2012/04/27

新渡戸稲造(須知徳平訳)(1998)『武士道』講談社


  • 戦争なき状態が平和にあらず。日本では平和は常に正義だが,国連は正義ある平和と正義なき平和を峻別する。正義なき平和は平和と呼べず,これを打ち破ってでも正義ある平和を樹立すると国連は考える。PKOの基礎となる考え。
  • 日本の学校で宗教教育がないのにどうして道徳教育ができるのか。善悪や正不正の概念を形成しているのは,武士道である。
  • 神道は,主君への忠節,祖先の崇拝,親への孝行を武士道に与えた。他の宗教で教えられなかったもの。日本人の宗教的観念は,個人的な道徳意識より,国民的な意識,つまり自然崇拝や祖先崇拝をあらわしている。
  • 知識が学ぶ者の心に同化せず,品性に表れないなら,本当の知識ではない。論語読みの論語知らす。
  • 義理とは正義の道理という意味だった。3つの教えの動機は愛であるべきだが,もしそれが欠けた場合,孝行を命ずる何らかの権威が必要で,それを義理として形成していった。
  • 礼儀が,上品でないと思われることを恐れるために実行されるなら,それは徳ではない。礼儀は,他人の感情を察する同情的な思いやりが表れたもの。
  • 切腹は単なる自殺の行為ではない。それは法律上・礼法上の制度。切腹は,罪を償い,友人に償い,自分の誠実を証明する方法であった。
  • 少女は成年に達すれば短刀を与えられ,自分を襲う者,あるいは自分の胸を刺す。自分の貞操に危険が迫ったときは,自分の武器を使うもので,自害の作法を知らないことは恥。
  • バラは甘美な花の下に棘を隠し,その生命に強い執着をもち,死を恐れて枝についたまま朽ちることを選ぶようである。桜は,美の下に短剣も毒も隠さず,自然のまま散り,色彩は華麗でなく,香りは淡くて人を飽きさせない。
  • 武士道は知性と文化を十分に蓄えた,権力を独占する人によって組織された,道徳的な価値を定める結合の精神。