大竹文雄(2010)『競争と公平感』中公新書
- 市場経済のメリットとは、市場で厳しく競争して国全体が豊かになって、その豊かさを再分配政策で全員に分け与えることができるということ。デメリットは競争のつらさと格差の発生。日本人はデメリットを大きく考えすぎている。中国やインド、ロシアでさえ信頼があるのに。そのメリットを学ぶのは学校であるはずなのに、全く教えられない。
- 日本人は所得が何で決まるべきかについて、選択や努力以外の要因に否定的。アメリカは、運、才能、学歴による差を認める傾向にある。
- 非正規切り問題は、非正規雇用の規制強化でなく、正社員の既得権益にメルを入れないと解決しない。正社員に与えられた強すぎる解雇規制を緩和し、正社員と非正規社員の雇用保障の差を小さくする。あるいは、非正規切りが正社員の雇用調整や賃金カットにつながる仕組みを作る。
- 欧州では、有給休暇は強制的な休暇であり、取得時期の決定権が企業にあり、労働者にはタイミングの指定はできない。消化率が100%近くになるのは、当然。日本は取得する時期を労働者が決定する制度になっているので、傷病や介護、育児のために貯めることが合理的な行動になる。万一に備える貯蓄行動と同じ。