- 戦争なき状態が平和にあらず。日本では平和は常に正義だが,国連は正義ある平和と正義なき平和を峻別する。正義なき平和は平和と呼べず,これを打ち破ってでも正義ある平和を樹立すると国連は考える。PKOの基礎となる考え。
- 日本の学校で宗教教育がないのにどうして道徳教育ができるのか。善悪や正不正の概念を形成しているのは,武士道である。
- 神道は,主君への忠節,祖先の崇拝,親への孝行を武士道に与えた。他の宗教で教えられなかったもの。日本人の宗教的観念は,個人的な道徳意識より,国民的な意識,つまり自然崇拝や祖先崇拝をあらわしている。
- 知識が学ぶ者の心に同化せず,品性に表れないなら,本当の知識ではない。論語読みの論語知らす。
- 義理とは正義の道理という意味だった。3つの教えの動機は愛であるべきだが,もしそれが欠けた場合,孝行を命ずる何らかの権威が必要で,それを義理として形成していった。
- 礼儀が,上品でないと思われることを恐れるために実行されるなら,それは徳ではない。礼儀は,他人の感情を察する同情的な思いやりが表れたもの。
- 切腹は単なる自殺の行為ではない。それは法律上・礼法上の制度。切腹は,罪を償い,友人に償い,自分の誠実を証明する方法であった。
- 少女は成年に達すれば短刀を与えられ,自分を襲う者,あるいは自分の胸を刺す。自分の貞操に危険が迫ったときは,自分の武器を使うもので,自害の作法を知らないことは恥。
- バラは甘美な花の下に棘を隠し,その生命に強い執着をもち,死を恐れて枝についたまま朽ちることを選ぶようである。桜は,美の下に短剣も毒も隠さず,自然のまま散り,色彩は華麗でなく,香りは淡くて人を飽きさせない。
- 武士道は知性と文化を十分に蓄えた,権力を独占する人によって組織された,道徳的な価値を定める結合の精神。
2012/04/27
新渡戸稲造(須知徳平訳)(1998)『武士道』講談社
2012/04/09
真田茂人(2008)『魅力的な組織を創るリーダーのための「自律」と「モチベーション」の教科書』CEOBOOKS
- マーケット拡大期はつくれば売れるという正解がわかっているので,競争のポイントは効率。リーダーシップは支配型,マネジメントは管理命令型,メンバーシップは服従忠誠型。
- 現代は,正解が顧客の中にある時代,競争のポイントは正解の発見。リーダーシップはサーバント型,マネジメントはモチベーション向上・協力型,メンバーシップは自律・セルフモチベーション型。
- コーチングがうまく使えないのは,その人の中に答えがあるという肯定的で主体性を重視した手法で,一定の思想や価値観・人間観が内包されているものなのに,伝える段階で単なるテクニックとしてしか伝わっていないため。
- 人間はイメージできないことは行動するのは難しい。イメージできるかどうかが自律と依存の分岐点。
- 欲求は強さと満たされ具合のギャップの意識で決まり,この欲求の個人差がマネジメントを難しくする。リーダーは欲求を満たすよう指導する。
- 組織力は,愛・所属の欲求から生まれる。個人主義,序列の崩壊,雇用の多様化,コミュニケーション欠如,メール文化はこの欲求を満たしにくくする。
- 仕事をする上で,力・価値の欲求が重要。ほめるよりも認める(結果承認,事実承認,存在承認)ことが自律を促す。さらには,自己評価,仕事の定義の仕方を変えることでも促せる。
- ギャップアプローチよりポジティブアプローチ。
- 自由の欲求は,権限委譲で促す。
- 楽しみの欲求は,仕事をおもしろくすることで促す。学びは本来最大の楽しみ。
- 危機感で人を走らせると克服すると元に戻る。お互いを意識して協力して作り上げるクオリティタイムをつくる。
2012/04/06
クリスタ・メスナリック(2011)『アリストテレス マネジメント』ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 運動をプロセスに組み込め。最高のアイディアは散歩中にわいてくる。
- 全ての認識は驚きから始まる。
- はじめは全体の半分である。
2012/04/05
宮台真司(2011)『宮台教授の就活原論』太田出版
- かつて就職はborn again,家族・学校の共同体から企業共同体に生まれ直すことを意味したため,以前の共同体から持ち込まれるものは迷惑だった。
- かつては企業も企業文化も変わらないことが前提だったため,学生に適応を求めたが,現在は存続のために変わるかもしれず適応力をを求める。
- このことは就職活動の中身の変化を意味する。適応世代の年長者を相手に,年長世代の自明性を破る提案をしつつ,相対的に人間関係を台無しにしないで済ませる能力が重要になる。
- 学生は仕事を通じて自己実現したいと考えるが,仕事で自己実現するという考え方自体に問題がある。
- かつて,仕事での自己実現が難しくなった際,消費での自己実現へシフトした。しかし,意匠に駆られて買い換える社会は,市場の限界を超えられても,資源・環境の限界は超えられない(成長の限界)。こうして,家族や地域という帰還場所がなくなってから,再び仕事での自己実現を求め始めた。
- 昔は生活のために働くうちに仕事=人生になったが,今はまじめにこつこつ働いても報われない可能性もある。そうであれば,仕事で不本意でも承認から見放されずに自己価値を保てる関係性や本拠地を持つ方がよい。
- かつて,会社員が死ねば同僚が大挙して葬式を出した。地域でも葬式を仕切った。今は家族だけで,中には家族がなく葬式もしない人が多い。
- 近代化は地域をホームベース(感情的安全を得る所)になることを困難にしたので,企業をホームペースにした。今は企業もホームベースになりにくく,自分の力で作らないといけない。その意味でも仕事での自己実現は危険。
