- 質問づくりの学びの場:Question Formulation Techniqueを中核として設計・運営する
- 質問駆動型学習(Question-driven Learning):問題は何か、優先課題は何かを学習者が自ら問い、焦点化された指導やガイドを受け、同学者と協働的に学ぶ学習スタイル。
- 具体的な設計と運営
- 15回授業を5回×3セッション
- 1セッションを5要素で構成
- 超参加型読書会(Active Book Dialogue):テキストをグループで分担して読解
- プロフェッショナルグループセッション(PGS):同じ読解範囲の学生と理解を深める
- 質問づくりメソッドQFT:課題を可視化・整理
- 形成的評価試験
- 振り返り(をコアプロセスに持つ質問駆動型学習)で構成
- ABD
- オープニング(20)、メイン(60〜90)で構成、1グループ7〜8人
- オープニングは講師が10分でABD全体構成、テーマ図書の説明
- メインは、分担決め・通読、コ・サマライズ(担当部分の要約レジュメを作る、20〜30分、B5で5〜6枚(200字/頁)、図表・色マーカー推奨)、リレープレゼンテーション(1人2分で要約発表)、ダイアログの4過程で構成
- 読書範囲はグループ構成や図書に応じて講師が決める、図書を裁断してバラバラにし、分担単位で各自が読めるようにする
- PGS
- ABDの同じ担当者同士でグループをつくり、プレゼン内容の共有、内容の深い理解を求める
- 成果物は、サマライズのバージョンアップと、その中のキーワード(またはキーセンテンス)3つを選び、それぞれについて1枚ずつ要約・レジュメを作るの2点
- QFT
- ABDの7〜8人を2グループに分け、テキスト内容の学習を受けて質問作りワークを行う
- QFTを3回繰り返し、各モジュールの最終回(5、10、15回)に筆記試験
- 2回目の試験は、個人試験とチーム試験を実施
- 試験日に振り返りも行う(15分)
- 学習経験に関するアンケートも実施
- 2回目以降は、教員が焦点化講義を随時する(15分または40分の講義を1回の中で2本)
- 学生の反応
- 協働学習にはおおむね肯定的
- 担当部分以外の知識定着が不十分
- 学期末の振り返りで、QFTに対する実効性が低い(質問をつくる意義が10部の形成されていない)
2018/05/29
佐藤賢一(2018)「ハテナソン 質問駆動型学習の設計・運営と成果・課題」『高等教育フォーラム』8,41-58
2018/05/28
Frost, J., Hattie, F. and Reihlen, M. (2017) Multi-Level Governance in Universities: Strategy, Structure, Control, Springer
- ガバナンス:マネジャーがエージェントを調整・統制したり、影響力のある者が組織のステークホルダからの競合的な要求を調整したり優先順位づけするための枠組み。
- これ自体、ガバナンス構造やガバナンスシステムによって制約を受けたり促進されたりする。
- 大学のガバナンスの見方:ステークホルダとゴールシステムによって4タイプある。
- ゴール=内的決定 ⇔ 外的決定
- ステークホルダ=多様 ⇔ 同質
- 内的・同質=ピアガバナンス(自己統制・科学コミュニティとしての大学)
- 外的・同質=NPMガバナンス(政治的目標の道具としての大学)
- 内的・多様=委員会ガバナンス(代表民主主義としての大学)
- 外的・多様=マーケットガバナンス(市場志向のサービス供給者としての大学)
2018/05/25
Zheng, G., Shen, W. and Cai, Y. (2018) "Institutional logics of Chinese doctoral education system," Higher Education, 1–18
- 制度ロジック:実践、仮定、価値、信念、ルールに関する社会的に構築された歴史的なパターンであり、メンバーが実践・時間・空間・社会的現実の意味付与の生産・再生産でつくられるもの(Thornton and Ocasio 1999)
- リサーチクエスチョン
