2014/08/07

別府昭郎(2005)『大学教授の職業倫理』東信堂


  • 学習=高校までの勉強から得られる結果,学修=大学での勉強から得られる結果(本当?)
  • 大学教授の多くは,自分の職業の本性や属性を知らず,それは専門職業と考えられているにも関わらず,教授資格やその取得試験がないことや養成課程で自分の職業について全く学ぶ機会がないからに起因する。
  • 職業として大学教授になり,大学から給与を受ける上で最低限守るものが職業倫理である。しかし,価値の多様化により,単一の原理が適用できないため,職業倫理の問題は思想の問題である。
  • 教育の本質は,働きかけである。これは全ての教育機関に共通だが,大学教育の特性は,学生の自立的思考を促すことである。
  • 大衆化した大学での研究は,大学教授の存在の証であり,教育の前提として行われる研究の意味がある。
  • 大学が教授に与える条件(コーザー)
    • 知的環境:制約なく研究し,齟齬に知識を交換・切磋琢磨する環境
    • 固定給:生活保障。その対価として,授業,会議等の義務を負う
    • 大きな研究テーマ:固定給の結果
    • 時間配分のシステム化:都合のいい時間に教育し,残りを研究に振り向ける
    • 学問研究の自由
  • ドイツの同一学内招聘禁止は1999年に大学大綱法改正でなくなった。ただ,ドイツでも19世紀後半までは,学内昇進が一般的だった。
  • 近代科学は,観点・アスペクト,実験・観察,帰納論理,要素還元方式(分解された小さな問題を考察して答えを出す)の4つの特徴を持つ。
  • 教養教育を受けた者とは,安直で好まれやすい解答に抵抗できる者(=抵抗としての教養,批判的思考力)。(『アメリカン・マインドの終焉』)
  • 現代人に必要な教養:(1)抵抗としての教養,(2)経験を改造する力としての教養(学習は経験の再構成である(デューイ)),(3)態度決定・判断力としての教養,(4)情報を入手・選別し,消化・意味づけ・発信する力としての教養

題目にある職業倫理に関する記述はほとんどなく,内容は私的大学教育論・教授論・組織論で,客観的根拠に乏しい私見の羅列。得られる示唆はほとんどない。
著者自身が大学教授の怠惰を批判しながら,本書自体が観点に関する実験も帰納論理も要素還元もない論述で自己矛盾に満ちている。