2011/02/17

海老原嗣生(2010)『「若者はかわいそう」論のウソ』扶桑社新書


  • 終身雇用制は,正社員の既得権益を守り,若者に無職や非正規労働を強いており,雇用の流動化が必要という論は成立しない。流動化した市場の米国は,25歳未満失業率が約20%,全年齢平均で9%であり,日本の25歳未満失業率9%,全年齢平均5%と比較しても高い。
  • 四年制大学新規卒業者の正社員就職数は、1980年後半で29.4万人,2008年で39万。バブル期の求人ピークは94万人,94年の求人は39万人。バブル期に比べ,22歳人口が3割減る中,景気に対応しながら,新卒雇用は増えている。
  • すなわち,大学生の就職問題は大学生の増えすぎ。高卒求人の激減は高卒就職者自体が減少して大きな問題にならなかった。
  • 就職氷河期の根拠は大企業求人倍率0.5〜0.8の推移(過去15年)。しかし,1000人以下規模では,2.16,300人以下規模では4.41で,ホワイトカラー需要は多い。余裕がなければ新卒を採れないはずで,就職先としては悪くない。
  • 中小企業就職は,動機がいない,研修がない,給与・休暇面の不遇などの面で求職側に不安がある。
  • 政策として,ブラック企業のデータベース化と,集団新任研修,勤続手当支給を行えば,就職と定着を促進できる可能性がある。
  • 企業が高学歴者を求める理由は,(1)膨大な資料を扱う,新規立ち上げ,複雑な仕事などをこなす頭のいい人,(2)物事の要領を得て効率良い勉強ができる要領のいい人,(3)上の言うことを忠実に守る人の3タイプが,組織にとって有益であるため。