- 博士課程教育システムに横たわる制度ロジックは何か
- 7つの社会レベルロジック(Thornton et al 2012)
- 国家ロジック:再分配メカニズム(多数決で決められる)
- 専門職ロジック:人の評判は仕事の質で決まる、
- 家族ロジック:社会的関係を無条件の義務に変換する
- 市場ロジック:人間の活動を取引可能なものに変換する
- 企業ロジック:人は上司に従う、管理の効率性を求める
- 宗教ロジック:あらゆるものを絶対的な倫理的原理で表現する
- コミュニティロジック:互いの欠点を補う
- 縦軸に教育システム(入学、博士教育、質保証、修了、財政、ガバナンス)、横軸に7つのロジックをとった表を分析フレームワークとする
- 多様なステークホルダに70インタビュー(135対象者、17大学)を実施、
- 53個別インタビュー(13大学院長、14学部長、24教員、1官僚)
- 17グループインタビュー(56学生、9教員、17管理職)
- 中国の大学では、宗教、コミュニティ以外のロジックが出てきた。
- 結果
- システムは国家によって強く統制されている
- 研究指導においては、国際的に共通のアカデミックな規範・価値が共有されている
- 研究指導は家族的な側面が強い
- 院生のアイデンティティは複雑で、研究者見習いや研究労働力だけでなく、アカデミックな子孫でもある
- 教員と院生の関係は専門的なつながりだけでなく、親子的つながりもある
- 機関レベルでは、厳格な質保証管理プロセスが確立されている
- 低い修了率が西側では問題だが、中国では問題になっておらず、高い修了率が質保証の問題になっている。
2018/05/24
笠京子(2017)『官僚制改革の条件』勁草書房
- 新制度論:制度そのものの外形を論じる旧制度論と、観察可能なアクターの行動から実証的に影響力を分析する行動論を止揚したもの。
- 合理的選択制度論(自己利益の最大化を図る合理的個人の政治的行為に、制度がゲームのルールとして一定の影響を及ぼす=演繹的)
- 歴史的制度論(個人の選好も行動も歴史的に形成されたその国の制度によって影響を受ける=帰納的)
- 社会学的制度論(文化的ルールや規範意識を制度としてとらえ、制度がもたらす文化的正当性から政治的行為を説明)
- 構成主義制度論(制度→アクターに加え、アクターも制度に影響力を持つ)
- 5つの仮説
- 取引費用仮説(合理的選択制度論)
- PA理論で説明:ゲームのルールとして制度化されていた取引費用が高騰すると、Pが新しいゲームのルールを構築しようとする
- Public Service Bargainsモデル
- PAの間で、報酬、技術と能力、忠誠と責任の3要素を巡る取引
- 政治行政制度仮説(歴史的制度論)
- 政官関係に加えて歴史的文化的産物の諸制度を含めた独立変数
- 正統化仮説(社会学的制度論)
- TQMが公共セクターに広がったのは、TQMが経済復興の原動力になったと広く信じられ、政府組織は企業組織に比べて相当非効率という市民の認識による
- アイデア競合仮説(構成主義制度論)
- 既存の制度の均衡が崩れたときに新しい均衡を生み出すのは、対立する物質的利益の間の争いではなく、説得や議論を通して行われる観念や思考(アイデア)の争い
2018/05/23
ガンポート, J.(2015)『高等教育の社会学』玉川大学出版部
- 初期の内的組織モデル
- 官僚制(ストルーブ)
- 研究者コミュニティ(グッドマン)
- オープンドアカレッジ(クラーク)
- 大衆化期のオープンシステムの大学モデル
- サガ(物語)(バートン・クラーク):組織文化を変化させる物語と、物語を形成する際の外的圧力の役割に注目
- 政治的実態(ボルドリッジ):問題が生じた際にどのような利益集団が生じ、どのような決定が支配的になるかに注目
- ルースカップリング(ワイク):大学の流動的でだつ集権的な特徴を捉える試み
- 組織化された無秩序(コーエン・マーチ):ゴミ箱アプローチ(問題を探し求める解決)
- 複合企業(リー・ボーエン):大学は複合企業モデルとして見るべき
- 中等後教育期のモデル
- マーケティングマネジメント(コトラー)
- 資源依存モデル(フェッファー)
