- 類型分類
- 大学大綱法(基本法):伝統型大学、教育大学、芸術大学、専門大学、その他
- 連邦学術研究省:伝統型大学、教育大学、神学大学、芸術大学、専門大学、行政専門大学
- 学長会議:伝統型大学、専門大学、芸術大学
- 設置者
- 州立大学、教会立大学、私立大学
- 進学率約30%(進学者平均年齢22.1歳)
- 定員=施設面積に対する標準定員
- 希望者は受け入れる原則から、実際は定員以上が在籍
- → 「中央学籍配分」(全公立大学定員を一括管理):伝統大学(経営、生物、医、薬、心理、獣、歯)、NRW伝統大学(+地理、教育等)・専門大学の3つで実施
- 私立設置の地理的な偏りがある
- 旧東ドイツ5州にはほとんどない
- 設置は州の権限、大都市でもない地域あり(ミュンヘン等)
- 言語文化、法・経済・社会科学、自然科学が多い、工学・医学は少数
- 伝統型の私立
- 経営学多い(分野限定)、経営大学院あり、学位はディプロム・マギスターでなくバチェラー
- 専門の私立
- 経営学多い、次にコンピュータ・工学、バチェラー多い、遠隔多い
- なぜ私立が増えたか?
- 既存の大学では時代の変化・社会要請に対応できない
- 新設でも学習内容で評価される(MBAをとれば待遇上がる)=州立に入れなかったではなく、積極的に私立を選べる
- 財政的な不安定性が弱点、州立は無料・私立は授業料高額
- 教員は教育を丁寧にするため研究が弱くなる
- 外国人学生への依存が高い
- ボローニャプロセスの脅威
- 州立大学の改革が進むと私立の長所がなくなる
2024/01/25
金口恭久(2006)「ドイツにおける私立大学設置の動向」『大学評価・学位研究』4, 17-35
2024/01/22
French, S, Dickerson, A. & Mulder, R. (2023) A review of the benefits and drawbacks of high‐stakes final examinations in higher education, Higher Education,
- 大学教育での試験の問題は十分検討されていない
- 期末試験は広く使われているのに、エビデンスや教育の視点が弱い。
- 主な2つの問題
- 評価方法の多様性が損なわれる:学生の知識・能力を多免停に理解する必要がある
- 総括的評価に偏りすぎ:フィードバックを犠牲にしてカリキュラムを支配する
- 既存文献のスコープレビューを実施→コーディング→7テーマを抽出
- (1)記憶再生・保持
- 試験は記憶保持が向上する ← 期末より直後の小テストの方が定着が高い
- 定着が早く終わることも問題
- (2)モチベーションと学習
- 表面的な学習戦略をとらせる
- (3)真正性・社会的レリバンス
- 社会では事実の再生よりも、コミュニケーション、批判的思考などが重要
- フィードバックが受動的、失敗から学べるものが少ない
- (4)妥当性・信頼性
- 妥当性の検討は義務ではない、実際にされることもない
- (5)不正行為
- エッセイ形式は、剽窃問題が深刻
- (6)ストレスや不安
- ストレスを高めるという指摘もあるが、それが学習成果を下げないという議論もあり、未確定
- (7)公平性・公正性
- 試験は公平というが裏付けがない。性別でのパフォーマンスの差がある。
- 試験重視の風潮は、エビデンスに乏しい。
2024/01/15
Dehon, C. & Lebouteiller, L. (2024) A comparison between two systems of university education: years of study versus credit accumulation, Education Economics
- ベルギーの年次制から単位累積制への移行のインパクト検証
- 学士課程3年生:1年=60ECTS
- 年次制=単位を全て習得できない→その年次全体を再履修
- 単位累積制=履修科目に年次がつかない、15/60単位不合格→次の学期の合格科目で15単位を埋め合わせられる(?)
- より楽になる、不合格科目があっても継続しやすい、不合格が累積すると意欲が下がる
- 累積制の導入で、学移植特確率は下がった(なぜ?)、不合格単位が累積すると、学習の年次が広がるため意欲が低下しやすい(年次制だと他の専攻へ移動するので卒業しやすくなる?)
2024/01/08
Wilkesmann, U. & Wagner, O. (2024) Theoretical and empirical approach to how a professorship is organized in the German higher education system and how the organizational process works, Higher Education
- 組織と教員=マクロとミクロ→研究ユニット=中間組織
- →中間組織は重要な調整レベルなのか?