- 共同体の空洞化の解決には,就業時間の短縮が必要。少子化の要因は非婚化と晩婚化だが,その背景は恋愛市場におけるアンマッチングと信頼できる恋愛関係の樹立スキル低下,育児コスト上昇。
- かつてはサークルが就職ルートだった。バブル後,採用枠が小さくなり,学生は別の採用ルートを探し,企業は優秀な学生をピンポイントで探して早く採用したいと考えるようになった。
- 情報過多で,学生は適職幻想に陥る。選択肢は多いほどよいは勘違い。実際にどんな仕事かも知らずに職業を志望するのは問題。多くの学生は,周囲・世の中の承認がある仕事を希望しがち。メディアの情報は消費者向けに加工された誘引情報で,真に受けるのは問題。
- 趣味の時間や家族の時間を楽しむためと思うなら,大企業への就職は合理的。仕事での自己実現を目指すなら,全体性が見える中小企業が合理的。そもそも大企業を狙うから就活がつらくなる。婚活がつらいのと同じ構造。両者とも貧しいマスイメージのみで考えている。
- これから生き残るのは社会的に正しいことができる企業。
- 内定を取る学生は実績のある学生。未来への希望ではなく,過去の実績が評価される。結局,大学生活を誰よりも充実して過ごすことが一番の近道。そのためには,すごい奴に出会って感染されろ。
- 後から取り返せることに時間を使ってしまった子は,その機会費用の分,遊びで得られる経験をせずにしょぼい奴にになりやすい。
- 何事もいいとこ取りやつまみ食いはできない。全体最適を考えない部分最適化は低いアウトプットにしかつながらない。相手の暗黙の要求がわからない学生が多い。グループワークには,その場にいる人々を観察し,期待による呼びかけと応答のやりとりの能力が必要。こうした訓練をしてこなかった学生に就職は難しい。
- ゆえに,学校教育でグループワークを重視するひつようがある。サークル活動でもよいが,そうした機能を持つサークルは減りつつある。
- 自殺したいといって屋上に立つ人を止めるロールプレイング。通常,どうして,そんな理由で自殺する必要がない,というが一番だめ。おまえが死んだら悲しいといって,相手がこの人を悲しませたくないという感情を動かせばOK。もう一つは,おなかすいてないか,何か食べてからにしよう,と思いもしない発言で硬直した文脈をずらす。コンテクストでなくテクストに反応すると本義を忘れた応酬ゲームになる。テクストから身を外してコンテクストに集中するのは意外と簡単。
- 就活マニュアルをいかにも就職できなさそうな人が読んでいるのは,まさしく癒やし宗教。
2012/04/04
Diana C. Bisbee, (2007) "Looking for Leaders: Current Practices in Leadership Identification in Higher Education," Planning and Changing, vol.38, no.1 and 2, 77-88.
- 従来,意欲のあるベテラン教員が学科長になり,その職務に満足した人が上に上がっていた。今では,学科長から学部長になるのは,カレッジによって異なるが半分程度。学部長への入り口は多様化した。
- 今では自発的に学科長になる教員は極めて少ない。説明責任,内部の変化などでストレスの多い仕事になったため。潜在的なリーダー候補者が少なくなるリスクがある。よって,組織的にリーダーを見つける(育てる)ことが今後必要。
- 調査によれば,ほとんどの役職者は教員からキャリアをスタート,半数以上が内部候補者(上級職では3/4),3/4は同僚からリーダーに選ばれている。1/3はよりより任命方法が必要と考え,半数は任期後に教員に戻りたいと考えている。
- リーダー候補者捜しは,単発のイベントではなくプロセスであり,様々な場面でリーダーシップを発揮する訓練機会を埋め込む必要がある。絶対なりたくないという人が,かなりいる中で,一般教員にも管理職の難しさを経験してもらえれば,組織の調整がより円滑になると期待されるため。
2012/04/03
大森信(2011)『トイレ掃除の経営学 -Strategy as Practiceアプローチからの研究』白桃書房
- 型にはまった所作を徹底することは,手順をきちんと守り手際を良くする,正常な状態を知ったり保ったりする,他人のためになることや他人と共に活動する,仕事以外も含めたあらゆることを受容することの4つを大切にする精神が養われる。
- トイレ掃除は手段指向性の高いプラクティス(企業経営や経営学は目的指向性が高い)。これは,他のプラクティスとの共存が容易で,組織の集団凝集性を高める。
- トイレ掃除はない方が楽で組織の純度も上がるような異物であるが,組織にとって異物を抱えることは重要で,環境変化や安定化を脅かすものを受け入れて落ち着かせる覚悟や度量が培われる。
- SAPは戦略化(Strategize)の課程に注目し,戦略を保有するものではなく戦略していくものとする。
- 戦略のプロセス研究は,個人を対象としてこなかった。経営資源や組織能力は,存在の確認が困難であったり,優位性との因果関係が曖昧であったり,生み出される過程がブラックボックスである問題点がある。SAPはよりミクロで動態的な過程に注目することで,これらの課題が克服できるかもしれない。
2012/04/02
Judith Lithens (2005) "The Europeanisation of Higher Education in the Netherlands," European Educational Research Journal, vol.4, no.3, 208-217.