- 戦略的組織(ピーターソン)
- 戦略の3つのモデル(チャーフィー)
- 技術的管理運営組織(大学のための計画モデル)(ホプキンス・マッシー)
- 管理運営からアカデミックな目的・パフォーマンスの時代のモデル
- 文化組織(マスランド)
- 大学の4つの文化(バーキスト)
- 組織再枠組み(ボールマン・ディール)
- 組織のマトリクスモデル(アルバート):研究ユニット・デパートメントは教育と研究という2つの重要事項を架け橋できるようにデザインされており、頻繁に葛藤を生み出す
- サイバネティックモデル(バーンバウム):制度的意思決定と組織のダイナミクスを説明するために、既存モデルを統合した
- 現代期(多様性、IT、質保証、生涯学習、エンプロイアビリティ、グローバリゼーション、資源制約)のモデル
- 戦略的選択モデルの精緻化 → 適応モデル、文脈モデル、企業家モデル
- 適応モデル(ガンポート・スポーン):組織環境モデル(個体群生態学、制度論・同型性、コンティンジェンシー、資源依存、戦略的選択)
- 文脈モデル
- 企業家モデル(クラーク):コアの強化、周辺ユニットの発展向上
- アカデミックキャピタリズム(組織モデルではない)
- バーチャル大学モデル(カーチディ・ピーターソン)
2018/05/22
坂下昭宣(2002)『組織シンボリズム論』白桃書房
- 組織論
- 第1世代:精密機械
- 第2世代:有機体
- 第3世代:文化:最も複雑なシステムをメタファーにする
- シンボリズム:意味が付与された行為、発話、制作物(=個人のシンボリック行為)← シンボルを通した意味の表現や象徴の行為
- → 組織などある社会集団の中の他者との間で間主観的に行われる
- 組織論のメタファー
- 官僚制組織論=機械メタファー(組織構造論)
- コンティンジェンシー理論=有機体メタファー(環境決定論 ≠ 主意論)← オープンシステム特性を内包+環境変化に適応して構造を分化
- コンティンジェンシーへの批判:3つの潮流へ
- 組織シンボリズム論(文化メタファー)
- 組織認識論:観察者視点での環境適応・構造分化を行為者視点で解釈し直す意味論 → シンボルではなく情報を使い、成員が独自のスキーマに従って入力情報を特定の蓄積情報を結びつけて情報の意味を確定する(解釈主義社会学+認知心理学)
- 知識創造論:知識を情報と区別して特定の立場・見方・意図を反映したものと考えた → 知識の伝達・変換・連結・蓄積が個人・集団・組織・組織間のレベルでスパイラルに拡大増幅されながら進展する動的過程を説明
- 行為者の主観的意味が付与された記号がシンボル
- → アーティファクトと考える:物理的、行動的、言語的
- 主観主義社会学と客観主義社会学
- 存在論:唯名論 ⇔ 実在論
- 認識論:反実証主義 ⇔ 実証主義
- 人間論:主意論 ⇔ 決定論
- 方法論:個性記述主義 ⇔ 法則定立主義
- 機能主義的組織シンボリズム論:機能主義パラダイムに依拠
- 3つの問い:客観的実在物としてのシンボリズムはどんな機能を果たすか?、特定の組織文化が維持存続するのはなぜか?、組織文化を管理することは可能か?
- シンボルと機能の分析枠組み(ダンドリッジ 1980)
- シンボルのタイプ:言語的、行為的、物質的
- シンボルの機能:記述(対象のリアリティを表現する機能、ロゴなど)、エネルギー統制(モチベーションを鼓舞したり緊張を緩和する機能、スローガンやジョークなど)、システム維持(調和や秩序の根拠を示したり変化の受容可能なパターンを示す機能、オリエンテーションプログラムなど)
- 主な研究:
- 強い文化論(エクセレントカンパニーが持つ8つの基本的特質)
- 下位文化論:好業績組織が常に均質・一元的な組織文化を持つとは限らず、相互に異なる下位文化を集合的に持つ
- 組織文化マネジメント:組織がシンボルの操作を通じて、暗黙の仮定や価値観を植え付ける(3次的統制)=シャインのシンボリックマネジャー
- 解釈主義的シンボリズム論
- 3つの問い: シンボルがどう意味解釈され、また意味の解釈図式としての意味体系がどう構成されるか?、特定の組織文化はどのように生成するのか?、組織文化マネジメントの可能性があるか?