- 組織の5基準:メンバーシップ、ヒエラルキー、ルール、モニタリング、サンクション(Ahrne & Brunsson 2011)
- 講座=大学の組織単位(ドイツ・オーストリア・スイス)=教授職はチームマネジャー
- 1976年に法的には廃止されている
- 教授は終身雇用の公務員、教授以外は原則任期付き
- 英米型の博士課程はまれ、博士学生は研究助手として雇用され、研究・教育を徒弟で学ぶ
- 質的調査
- (1)20名の教授(女性10名)、(2)上の教授のチームスタッフ→内容分析
- 大学が特殊な組織である理由=(1)ユニットが疎結合、(2)教育・研究の技術が不明確(Musselin 2007)
- 「組織的行為性」=説明責任、目標の定義、形式的構造の精緻化、管理職の台頭の4つが特徴的
- →「組織のアクター化」(Hasse & Krucken 2013)=大学の階層化、自治弱体化、管理職の意思決定者化 ← NPMで教化された
- ↑ 目標を内部で実行する内部構造が必要なはず=それこそが講座
- 組織の5基準で教授職の思考を考察する
- メンバーシップ
- 公式の契約は大学と行われるが、雇用・解雇・更新の決定は教授が行う
- メンバーシップを決める公式ルールは明確だが、意思決定プロセスは非公式である
- ヒエラルキー
- 階層の程度は講座の規模次第
- リーダーシップ行動トランスフォーメーショナルよりトランザクショナル(=業績で契約を更新するか否か)
- ルール
- 著者の順序など、内面化された社会規範はモチベーションを維持するために必要
- モニタリング
- 社会的モニタリング(相互監視)が組織の重要な機能←教授は講座内の問題(違反など)に気づかない
- しかし、仕事量は厳密に測定できないので、監視能力は高くない
- サンクション
- 制裁を決定するのは教授のみ
- 全ての重要なプロセスは下位組織内で行われる、それらを管理・調整するのが教授職
- ドイツの大学が全体的にフラットである=実際の仕事がかなり階層的である
2024/01/06
松下佳代・前田秀樹・田中孝平(2022)『対話型論証ですすめる探究ワーク』勁草書房
- 論題には3つのタイプがある
- 事実論題=事実の有無・真偽を議論の対象とする(日本で原発が最も多いのは福井県である)
- 価値論題=価値判断を議論の対象とする(地球温暖化対策には原発の活用が大切である)
- 政策論題=行動や政策の是非を議論する(原発を廃止すべきである)
- 政策論題は、事実論題と価値論題の双方が多層的に含まれる構造がある
- コロナ禍の教育格差拡大を食い止めるには、オンライン授業を徹底させるべきだ
- →事実:高校生の間に教育格差がある、教育格差拡大にはオンライン授業が有効
- →価値:高校生の教育格差は重大な問題だ、オンライン授業は対面授業よりも優れている
- 問題・課題・問いの関係
- 問題=ある対象や状況についての問題意識やその背景のこと。そこから設定した課 題や問いを包含する。
- 課題=疑問だ、解決すべきだ、知りたいと思う問題の領域や具体的な事柄。
- 問い=課題の粒度を小さくした問い。そのなかで探究上の問いをリサーチクエスチョンという。
- →問題=貧困をなくそう→課題=貧困層への社会保障制度の拡充、貧困国への交際支援の拡充、貧困層の医療の不平等、→問い=住む地域の経済的な豊かさによって受けられる医療に差が生まれている現状をどのように解決すればよいだろうか?
- 課題は、踏み込んで探究したいと思う領域や具体的な事柄を指す。課題は、現状と理想のギャップから見つけるとよい
- 問いは、視点を変える(5W1H)・規模を変えるの2つで作る
- リサーチクエスチョンは、なぜ→どうなっているのか→なぜ、でつくる。
- 仮説を立てる
- 仮説を思いつくように文献を読む(メウロコ、ハゲドウ、ナツイカ、ハゲパツ)
- 仮説のうち、根拠や対立する主張への反駁を通じて正当化されたものが主張(仮説が主張になるのは、論拠で正当化された後)
- 論拠・理由づけのタイプ
- 因果関係:事実=原発付近で奇形の花が生じた、論拠=放射線を受けると動植物に奇形が生じることがある、主張=この花は原発事故によるものだ
- アナロジー:事実=Aは性質Pをもつ、論拠=AとBは類似している、主張=Bも性質Pをもつだろう
- 規範:事実=死刑を執行することは罪を償う機会を奪う、論拠=何人といえども、罪を償う機会を奪ってはならない、主張=刑制度は廃止すべきだ
- 権威:事実=XはPと主張している、論拠=XはPに関して信頼できる専門家である、主張= Pは正しい
- 結論の形
- 事実論題=XはAである
- 価値論題=Aはよい
- 政策論題=Aを行うべきだ
2024/01/02
斎藤有吾(2019)『大学教育における高次の統合的な能力の評価』東信堂
- 客観的評価か主観的評価かどうかは、評価の際に、評価者の主観が混入し、それによって結果が左右さるかどうかであり、評価データが量的か質的かということではない。
- エビデンスをもとに評価していれば、学生の自己評価・ピア評価も直接評価になる
- 新しい能力概念(松下 2010)のカテゴリー
- (1)基本的な認知能力
- (2)高次の認知能力(批判的思考・問題解決・創造性・意思決定・分析的思考・表現力)
- (3)対人関係能力
- (4)人格特性・態度
- 1+3+4=統合的な能力=自ら課題を設定し、自己の既有知識や周囲のリソースを選択して活用し、課題の解決を図る
- 本書では、2と統合的な能力を「高次の統合的な能力」と呼ぶ
- パフォーマンス評価の特徴(松下 2010)
- (1)パフォーマンスを実際に行わせてそれを直接評価するは評価の直接性
- (2)パフォーマンスが具体的な状況の中で可視化され、解釈されるパフォーマンスの文脈性
- (3)それ以上分割すると本来の質を失う、ひとまとまりのパフォーマンスを行わせるパフォーマンスの複合性
- (4)そうした質の評価のために評価基準と複数の専門家の鑑識眼を必要とする、評価の分析性と間主観性
- 2つのルーブリック
- 全体的ルーブリック:パフォーマンス全体をひとまとまりのものとして捉える=総括的評価に有効
- 分析的ルーブリック:1つのパフォーマンスを複数の観点で捉える=形成的評価に有効
- 真正な評価:信頼性を多少不問にしても妥当性を確保することが重要という考えに基づいている
- 学生調査や標準テストのみで、大学の文脈に沿った高次の統合的な能力を捉えることは困難
- ⇔ コースレベルでは、質的評価は形成的評価の側面が強い
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