- 議論において重要なのは,結論とその論拠との関係(わかった。だが,どうやってそれが正しいと証明するのか?)。聞き手に結論を真剣に受け止めてもらうには,なぜそうすべきかを示す必要がある。
- ケースメソッドで最も重要なスキルは,推論する能力である。ケースの読み手は,(1)文中の情報から結論を組み立てる,(2)無関係・価値の低いものを取り除く,(3)欠けている情報を推論で補う,(4)ケースのいろいろな部分から論拠をつなぎ合わせて結論にまとめる,の4つをする必要がある。
- ケースに取り組む際は,読むのではなく考える。読む前に考え始める。ケースが示す状況には,問題,意思決定,評価,ルールの4つの分析課題が繰り返し出てくる。
- 問題は,重大な結果や業績に関連した状況で,それらに対する明確な説明が着かない状況(何か重大なことが起こったが,なぜそうなったかわからない)。よって,問題の分析は問題の定義から始まる。
- 意思決定の分析には,意思決定の選択肢,意思決定の基準,関連の論拠の分析が必要。特に基準を決めることが必須。なお,客観的に正しい意思決定は存在しない。
- 評価は,業績・行動・結果についての,価値・重要性・効果を判断するもの,その単位は個人・グループ・部署・組織・国家など。これも適切な基準を要する。
- ルールの分析は,定量的な分析を指す。割引現在価値の計算など。
- ケースに取り組むプロセスには,状況把握,質問,仮説,証明と行動,代替案と未解決の問題の5フェースがある。
- 状況把握(5分):最初と最後のセクションを読めばだいたいわかる。ここだけ読んでわかったことを考え,問題を扱うか,意思決定をするか,評価を求められているかなどを考える。
- 質問(15分):状況について何を知る必要があるか?を問う。問題の対象は誰か,問題は何か,意思決定の選択肢は何か,それによってどのような利害関係が生じるか,誰が・何を評価されようとしているか。
- 仮説(45分):最も重要な段階。どのような仮説を立てればよいかに答える。
- 問題:分析すべき問題は何かを理解する,最も適切と思われるフレームワークを考える,各原因の論拠をケースから探す,議論を裏付ける数字をつくる
- 意思決定:選択肢を見直す,最善と思う意思決定を精査する,議論を裏付ける数字があればどの評価基準に関連するかを考える,意見が分かれているならその理由を考える
- 評価:最も自信を持てる評価基準を決める,それを使って最高・最低の評価をしたものを精査する
- 証明と行動(40分):集めた情報から仮説を裏付ける論拠を見つける
- 代替案と未解決の問題(15分):自分の立てた仮説に質問し,それに対する代替案を示す。
- 問題分析の要素は,問題を定義する(原因と結果の因果の分析),分析,原因とその影響の分析,コンセプトとフレームワークを用いて因果関係を分析する,行動計画を立てるの5つの要素がある。
- 意思決定分析の要素は,選択肢を探す,判断基準を選択する,選択肢を分析する,(最善の選択肢を)提案する,行動計画を立てるの5つの要素がある。
- 評価分析の要素は,評価基準を明確にする,評価を示す適切な表現方法を決める,基準と論拠の重要性を比較をする,最終的な判断を行う,評価に重大な影響を与える要因を但し書きする,行動計画を立てるの6つの要素がある。
2014/03/31
ウィリアム・エレット(2010)『入門ケース・メソッド学習法』ダイヤモンド社
2014/03/30
グロービス経営大学院・荒木博行(2013)『ストーリーで学ぶ戦略思考入門』ダイヤモンド社
- 3C分析(市場・顧客・業界分析)は,買い手と提供者をマクロ・ミクロの視点で分析すること。つまり,顧客はミクロの買い手,市場はマクロの買い手,競合・自社はミクロの売り手,業界はマクロの売り手。これを混同している分析が多すぎる。
- 市場分析は,どうセグメンテーションするかが勝負。顧客分析は,固有名詞で考える。競合・自社分析は,視点(=重要ポイント,オペレーションなど)を絞って行う。
- 3Cは2次,3次と進化させる(=データを手足で調べる)時に価値を持つ。そして,初期仮説はミドルリーダーが立てるもの。