- シンボリズムの意味構成局面
- 組織成員の意味体系は、パラダイム(≒ シャインの基本仮定)、状況(行為者とその経歴、行為の場、行為者と自己の関係)、価値観(行為者の行為目的、目的動機、理由動機)、手段的知識(価値観に対する手段的知識)で構成される
- 組織文化はどう生成するか(=各成員の解釈の共有がなぜ生じるか)
- 他者の解釈を参照するから → 間主観性を獲得
- 儀礼、スローガン、ボキャブラリーも貢献
- 組織文化マネジメント:演技・印象操作を通して行われる
2018/05/21
相原総一郎(2015)「学生エンゲージメントの一考察」『大学論集』47,169-184
- 学生エンゲージメント
- 心理的:帰属意識+学校の価値を認める度合い(愛着や良い成績を取る価値)
- 行動的:学校活動への参加
- 調査の特徴:(1)学業に費やす時間・行動の重視、(2)学習環境を整備する役割を大学に求める
- 社会的背景
- プロセス指標が求められた:教育改善に適した指標であるため
- 大学ランキングへの不満:大学の質に対する社会の見方を変えたい
- 学問的系譜
- タイラーの学習時間
- ペースの努力の質:学生の努力の質が重要 ← 大学の施設を利用する回数で測定(学生は能動的参加者)
- アスティンの関与:「学生が学業に費やす物理的および心理的な活動力の総計」(カレッジインパクトでは学生は受動的対象)
- ティントの統合:(1)大学教職員や学友と態度や信念を共有する(社会的統合)、(2)大学の構造的規則や要請への忠実さの程度(学問的統合)
- パスカレラの一般因果モデル:学生の入学前の特性と大学のタイプの相互関連+大学の環境・教職員・学友との相互作用
2018/05/18
伊藤秀史(2012)『ひたすら読むエコノミクス』有斐閣
- ディシプリンは分析対象から切り離すことが可能な学問(社会学、心理学、経済学)
- 権限移譲はやる気を引き出す:自ら決定できることは、その決定がもたらす可能性のある、名声、評判、学習などを自分で決められるから、金銭的報酬を無視してもやる気が出る。
- ⇔ コントロールの喪失:組織全体の業績よりも自分の事業を重視する → 部署最適の決定が全体にとってベストでない問題が生じる。
- なぜ、現場の情報が上層部に伝わらないか
- 現場にいない人には危機感が理解できない、現場の暗黙的なものは文書化しても伝わらない
- 損得計算をして情報を開示しない
- 組織全体の目標が共有されていないため、情報を正確に伝えるインセンティブがない
- 目的の乖離が大きいほどコントロールの喪失によるデメリットが大きくなる → 集権化すべき? → 目的の乖離が大きいほど情報伝達も不正確になり、集権化のメリットがなくなる → 分権化しておく方が良い時がある
- トップが現場に情報探索を求める&真の情報を引き出したい
- トップ自身も現状認識がある
- トップの認識と現場の報告が同じ時にボーナスを出すスキームをつくる
- トップの認識が不正確でも予想できる
- 現場は正確に伝えるよりもトップに近い認識を伝える方がボーナスを得やすい
- イエスマンが増える
- ボーナスをやめる
- 現場は情報探索をするインセンティブを失う
- 権限移譲がやる気につながるには、トップが介入して決定を覆さない評判が必要 ⇔ 覆しはコントロールの喪失によるマイナスを防げる
2018/05/17
佐藤郁哉・山田真茂留(2004)『制度と文化』日本経済新聞社
- オオウチのセオリーZ:日本企業が強いことを示したのではなく、米国にも日本企業と同様の特徴を持つ組織があることを示したことがポイント。→ エクセレンントカンパニーと同じ。
- 行動の重視:戦略・市場分析ではなく、まずやってみる精神
- 顧客密着:顧客との信頼関係とフィードバックで品質向上のアイディアを得る
