石田雅樹(2022)「アメリカ高等教育をめぐる対話」『宮城教育大学紀要』57, 1-11
- デューイ−ハッチンズ論争:
- 進歩主義論者 VS 教養主義の復権を掲げる復古主義者
- 進歩主義・経験主義・プラグマティズム VS 永遠主義・古典主義・現実主義
- ハッチンズの「アメリカにおける高等教育(The Higher Learning in America)」
- 教養を深め専門的知識を習得するはずの大学教育が全く機能していない
- 高等教育は、金儲け主義、デモクラシーの誤解、進歩の誤った考えがある
- 金儲け主義:寄付金・学納金獲得、社会関心に沿った学部設置
- デモクラシーの誤解:進学者増が学問関心でなく失業対策
- 進歩の誤った考え:現在より未来はよくなる(=進歩論)考えが過去(古典)との決別を促した
- その解決策:教養教育(general education)の再生
- 歴史を超えて伝えられてきた普遍的な知識
- → グレートブックスを読むことを提案
- → テクストを正しく読み・書き・考え・話すための技法の修得
- → 新高等教育プラン:4年の教養教育修了者のみが高等教育(専門学科)を学ぶ
- 3つを3年かけて体系的に学ぶ(自由選択履修はなし)
- 形而上学:学問全体と統括する原理(哲学)
- 社会科学:倫理学、政治学、経済学(これらを応用したのが法学)
- 自然科学:物理学など(これらを応用したのが医学・工学)
- デューイの3つの批判
- 権威主義的な真理概念:哲学を固定的でい永遠の権利原理としている、それはデモクラシーを脅かす
- 経験主義と自然科学の軽視:古典の真理のみが重視されると、経験の観察から真理を見つける過程(自然科学の探究プロセス)が軽視される、テクストの解釈のみで事足りるという考えが現代になじまない
- 社会的要請からの大学の撤退:問題はわかるが、代替案を示さず理念を述べても問題からの逃避にしかならない
- ハッチンズの反論
- 批判になっていない、議論を正確に反映していない
- 固定的・永遠はデューイの創作、教養で自然科学は重視している
- 大学の使命がデモクラシーの建設と明言している
- 教養の後で、聖職者、医師、弁護士、教師が、形而上学、社会科学、自然科学を同組み合わせるかを提案している
- 職業教育と教養教育
- 中等教育を教養と職業に分離する二元システム導入をデューイは批判(社会的分断を生み、デモクラシーを脅かす)
- ハッチンズ=教養教育から職業教育へ進む ⇔ デューイ=職業教育の中に教養教育を見出す
- どちらも職業教育と教養教育を二者択一ではなく、異なる方法で統合しようとしていた
- ← 社会的効率性の名の下で、特定技能の修得を進めることは一見合理的だが、技能の陳腐化で大量の失業者を生む非効率な帰結になるかも