藤枝茂雄(2017)「地域協働による教科横断的な学びに関する考察」『岡山大学教師教育開発センター紀要』7,21-30
- 教科横断的な学びに関する指導上の課題:校内研究に関する協議の枠組みが「教員たちの自明視する教員の文化」の中に閉じており、その枠を越えて教員の教育観や児童観などを根本的に問い直すという視点が少ないこと。
- → 学校や地域においては、歴史的、文化的、社会的に組織の役割や成員の行動を規定してきた「固有の枠組み」が存在する。
- → 具体的には4つの壁。
- 教科・校種の壁
- 小中学校の職務文化の壁:小学校=理想主義、中学校=現実主義
- 学習指導要領に由来する壁: 合科的な教科学習の枠組みによる授業はない
- 地域と学校の役割分担意識による壁:学校=学習指導や教材開発、地域=安全活動・学校環境整備サポート
- 活動理論
- 第1世代(ヴィゴツキー):「主体」「対象」「それらを媒介する文化的な人工物」の三つを結んだ三角形のモデルを提示
- 個人と社会を媒介する文化的人工 物を人間の行為の要因としてとらえることで、「両者のあいだにあった裂け目」を克服
- 第2世代(レオンチェフ):分業が共同体における個人的行為と集団的活動のあいだに分化を引き起こしたことに注目
- 活動の概念は、 個人という主体と共同体との複合的な相互関係に焦点が合わされることになった
- 第3世代(エンゲストローム):相互作用する活動システムのネットワークという概念的な枠組みを持つ
- エンゲストロームの活動理論
- 主体と対象あるいは行為者と課題領域の間の相互作用は、さまざまな記号や象徴を含む道具によって媒介される。しかしながら、この三角形の最上位の部分は氷山の一角に過ぎない。ルール、コミ ュニティ、分業といった、活動のより見えづらい社会的媒介物が、このモデルの下部に描かれている。 システムの要素間には連続的な変容がある。活動システムは絶え間ない再構築そのものである。
- 最近接発達領域(ヴィゴツキー)
- まだ成熟してはいないが成熟中の過程の中にある機能、今はまだ萌芽状態にあ るけれども明日には成熟するような機能を規定するもの
- 人が支援や相互作用なしにひとりで何ができるか ではなく、より経験のある他者の助けを借りて何が できるかということの方を吟味するなら、私たちは人間発達の潜在力をダイナミックに理解することが できる
- 活動システムの発達
- 個々バラバラの、内的矛盾をはらんだ学習行為を織り糸として結び合わせ、社会的に新しい活動の構造(新しい対象・新しい道具などを含む)を生起させ ること
- = 歴史的に累積されてきた「アーティファクト」「ルール」「分業パターン」に重層的に媒介された人間の学習の「集団的な学習システム」を変化・再編させ、「新たな活動への拡張」に挑戦すること
- この学習活動の力となるものが、活動システムに内在する幾種類かの「矛盾」や「板挟み状態」であり、それをもとにシステム自身のもつ歴史的・文化的な枠組みをシステムの三角形の頂点に描かれて いる諸要素が自己更新するとき、そのシステムによ って成り立っている集団や組織は最近接発達領域をわたり、新たな状況、新たなシステムを生み出す