- 従業員の自主性と実験精神で健全な競争を尊重
- 人を通した生産性向上:テクノロジーではなく信頼関係で結ばれた従業員の貢献を重視
- 現場重視の価値観
- 基軸から離れない:安易な多角化・M&Aを避ける
- 単純組織・小さい本社:管理階層を薄くする
- 中央集権と権力分散の共存:自主性と分権を強調、中核的な価値観に関してのみ中央で統制
- このときの組織文化:組織を統合し、生産性や業績向上のツール(基本的な価値・信念について明確な認識を持つことでメンバーの行動を統合できる)
- → 強い文化論へ(シンボリックマネジャー):4つの構成要素
- 理念:基本的な価値観(スローガンでなく共有されたもの)
- 英雄:メンバーの手本、行動意欲をかき立てるロールモデル
- 儀礼と儀式:互いの呼び方、会議の運営方法(一体感を得られる経験)
- 文化のネットワーク:非公式の情報チャネル(噂や物語を広める人)
- 構造要因の説明に行き詰まったために生まれた文化研究(ソフトVSハード)
- 企業文化論の基本的なストーリ:強い企業文化は、組織の一枚岩的結束につながり、それが良好な経営成果につながる
- 社会学・文化人類学の文化:象徴システム(価値・観念・シンボルから構成される)、関係システム(人・集団の間の相互作用のあり方にかかわる)である。
- 組織文化の定義:個々の組織における観念的・象徴的な意味のシステム(価値や信念のシステムに限定するとカバー範囲が狭すぎる、行動パターンや構造を含めると広すぎたり文化概念を用いる意味がなくなる)
- 組織文化の要素
- 儀礼:公式の行事
- 遊び:非公式の行事(飲みなど)
- 表象:ロゴ、ビジュアル
- 共有価値:価値観(=望ましさについての観念 ⇔ 気持ちよさとは違う)
- 無自覚的前提:望ましさが長期間蓄積して意識の下に伏在したもの
- 構造と文化
- 構造では、地位=役割が重要
- 文化では、地位や役割にどのような象徴的な意味づけがされているかが重要(上司は仕事上の関係だけか、よりウェットな関係か)
- つまり、構造には文化的な意味が含まれている場合がある
- シャインの組織文化の機能
- 外的適応:使命と戦略、目標、手段、測定、修正
- 内的統合:共通言語と概念カテゴリー、集団境界と包摂・排除の規準、権力と地位、親密さ・友情・愛、賞罰、イデオロギーと宗教
- 両者は相互に影響する(外的環境にうまく適応すると、共通の成功体験により内的に統合される)
- → これは集合体に着目、個人を見ていない
- アイデンティティ論
- 個人は組織が大きく変わると深い喪失感を覚える ← メンバーは組織に象徴的な意味を見出しているから
- アイデンティティ:複数の自己イメージを含みながら総体として1つである(自分が自分である)、そうした1つの主体が自分以外の何ものかに同一視している(自分が何ものかであること)
- 統合・管理偏重の文化論は危険 → 文化を探求するには、統合(一貫性・共有性)、文化(回文か同士の対立・葛藤)、分裂(文化的諸現象の持つ曖昧さに焦点をあてる)の3つの視角が必要。
- 結局いえること
- 組織文化が効力を発揮するのは状況による
- 組織文化は意図せざる結果を生むことがある
- 組織文化は慣性を持ち、ときに組織の活動を阻害する
- 過度に柔軟な文化は、組織や個人のよりどころになり得ない
- 組織文化の中核には共有価値だけでなく、共有認知や共有経験が含まれる
- 文化的源泉は組織体だけでなく、組織を包摂する次元(国民文化など)、組織を横断する次元(職業文化)、組織内の部分(部門文化)にも存する
- 組織文化はときに曖昧さをはらむ
- 管理者主導の文化的統制が、常に期待通りの効果をあげるとは限らない
- 組織文化はその中身やあり方如何によって倫理的に問題のあるものとなる
- 文化研究はどう進むか?