- Europeanisationは,異なるシステムを維持したまま同一の目標を追求することを指す。
- BAMAの導入は,Hogeschoolより大学にとって劇的な変化をもたらすプロセス。Hogeschoolはもともと学士システムに似ていたが,4年課程を3年学士と1年修士にする変革は大きい。
- Hogeschoolの修士は公財源で運営されない点が問題。
- ボローニャプロセスでは,教育の質の差は改善されなかった。
- 公的には同じ学士であるが,異なる高等教育機関の間で学士や修士の比較をすることは困難(ボローニャの理念ではあるが,厳密なルールを確立しなかったため。)
- ボローニャプロセスは,学生や教職員の移動を活発にすることを狙っていたが,実際にこれに効くのは財政的な要因である。フィンランドは2年の修士を全額支援するが,オランダの学生がフィンランドで2年修士を学ぶ際には,1年しか財政支援がない。
- 欧州で修士は90ECTS相当の学習量だが,オランダでは60ECTS相当。政府はプラス30ECTSの財政支出を渋ったために,オランダの高等教育競争力が悪化。3+2や4+1を求めたにも関わらず,3+1となった上,学士+修士を1セットにする制度も作らず,結局BAMAシステムがオランダ経済にプラスの効果をもたらすに至っていない。
- ただし,基本的に前向きで厳格な3年学士課程の運用は,ドロップアウト率を下げることが期待できる。
2012/04/01
中嶋嶺雄(2011)『日本人の教養 混迷する現代を生き抜くために』朝日新聞出版
- 人間にとって一番大事な経験は知的経験=教養に支えられた個々人の決断によって獲得された実践的な体験。教養は決断を促すものであり,決断の精度を上げていくものが教養。実践を伴うものこそが教養であり,教養は社会を動かす力そのもの。
- 設置基準の大綱化はSimplification。
- 個性的と協調的の矛盾を克服したところに立てる人が教養人。
- 若い時代に集中的に行う読書が個性を大いに育む。
- 日本語,英語ともう1つの3言語主義が,異文化を理解し個性を磨く。
- 人間は経験の生き物であり,どのような経験をしたかで人の判断基準は大きく変化する。
- 知識があってもアイデンティティがなければ,ただの博識の人。
- 知識の獲得には主体性が不可欠,それは家庭教育が担うもの。
- 武士道はアイデンティティ獲得の上で有用。
- 欧州人が好むバラは複雑で甘美の下にトゲを隠しているが,桜は刀も毒も持たず単純であるが故に美しい。
- 知識を使い,考察を深めるために,統計的考察と批判的考察がある。
- 人文科学や社会科学を含めてArts。本質をつかむ,つまり決断のプロセスがArts。本質を見抜く目は人間の外ではなく内にあり,選択や決断を養うには経験の蓄積が欠かせない。国境を越えて価値を認められるものを本物と呼ぶ。
- 教養を深めることが個人にとって快楽であると同時に,周りの人のための決断によってより深い達成感があるものでないといけない。
- 単位互換するにはカリキュラムにインターナショナルコードが付いていなければならない。
- 家族が共有する図書がよい。ちびくろサンボ,モモ,マゼラン,車輪の下,おろしや国粋夢譚。
- 日本を知る本もよい。三四郎,人間失格,石光真清の手記。
- 多様な人生に触れる本。狭き門,若きウェルテルの悩み,シーシュポスの神話。
- 国際教養大学の必読書。武士道,三酔人経綸問答,菊と刀,文明の生態史観,論文の書き方(清水幾太郎),万葉秀歌,文名が衰亡するとき。
- 世界を広げる本。文明の衝突,モゴール族探検記,平和の代償,創造の方法学,職業としての学問,革命について。
自身の自伝を交えた教養大学設計論。しかし,この自身の経験の部分が,結局教養の大切さを示している部分でもある。
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