藤江康彦(2017)「「発問」づくりの大前提」『看護教育』58(4),2017年4月,254-260
- 発問の役割:学習者の認知や情動を活性化すること
- 発問のみに着目しても意味がない:発問は授業参加者間のコミュニケーション過程に適切に位置づいてはじめて意味を持つため。
- 発問の3つの誤解
- 発問は理解を促すために行う:間違いでないが正しくは,発問は理解のための思考をうながすものであること。発問が直接理解を促すわけではない。
- 教材を巡って問いを立てて思考する経験の蓄積が専門職としての資質能力の基盤をつくる
- 発問にはすぐ答えが返ってくることが望ましい:よく考えられた発問ほど,学生からの反応がよいと考えがちだが,重要なのは学生が問いを持ち,その問いを時間をかけて追究することを目指して発問がつくられること。
- よい発問づくりには教材研究が大切である:発問が本当に学生に問いを持たせるかを検討する必要がある。発問づくりでは教材研究と共に学習者研究も必要。
- 教員に必要なのは,教える内容の知識だけでなく,それを授業の場で学生にどう出会わせるかを含めた知識(PCK)。
- 発問を作るポイントは,教員が教えるためのものではなく,学生が学ぶためのもの。
- → 発問は技法化できない,学ぶためのものなので技法化しても意味がない。
- → 教員の役割は足場かけ。
- よい発問の基盤には,能動的学習者観が必要。
- 人は,認知的葛藤の状態で学びたいと思う。生活実感を理論に照らすと実は違う,経験としてわかるがうまく説明できない,専門家と非専門家で立場や見え方が異なることに関する教材や発問が有効。
- 学生の思考を促すには,教材・課題の構造を3つの過程でとらえる。
- 教材との対話:その教材がどういう事象を表すか,どういう問いを投げかけるかを学生なりに考え,向き合う時間。
- 自己との対話:学習者なりに取り出した教材の構造を言葉や記号などの道具で表現する過程。
- 他者との対話:具体的な現象から仕組みや原理への言及を促す発問で,わかったことを蓄積し,自分なりにまとめて使える状態にする(=理解する)。
- そのために教員は学生に言葉が生まれる工夫が必要:授業中の情報の流れを可視化する板書,学生が教材と向き合うためのワークシート,グループ内での言葉の生成と校リュを記録するもの。