- (1)統一文化仮説にこだわらない=統一性・独自性に注意を払わない → 組織シンボリズム論、新制度派組織理論(=マクロな制度・文化ルールに注目 → 同型性の強調へ)
- (2)分化と独自性を一体に扱う(=組織アイデンティティ論に近い)← 組織場有する文化 < 組織の呈する独自性 という議論
- 企業文化論のパラドクス:「ユニークであれ」という命令
- 組織アイデンティティ:内集団と外集団を区別する成員性の認知(共有された価値や相互依存性はたいした意味を持たない ← 同じ文化が隣の組織でも共有されているならそれは独自性と言い切れない)
- タイフェルの実験:人は価値共有や相互の魅力がなくても、成員性の認知さえみたされれば、集団が形成される(⇔ 成員性の認知がなければ、共有価値があっても集団が形成されない)
- 基本命題
- 成員性の認知は集団が存在する必要十分条件
- 個人的、集合的な自己は、肯定的な価値づけをされる
- 自他の区別について、低レベルと高レベル間で機能的な対立がある(集団間差異意識高 → 集団内個人間差異の知覚低)
- 成員性の認知が顕著なとき、個人レベルの自己知覚は没人格化
- 2集団の差異の認知が弱まらないと、集団間の協働行為は全体的な凝集性を生まない・相互の反感になる(近親憎悪が生じる)
- (高品質を誇りに思っていなくても、福利厚生が手厚い理由で成員性の意識を高く持つ人もいる)
- 組織アイデンティティ成立の1次要件
- 独自性(組織の際立ち)、外集団の顕在性、組織内の同質性と組織間の異質性
- 組織アイデンティティ成立の2次要件(不可欠でない要件)
- 組織が個人の自己評価を高める度合い、組織の威信、組織の魅力、価値や活動の特異性、組織内競争の稀薄さ、組織と個人の接触度、組織の特性と個人の特性の親近性
- 成員性をベースにした価値は大きな効力を発揮する・人は価値に対して可塑性に富んでいる(価値を調べて人は組織に入らない)→ 組織アイデンティティに機能がある
- 共有価値の形成・維持・変革
- 組織の魅力の増大
- 成員の自己評価の向上
- 動機づけ・参加意欲・忠誠心の増進
- 安全性・連帯性・全体性に関わる感覚の形成
- 成員の互換性感覚の形成
- 含意・信頼・協力の強化
- 全体的利害に則った行動の賞揚
- 他組織との競争意識の増進
- 部門アイデンティティの強さは、通常組織の活性化になる(部門が強すぎて組織全体のアイデンティティ形成が阻害されることはある)→ 長期的に組織全体を守りながらも、部門・個人アイデンティティを顕在化させることが求められる
- 集団顕在性・高×集団間競争・有:最も集団へのアイデンティフィケーションと生産性が高い ⇔ 集団顕在性・高×集団間競争・無:最も低い
- 特色ある学校作りをしよう → MEXT規制が相変わらずあり、特色を出して学校間で競争する余地なし → 独自性の強調は意味をなさないどころか害をなす
- 新制度派組織論:組織を取り巻く社会的文脈に特徴的な文化的枠組みがメンバーのものの見方や世界観にどう影響を与えるかに注目する
- 特に文化については、組織を取り巻く環境について、誰がどのようにしてシンボリックな意味を見出し、どのようなレンズでとらえて解釈を下すか、そのレンズ(解釈枠組み)はどのようなプロセスで形作られるか
- 組織は戦略に従う:基本的な説明ロジックは効率性(より効率的で合理的な戦略とそれに沿った組織構造を採用した企業が成功する)= 最適解が客観的に存在する ⇔ 合理性や効率性は社会的な約束事、相対的なものさしにすぎない(=合理性の解釈が集団間で異なる可能性がある)
- 新制度派組織理論でいう制度:ある集団や社会の中で自明視された文化的な規定
- 企業コントロールの発展
- 直接的:価格競争、カルテル、水平統合で他社を支配する ← オーナー・個人商店
- 製造:垂直統合で生産を効率化・無用な競争回避 ← 職能別組織
