舘昭(2013)『原理原則を踏まえた大学改革を』東信堂
- 2011年4月施行大学設置基準:大学は,...,学生が...,社会的および職業的自立を図るために必要な能力を,教育課程の実施および厚生補導を通じて培うことができるよう,...適切な体制を整えるものとする。キャリアガイダンスが加わる。
- 1999年の中教審答申「初中等教育と高等教育との接続改善」でキャリア教育を,望ましい職業観・勤労観および職業に関する知識や技能を身につけさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育と規定し,大学を含むあらゆる教育段階での実施を求めた。
- これらにより,(1)キャリア教育は大学教育そのものであり(学校教育法の大学の目的),特定科目の実施ではなく専門教育を含む大学教育全体の根本的体質改善を必要とする,(2)キャリアガイダンスは特定の職業に就くための就職指導ではないが,現実の学生は就職指導を必要としているという課題がある。
- 大学の根源的な改革とは,政策と大学が,大学は一部のエリートのものなのに仕方なく拡大しているから,そもそも国民全員の享受すべきものに転ずること。なのに,日本は短大の衰退を放置している。国民全てが思考力を備えた知識労働力化が求められている=国民皆高等教育。
- 学士課程は大学が研究機能を有することを前提にしており,教育と研究を無関係に議論する政策は現実の問題を解決しない。教育と研究の分離を掲げることは,大学の存在根拠を崩壊させる。
- 大学においては学生は研究に参加するものであり,学生が身につけるものは研究的な方法である。教育では,自分の研究ではなく,これまでの研究を体系化して教えることが必要である。
- 日本でアドミッションポリシーを機能させるには,個別大学の学力試験廃止がどうしても必要となる。そして,高校の授業を充実させ,それを補うための標準化された共通試験を多元的に開発することが,APを意味あるものにするために必須である。アメリカは,相手によって別々の試験で一点競争をさせず,合否の判断に総合的に用いるうえに,全ての大学に応募が可能(日本は試験日が重なると出願できない)。
- アメリカの学士課程の標準的な分類は,リベラルアーツと職業専門に分かれる。医師,法曹に加えエンジニア,ビジネスアドものが後者であり,前者には言語,数学,人文学,社会科学,自然科学,芸術が含まれる。
- カーネギー分類では,職業専門=農業,保健関連,建築,ビジネス・経営,コミュニケーション,自然資源保護,教育,工業,健康科学,家庭経済,法律・法規研究,図書館・公文書館,マーケティング・配送,軍事科学,公経営・サービス,神学,リベラルアーツ=英語・英文学,外国語,文芸,自由・総合研究,生命科学,数学,哲学宗教学,物理科学,心理学,社会科学,資格・演技,地域・民族研究
- リベラルアーツでは,知識よりも,方法,ものの見方,態度を身につけるところに重点がある。大学でのカリキュラム議論は,教養教育ではなくリベラルアーツの議論をしなければならない。
- 一般教養教育は学士課程教育全体で担うべきであり,その中核はリベラルアーツ分野の専門学部によって総合的に展開されなければならない。(文理学部や教員養成大学の発展が必要)
- 秋入学は,キリスト教圏の風土に根ざしたものであり,日本と異なる。ミカエルマス(9/29)までに収穫を終え,新しい農業サイクルの開始を意味したため,判事の選挙の時期となり,大学の開始時期となった。