安藤史江・杉原浩志(2011)「組織はどのようにアンラーニングするのか?」『組織科学』44(3),5-20
- 環境変化が大きいほど、大規模な組織アンラーニングの必要性は増し、旗振り役としてのトップに対する期待も高くなる。
- ← トップ主導での取り組みが望ましい組織アンラーニングをどのように可能にするのかのメカニズムは不明。
- 組織アンラーニング(組織の学習棄却):時代遅れになったり組織や人を誤った方向に導く知識を、組織が捨て去るプロセス(Hedberg 1981)。
- 規範、価値、準拠枠、認知構造、世界観、基本的仮定も対象。
- これまでの研究は、ルーチンより深く埋め込まれた対象物に向けがち。何を捨て去るかについては議論されていない。
- 棄却と置き換えは別の活動と考える。(← ここでは棄却のみをアンラーニングとする)
- 棄却は置き換えの基盤になるが、可能性を高めるに過ぎない。
- 棄却を伴わない知識獲得も多い。
- 棄却と置き換えが同時に行われる場合もある。
- 棄却されても元の状態に戻り、置き換えられないこともある。
- Akgün et al.(2007):アンラーニングの対象はルーチンと信念(=使用理論 ⇔ 信奉理論(組織が表向き掲げる概念))。
- Tsang and Zahra (2008):ルーチンこそ、組織の行動的な側面と認知的側面を統合しうる概念。
- Feldman and Pentland(2003):表向き(原理原則的)ルーチンと、遂行的(実際に使用され、特定の場所や時間、行動に粘着性がある)ルーチのがあり、後者が棄却されないと元に戻ってしまう。
- 組織の共有されたメンタルモデル:組織ルーチン+世界観(組織価値、組織のものの見方)(Kim 1993)。→ 組織の共有されたメンタルモデルの変化とメンバー個人のメンタルモデルの変化がリンクするほど、置き換えが生じやすくなる。
- ← アンラーニングのプロセスを深く記述すると、個人の新年の変化と組織アンラーニングの関係をみなければならない。
- 3つのアンラーニング対象:(1)表向きの価値・ルーチン(慣性弱い)、(2)遂行的な価値・ルーチン(慣性強い)、(3)メンバーのメンタルモデル(組織アンラーニングの成否を握る)
- 組織はこの3つの対象全ての棄却を同時に行うのか?段階的なのか?後者ならどのようなメカニズムか?
- トップのイニシアティブ研究は、アンラーニング成立との関係をブラックボックスにしてきた。
- 事例の考察
- 段階的アンラーニング:トップ交代→表向き価値・ルーチンの棄却、従業員の新体制への信頼感希薄・受け身のまま→表向き価値観変化が成立、遂行的価値・ルーチンの変化発生→一般職員変化に施設長が気づいて棄却→遂行的価値・ルーチン下で学習活動活発化、トップのレッテル貼りから脱却。
- 段階的=足踏みがあった:一般職と管理職で棄却レベルが揃った時に変質が生じた。
- 先行研究でも棄却が元に戻る時は、ミドルが自己防衛意識から脱却できず、規則権益を守ろうとした時。
- 直接の上位層の棄却が重要。
- 階層間でアンラーニングの差がギャップとして現れ、それを解決するために段階的になった。