- 販売とマーケティング:新市場開拓・製品差別化で競争回避 ← 事業部制・コングロマリット
- 財務:製品・サービスで直接関係ない組織同士を吸収合併 ← 事業部制・コングロマリット
- 組織内の各職能集団は、組織全体が直面する問題にとって何が最適な解決策かについて、相互に異なる信念にもとづく答えを持っている。
- → 組織内のパワーバランスの変化が、組織の戦略や構造変化を導く
- 組織は戦略に従う → 組織は勝者の世界観に従う(フリグスタイン)
- ある戦略や構造が効率的に見えるのは、それが主流を占め、その時代の効率性の社会的定義が変わったから
- →このゲームには、競合他社に加え、政府や司法なども加わるため複雑
- → ゲームのルールを巡る競争でもある=政治的要素を含むゲーム
- 新制度派組織理論は、制度要因を強調しすぎる(制度が構造や行動を一方的に規定する) ⇔ 制度的枠組みそのものが形成・変容するプロセスに注目した意味でフリグスタインの貢献は大きい
- シラバスの充実:MEXTのおぼえがよくなる ← 教育の質向上になるかどうかは別として、組織が生き残るには効率性とは異なる正当性が必要
- なぜ官僚制が主流なのか:
- 近代化で組織間の社会関係が緊密になった → 複雑な関係を効率的に運営できることが期待できる取り決め・仮定が社会的フィクションとして必要になった
- 法規でトップダウン式に、特定の組織形態・慣行・手順に正当性が付与される
- 自組織の規準を政府やメディアを通して正当化する
- 制度的環境への対応は、技術的環境との間に矛盾をおこす(シラバスとは別に、初回の授業で本来のシラバスを配布する)
- 制度的環境に含まれる矛盾を背景にした葛藤も起こす
- 旧制度派組織理論:バートン・クラーク:一般教養大学の躍進の要因
- 使命感に燃えたカリスマ的学長の献身、その理念を支持・強化し、学長退任後も組織モデルを維持した中核スタッフ、独自の教育理念・カリキュラムを誇りにする学生文化、愛校心を持ち続ける卒業生 → あり期待の大学でなく、独特の個性を備えたカルト集団になった
- 新制度派理論の基本ストーリー:制度的な同化圧力 → 個人レベルの黙従的対応 → 組織レベルの黙従的対応 → 同じ制度的環境下にある組織間の類似性
- 非営利組織・行政組織:技術的環境よりも制度的環境の圧力強い
- 組織目標に様々なものが含まれ、目標間の優先順位が曖昧
- 組織自体の管理運営や目標達成のための方法や技術も不明確
- → 質の高いサービスよりも、形式的な書類がどれだけうまく書けるかが重要になる
- 新制度派組織理論のキーワード:制度、組織フィールド、同型性
- 制度:
- 規制的ルール:法律、省令、資格認定規則
- 認知的ルール:社会的なきまり・約束事 ← 人為的なのに当然の常識に思わせる → 制度化=自明性と正当性を獲得するプロセス、
- 規範的ルール:組織/社員/社長はこうあるべきだ、教育はこうあるべきだ
- 組織フィールド=業界:ある共通の生産活動に関わる組織・機関が全体として構成する影響関係の場
- 構造化のプロセス:組織間の相互作用の増加→情報量の増加と情報密度の増大→中心・周辺構造の出現→フィールドとしての共通認識の形成
- 同型化圧力の3タイプ:
- 強制的:上位にある組織が下位にある組織に対する圧力で生じる(政府が定めた基準を満たすために右へならう)
- 模倣的:勝ち組を他がまねる
- 規範的:専門職従事者間のネットワーク
- ただし、従属的な個人を仮定しすぎ
- 組織や個人はいかにして文化や制度の枠組み自体を変えていくのか、そもそもその文化や制度の枠組みは誰が・いつ・どのように作ったのかを説明できない
- 制度的圧力に対する戦略的対応(オリバー 1991)
- 黙従:習慣(当然視された暗黙の規範に従う)、模倣(模範的な組織のまねをする)、遵守(規則に従い、規範を受け入れる)
