- 欧州質保証研究の動向:政策研究中心=政策で決めた標準枠組みを参照しながら各大学の責任で質保証に取り組むトップダウン設計→個別大学の組織・人員対象の研究へ
- 政策研究の野心と実態にズレがあるため
- 質保証=枠組み作成(マクロ目的)VS実際の教育の質改善(ミクロ目的)=評価基準の明確化・標準化(官僚制的対応)VS大学人の自律性→つまり相反する要素のバランスを保つ視点が重要なのに、バランスを欠いてきた(望ましい政策・野心的制度の議論に偏る)
- 機関の自律性向上は重要と認識されながら、評価結果が政策と一致することを求めるプロセスを採用しがち=大学人はプロセスに干渉・影響しないことが暗に期待される=プロセスを変更する行為は正当でないと見なされる傾向を生む。=質保証の規定に沿わない行為は教員の抵抗・質文化の不在という問題として扱われる。
- グローバリゼーション言説の過剰な支持
- 特定の制度が特定の価値規範と結びついて世界的に広がっていく(組織内の合理性よりも組織外の環境に適応するために変化する)→各国の制度は世界モデルを基準として類似したものに収斂する。
- →グローバル化研究は、言説的要素、公式の構造や手順、トップダウンの意思決定プロセス」に焦点を当てがち
2022/02/16
元濱奈穂子(2021)「高等教育研究における政策研究の限界と展望」『教育学研究』88(3),65-74
2022/02/15
加藤奈穂子・尾澤重知(2021)「大学入学後の学習経験が大学生の学習観に与える影響」『日本教育工学会研究報告集』2,32-39
- 目からウロコ=(1)インプットとアウトプットがある(講義と議論がある)、(2)誰かと関わりながら進むことで自分の知識が深まる、(3)最先端の知識・スキルが学べる
- この学習経験がアクティブラーニングに先行要件
2022/02/14
武谷慧悟(2021)「授業へのエンゲージメントに及ぼす調整方略の複合的効果」『大学評価・学位研究』22,3-18
- エンゲージメントの3側面:
- 認知=注意,集中,挑戦への選好,認知的な参加を含めた概念
- 感情=楽しさ,熱中,退屈,不安といった学習者の感情的な反応に関する概念
- 行動=学習や学習課題に関する関与,努力や持続性,忍耐などを含む概念
- エンゲージメントと動機づけの違い
- 私的で観察不能な心理的プロセス
- 公的に観察可能な行動
- 動機づけは安定性の高い順に
- 全体(特性):個人特性としての比 較的一貫した動機づけ
- 文脈:特定の活動に対する動機づけ
- 状況:いま・ここにおける動機づけ
- エンゲージメントを形成する要因
- 学生の置かれた文脈(学校規模、教員支援、同級生との関係、学習課題の特徴等)
- 調整方略:学習に投入する努力量を規定する→エンゲージメントを高低させる調整方略の組み合わせを明らかにする
- 従来:成績重視方略=感情エンゲージメントに負→他の方略と組み合わせて高める
- 授業に関心がない学生:学習内容と自分の興味をむずび付ける+個人で学習+成績を目標にしない指導→感情的エンゲージメントを高めることが重要
2022/02/11
牧野みのり・尾澤重知(2021)「PBL型授業における対話型レポートの評価方法の開発」『日本教育工学会研究報告集』4,9-16
- 対話型レポート:仮想インタビューを用い、仮想の他者との対話によって,振り返 りを促す要素を持つレポート。教員や学生に対してインタビューを行った想定で、授業や、自身の学習成果を紹介する「記事」を書く課題。
- 本実践では、質問と回答の形式で書く、ターゲットを明確に定める、インタビュア ー」「自分自身」「教員」「高度授業TA」を登場させるが要件。
- 評価は、3つの観点で行う。
- 内容の網羅性:授業内容全体を振り返ることができているか(包括的な観点)=ペーパープロトタイピング、 プロジェクト活動、そして振り返り手法の 3 つの要素がレポート内に含まれているか。
- 問いの質:事実を問う質問、高次の認知活動を引き起こす質問が含まれているか。
- ストーリーラインの明確さ:想定する読者とレポート内の登場 人物が一致しているか(対話型レポートは他者視点が重要であるため、想定する読者を明確に定めているかや、著者が設定したターゲットに沿った人物が登場しているかが重要)。
2022/02/09
Lee, J. (2005) "Asiatic Values in East Asian Higher Education: From a Standpoint of Globalization," Globalization, 5(1)
- グローバル化時代の高等教育:教育の質向上と文化的アイデンティティの確立が重要
- 価値:様々な定義がある
- 文化的価値:文化における価値と実践の組み合わせで定義される(Swidler 1986)
- 倫理的価値:モラル・規範(Shea 1988)
- 社会的価値:メンバーの要求と社旗の要求をバランスさせる(Parsons and Shils 1951)
- アジア的価値観:日本の発展前は、産業化の障害と考えられていた
- ウェーバーの二重論:急速な経済発展の源泉 ⇔ 産業化の遅れと金融危機の原因(本稿ではこの二重論を批判する)
- アジア的価値観の政治文化:長老支配、権力者の絶対的リーダーシップ、無条件の忠誠
- 階層が、権威と服従の2要素で成立している
- これが社会のあらゆるレベルに適用されていた
- 西側から見たこの短所:権威的リーダーシップ、長老権威、相手への不寛容
- アジア的価値観の社会経済文化:家族主義、集団中心主義
- →国家主導経済発展モデルの基礎になっている
- 一方で閉鎖的・利己的システムであり、利己的集団主義という負の面がある
- アジア的価値観には二面性がある
- 西側理論は負の側面しか見ていない
- アジア的価値観の高等教育:長老とえこひいき
- 学習は社会的地位を得るためであり、国家経済を発展させるため
- 一方で過剰な教育熱を生む
- 組織文化でも階層的権威順序や互恵的人間関係が強調される→同質的な閉鎖組織システムをつくりやすい(年長者・若年者間、管理職・教員間、教員・学生間、先輩・後輩間での温情を生む)