- 5F分析で,横軸(買い手→業界→売り手)の変化は急に起こらず,変化が起きやすくインパクトが大きいのは代替と新規参入。代替品脅威を読むには,PEST分析を行うことと,顧客の片付けるべき用事から考えるの2つ。
- 戦略思考とは,事が起きる前にあらかじめ意図を持って何らかの手を打っておくこと。フレームワークを使うと,普段見えないものが見えるようになる。
- 上位概念不在(=そもそもの戦い方)で設計すると,組織内の利害関係など,本来の戦略とは無関係のところで問題の定義がされてしまう。
- 固定費が大きいほど規模の経済は働きやすい。一般に,研究開発・広告・減価償却の費用が競争上の肝になる事業のこと。ただし,生産キャパシティを超える,物流費がかかる,生産量にばらつきがある,共通部分が低い,マネジメントの非効率があるときは規模の不経済も発生する。
- 表面的な経営用語ではなく,メカニズムを理解することが重要。
- 意図的戦略では,Pが重要,創発的戦略ではCやAが重要。環境変化の大きさでどちらを重視するか変わる。変化が激しい業界では創発戦略があう。PDCAはある程度検討したら素早く始めてさっさと失敗することが重要。つまり,走りながら考える(スモールスタートをして顧客からの評価を通じて学習する)行動様式が重要,特にミドルリーダーについて。
- ケースの学習では,オリジナルのフレームワークを作る作業が有効。有名なフレームワークも重要だが,簡単に飲み込んだものは簡単に抜け落ちるので,自分なりに納得して手作りで仕上げたものの方が,本当に頼れる判断基準になる。
2014/03/25
舘昭(2013)『原理原則を踏まえた大学改革を』東信堂
- 2011年4月施行大学設置基準:大学は,...,学生が...,社会的および職業的自立を図るために必要な能力を,教育課程の実施および厚生補導を通じて培うことができるよう,...適切な体制を整えるものとする。キャリアガイダンスが加わる。
- 1999年の中教審答申「初中等教育と高等教育との接続改善」でキャリア教育を,望ましい職業観・勤労観および職業に関する知識や技能を身につけさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育と規定し,大学を含むあらゆる教育段階での実施を求めた。
- これらにより,(1)キャリア教育は大学教育そのものであり(学校教育法の大学の目的),特定科目の実施ではなく専門教育を含む大学教育全体の根本的体質改善を必要とする,(2)キャリアガイダンスは特定の職業に就くための就職指導ではないが,現実の学生は就職指導を必要としているという課題がある。
- 大学の根源的な改革とは,政策と大学が,大学は一部のエリートのものなのに仕方なく拡大しているから,そもそも国民全員の享受すべきものに転ずること。なのに,日本は短大の衰退を放置している。国民全てが思考力を備えた知識労働力化が求められている=国民皆高等教育。
- 学士課程は大学が研究機能を有することを前提にしており,教育と研究を無関係に議論する政策は現実の問題を解決しない。教育と研究の分離を掲げることは,大学の存在根拠を崩壊させる。
- 大学においては学生は研究に参加するものであり,学生が身につけるものは研究的な方法である。教育では,自分の研究ではなく,これまでの研究を体系化して教えることが必要である。
- 日本でアドミッションポリシーを機能させるには,個別大学の学力試験廃止がどうしても必要となる。そして,高校の授業を充実させ,それを補うための標準化された共通試験を多元的に開発することが,APを意味あるものにするために必須である。アメリカは,相手によって別々の試験で一点競争をさせず,合否の判断に総合的に用いるうえに,全ての大学に応募が可能(日本は試験日が重なると出願できない)。
- アメリカの学士課程の標準的な分類は,リベラルアーツと職業専門に分かれる。医師,法曹に加えエンジニア,ビジネスアドものが後者であり,前者には言語,数学,人文学,社会科学,自然科学,芸術が含まれる。
