 ⇔ 実践の遂行を通して自己の複合性を高める相互参照が重要
- 大学の役割
- 学生の質的変容に応じた支援的教育 ⇔ 思考の自由や議論の場がなくなった時に大学に何が残るのか
- 学生にとっての予期的社会化の場 ⇔ 枠組みそのものを批判的に捉える思考力
- センゲ:組織は学習下手:7つの学習障害を知るべき。
- 従来の職務に対する過剰な同一化(職務=自分):新しい職務がメンバーのアイデンティティの危機をもたらす場合、組織全体の職務を大きく変えることは困難。
- 問題の原因を外部に帰属する(敵は向こうに):自分はうまく仕事をしていると考えると、問題解決に合わせて自分の職務を変えることは困難。
- 性急に先手必勝と考える(積極策の幻想):プロアクティブが重油用と考えすぎて、冷静な判断や長期的な見通しを持てない(不安と受け身の裏返しでもある)。
- 実践現場では問題は個別に感知される(個々の出来事にとらわれれる):個別の出来事はそれぞれの原因で構成されるが、全体の裏にある長期的なパターンや原因の理解はおろそかになる。
- 緩やかな環境変化は問題として捉えにくい(ゆでガエル)
- 意思決定の帰結を経験的に結論づけることが可能と考える(経験から学ぶ錯覚):人は経験から学ぶが、行動の帰結が観察不可能な場合、経験から学べず、観察可能な結果のみで評価しようとしがち。
- 経営陣が結束したチームを装う(経営チームの神話):意見の不一致や重要な疑問をやり過ごし、重要な決定のための学習ができない。
- 1と2はアイデンティティ問題:自己マスタリーやメンタルモデルの不十分さと関わる。
- 3~6はシステム思考の不足