- これらは負の側面を生む:派閥主義(オープンな競争システムでの学術的発展を妨げる)
- 教員学生間で重大なミスを見落としがちになる(学生は教員の言うことを批判しない、若手教員は年配教員に意見しない)
- 高等教育の規模拡大の中で、負の側面が広がっている。
- →グローバル化の中で、新しいパラダイムの確立を妨げている
2022/02/08
Taye, M., Sang, G. and Muthanna, A. (2019) "Organizational culture and its influence on the performance of higher education institutions: The case of a state university in Beijing," International Journal of Research Studies in Education, 8(2), 77-90
- Tierneyの組織文化6側面に沿って調査を実施
- 環境、ミッション、リーダーシップ、情報、戦略、社会化 → 個人・組織のパフォーマンス
- 環境
- 物理環境:施設、建物、什器、事務用品で決まる
- 心理環境:他のメンバーとの相互作用で決まる
- ミッション
- ミッションステートメントが、戦略と組織のパフォーマンスに影響する
- ただし、ステートメントが文化に与える影響は正負両方で不明確
- Tierneyは、どう定義されたか?どう表現されてるか?意思決定に使われてるか?実践との間に合意があるか?を問うことで評価することを提案
- リーダーシップ
- 人的交流文化のあるリーダーは、あらゆる階層でコミュニケーション、信頼、チームワーク促進を大事にする
- 情報
- 情報文化:Tierneyは、情報が何で構成されてるか?誰が持っているか?どう拡散されるか?で評価できると提案
- メンバーが創造・共有・使用する情報に関する仮定・価値・規範のこと
- 戦略
- 組織文化としての戦略のこと、戦略をまとめるプロセスが重要
- 社会化
- 新人がメンバーになっていくことを支援すること
- 調査設計:ケーススタディを用いる(深く、文脈的でシステマティックな分析をするため)、1件35分の半構造化面接を実施、組織文化の6側面に関する質問を用意
- 結果:文化がパフォーマンスの善し悪しに影響する認識を、教員・学生が持っている。
- 対象者は個人レベルのパフォーマンスに影響があると認識
- 学生=歓迎的な社会化が学術的・社会的問題への対応で有効だった
- 教員・学生=フレンドリーな環境が取り組みをしやすくする
2022/02/07
Batugal, M. and Tindowen, D. (2019) "Influence of Organizational Culture on Teachers' Organizational Commitment and Job Satisfaction: The Case of Catholic Higher Education Institutions in the Philippines," Universal Journal of Educational Research, 7(1), 2432-2443
- 組織文化の6構成要素:主流の特性、リーダーシップ、従業員の管理、組織団結力、戦略性の強さ、成功基準
- この6側面は、それぞれ4つのタイプを持つ:
- アドホクラシー:高い柔軟性と個性をもとに外的なポジショニングを重視する(内的安定性を犠牲にして)
- クラン:柔軟性、メンバーへの関心、顧客への感性を重視した内的安定性を重視する
- ヒエラルキー:安定性とコントロールを求めて内的安定性を重視する
- マーケット:安定性とコントロールをを求めて外的なポジショニングを重視する
- 組織コミットメント:メンバーの組織への心理的愛着
- 勤勉さ、組織資産の保護、目標の共有、好調不調に関わらず組織にとどまるといった行動に表れる。
- コミットメントの3側面:
- 情緒的コミットメント:メンバーの組織における感情的な愛着、アイデンティティ、参画の側面
- 持続的コミットメント:組織を離れるコストととどまるコストの評価
- 規範的コミットメント:組織への義務感・責務の感情
- 職務満足:自分の仕事に対する前向きな感情と態度
- 調査設計:キリスト教系大学のフルタイム教員129名、71%女性、31-35歳ピーク、6-10年勤続ピーク、Cameron and Quinn (1999)のOrganizational Culture Assessment Instrumentで調査
- 結果:文化タイプはクラン、コミットメントは高い(キリスト教系だから?)、職務満足も高い
- コミットメントにプラスの影響を与える組織文化は、クラン
- 職務満足にプラスの影響を与える組織文化は、クラン、ヒエラルキー、アドホクラシー
- アジアの研究だが、結果は西欧と同様だった。
2022/02/01
Taye, M., Sang, G. and Muthanna, A. (2019) "Organizational culture and its influence on the performance of higher education institutions: The case of a state university in Beijing", International Journal of Research Studies in Education, 8(2), 77-90
- 組織文化の構成要素
- Schein(1990):artifacts, values, assumptions
- Tierney(1998):environment, mission, leadership, information, strategy, socialization
- 組織文化を理解するには1ケースを深く理解する→北京の基幹大学で学生と教員に、Tierneyの6側面に沿ってインタビュー(各4名)
調査設計と解釈枠組みが甘いことが問題か
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