- 妥協:バランス(利害関係者からの多様な要求間でバランスをとる)、譲歩(制度的な要求の一部だけを受け入れる)、交渉(制度的圧力をかけてくる相手の利害関係者と交渉する)
- 回避:隠蔽(不服従の事実を隠して見えないようにする)、バッファ(干渉してくる相手方との関係を緩やかなものにする)、逃避(目標、活動、ドメインを変えて相手方との縁を切る)
- 拒否:無視(相手が押し付ける規範や価値を無視する)、挑戦(相手が押し付ける規則や要請に異議をとなえる)、攻撃(相手を攻撃する)
- 操作:政治的吸収(影響力のある相手の関係者を丸め込んで味方にする)、影響(都合のよい価値や基準を自分で作ってしまう)、支配(相手を支配下に置く)
- 燃え尽き症候群を生む強い文化:役割に一定の距離をおく人が出る ← 組織文化の要求に対して一定の役割距離を保とうとする試み
- 組織も制度との間で役割距離をとろうとする(オリバーの戦略的対応)
- これまでの理論は、社会化過剰の人間観・組織間があった → 組織→個人(メゾ→ミクロ)、制度→組織(マクロ→メゾ)だけでなく、逆方向のメカニズムを明らかにする必要がある
- これまでのモデルの整理
- 企業文化論:社会化過剰の人間観+社会化過少の組織観
- 新制度は組織理論:社会化過剰の組織観+社会化過剰の人間観
- チャンドラーの効率性モデル:社会化過少の組織観+社会化過少の人間観
- 組織文化論:メゾレベルのプロセス解明
- 組織アイデンティティ論:マクロ・メゾ・ミクロ関係の解明
- 従来の社会学理論:文化は望ましい価値を人々が、追求すべき目標として設定することによって、人間の行動に対して影響を与える(=文化に染まることで望ましい価値を内面化し、自分が追及すべき目標として捉えるようになる)
- → 貧困文化論で顕著な考え方(貧困層は特有の価値観を持つ)
- ⇔ 行為戦略(特定の文化の中で身につけた生活上のスタイル)が違うだけで、同じ目標や価値を持っている
- 社会化過剰の人間観=目的が先で手段が後に決まる → スウィドラーは逆に考えた:道具としての文化=手段が目的を規定する
- 行為戦略は経営戦略のような意図的な行動プランではなく、行動プランを策定するときの前提、つまり幹部が企業生活で身につけた認知的枠組みと基本的な経営センスのこと
- 行為戦略があると、自分が育った畑に特有の職業文化の影響で、他部門のコントロールに関する基本認識が現実的な選択と感じられなくなる(財務の人に教務がわからない)
- 制度固有のロジック:それぞれの社会制度(家族、政治、国家、市場などの制度)に固有の基本的な構成原理
- 市場制度=経済的利害と効率性の優先、家族制度=無償の愛や家系の持続性、国家制度=法律と官僚機構で行動を合理化する
- 各制度固有のロジックには、相互に対立する要素が含まれている(個人の役割葛藤に近い)
- → ロジックを使い分けることで行為戦略のレパートリーを持てるようになる(仕事を理由に家事をさぼる)
- 文化が個人の制約条件でなく、利用できる道具箱になる
- 「ツールキットとしての文化」「行為戦略」「制度固有のロジック」の3つは、文化と組織・個人の関係を考える視点を提供する
- これまでのモデルの整理
- 効率性モデル(過少型):組織や技術的環境に従う戦略に従う
- 新制度派組織理論(過剰型):組織は制度と文化に従う戦略に従う
- 複合戦略モデル(第3のモデル):組織は行為戦略に従う経営戦略に従う
- 複合戦略と呼ぶ理由:制度的・文化的圧力が最終的に戦略に反映されるまでに2つのプロセスがあるから
- 個人・集団レベルの行為戦略と経営戦略の間の複合性(制度的・文化的要請が個人や集団の行為戦略のフィルターを介して、戦略に選択的に取り込まれるプロセス)
- 組織レベルでの複数の戦略案の間の複合性(個人・集団レベルで構想された戦略案が、組織内の政治プロセスを経て最終的な戦略へ絞り込まれるプロセス)
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