本書で言う学校評価とは、学校が何を目指し、実際に何が起こり、成果を上げているかを知り、課題を改善するにはどうするかという基本的な情報を、教員・保護者・児童生徒・地域住民の関係者で共有するための材料を言う。
現在の教育改革は、(1)多様な選択肢、(2)信頼される学校とアカウンタビリティ、(3)開かれた学校、という3つのキーワードで語ることができ、これまでの国と自治体の独占状態では求められることがなかったものである。一言にまとめると、入り口の管理から出口の管理へのシフトであり、結果のチェックに重点が移ることで評価も重要になってきた。
情報公開は重要で、自己診断調査結果を積極的に公開している学校ほど、調査結果を学校改善につなげている傾向がある。この背景には、学校の問題は基本的にコミュニティの問題であるからだ。
学校評価のデザインは、具体的にはどんな目的で、誰が、誰を対象として、どのように評価するかを決めることである。これらを決めるにあたり、(1)権威に基づく問題解決(ヒエラルキーソリューション)、(2)市場を通じた問題解決(マーケットソリューション)、コミュニティによる問題解決(コミュニティソリューション)という3つのモデルが参考になる。義務教育はこれまで、基本的にヒエラルキーで問題を解決してきた。しかし、イギリスでは3つのソリューションを組み合わせた問題解決に取り組んでいる(国の関与・統一テスト・LMS)。本書では、これからの学校評価で重要なのはコミュニティソリューションであると主張する。
コミュニティを分析するには、ルール・ロール・ツールの3つに注目する。ルールとは、コミュニティから自生した約束事・了解事項を指す。ロールとは、権威に基づいた職位ではなくコミュニティのメンバーに承認されることで有効になるメンバーが果たすことを期待されている役回りを指す。ツールとは、メンバー間のコミュニケーションと情報共有の手段・仕組みを指す。
評価の具体的な手順は、以下の通りである。
- 課題分析と可視化 (i)定性調査による気づきの洗い出し、(ii)課題の抽出、(iii)ゴールの設定、(iv)マトリックスへの整理、(v)課題の絞り込み・重要度実現度分析
- 評価システムの構築 (i)評価指標の選定、(ii)現状値の調査、(iii)目指す値・役割期待値の設定
- 情報共有の推進
- 活動実践と役割分担・活動連携
- モニタリングとフィードバック