大森信(2011)『トイレ掃除の経営学 -Strategy as Practiceアプローチからの研究』白桃書房
- 型にはまった所作を徹底することは,手順をきちんと守り手際を良くする,正常な状態を知ったり保ったりする,他人のためになることや他人と共に活動する,仕事以外も含めたあらゆることを受容することの4つを大切にする精神が養われる。
- トイレ掃除は手段指向性の高いプラクティス(企業経営や経営学は目的指向性が高い)。これは,他のプラクティスとの共存が容易で,組織の集団凝集性を高める。
- トイレ掃除はない方が楽で組織の純度も上がるような異物であるが,組織にとって異物を抱えることは重要で,環境変化や安定化を脅かすものを受け入れて落ち着かせる覚悟や度量が培われる。
- SAPは戦略化(Strategize)の課程に注目し,戦略を保有するものではなく戦略していくものとする。
- 戦略のプロセス研究は,個人を対象としてこなかった。経営資源や組織能力は,存在の確認が困難であったり,優位性との因果関係が曖昧であったり,生み出される過程がブラックボックスである問題点がある。SAPはよりミクロで動態的な過程に注目することで,これらの課題が克服できるかもしれない。