- カーネギー分類では,職業専門=農業,保健関連,建築,ビジネス・経営,コミュニケーション,自然資源保護,教育,工業,健康科学,家庭経済,法律・法規研究,図書館・公文書館,マーケティング・配送,軍事科学,公経営・サービス,神学,リベラルアーツ=英語・英文学,外国語,文芸,自由・総合研究,生命科学,数学,哲学宗教学,物理科学,心理学,社会科学,資格・演技,地域・民族研究
- リベラルアーツでは,知識よりも,方法,ものの見方,態度を身につけるところに重点がある。大学でのカリキュラム議論は,教養教育ではなくリベラルアーツの議論をしなければならない。
- 一般教養教育は学士課程教育全体で担うべきであり,その中核はリベラルアーツ分野の専門学部によって総合的に展開されなければならない。(文理学部や教員養成大学の発展が必要)
- 秋入学は,キリスト教圏の風土に根ざしたものであり,日本と異なる。ミカエルマス(9/29)までに収穫を終え,新しい農業サイクルの開始を意味したため,判事の選挙の時期となり,大学の開始時期となった。
2014/03/24
永野裕之(2013)『根っからの文系のためのシンプル数学発想術』技術評論社
- かけ算で情報が増えるのは,フレームワーク思考マトリックス。(Will-Skillマトリクスなど)
- 改善の4原則
- 排除:工程・作業・動作を省略できないか
- 統合:複数の工程を一緒にできないか
- 交換:順序を交換できないか
- 簡素化:作業を単純化できないか
- 大⇒小になるものは真とは言えない。論理において小⇒大は常に真。
- 教師は聞く人が既知の知識や体験を結びつけていかにイメージを膨らますかがポイント。
- 数学8層のパターンは,整理する(かけ算),順序を守る(小⇒大),変換する(同値変形,関数),抽象化する(モデル化,グラフ化),具体化する(たとえ,演繹・帰納),逆の視点を持つ(逆・裏・対偶),美的センスを磨く
2014/03/14
Fouad El Ouardighi, Konstantin Kogan, Radu Vranceanu (2013) "Publish or teach? Analysis of the professor's optimal career path” Journal of Economic Dynamics & Control 37,1995–2009
- x1(t) = u1(t) + b2x2(t) - d1x1(t):研究能力は,エフォートu1と教育スピルオーバーx2と,能力の陳腐化で決まる
- x2(t) = u2(t) + b1x1(t) -d2x2(t):教育能力は,エフォートu2と研究スピルオーバーx1と,能力の陳腐化で決まる
- エフォートの総量を1で基準化する:u1(t) + u2(t) <= 1
- 教員の効用最大化問題:max U = ∫(0-∞) e^-rt Σ(i=1-2) {aixi(t) - ci[ui(t)]^2/2}dt, ただし,ai は各大学の教育・研究の評価ウェイト,これをadditive separable にすることで,どちらか一方のみに注力しても評価されることを表す
- エフォートuにはc1[ui(t)]^2の費用がかかるとする,rは教員の時間選好率
- ハミルトニアンを解いて以下のことを確認する
- 教育・研究の双方向のスピルオーバーがある方が長期的な能力はより高まる,ただしこれは常に望ましいわけではなく,スピルオーバーがないか弱くても安定解に落ち着く。組織が,能力の陳腐化の割合を考慮して対応することが求められる。
2014/03/13
Rajeev Darolia (2013) "Working (and studying) day and night: Heterogeneous effects of working on the academic performance of full-time and part-time students" Economics of Education Review,
- 職業経験と学業成果との関係を実証するもの
- 具体的には,y = C + Hours + PTdummy + (PT*Hours) + X + d + ε を推定
- yはGPA(0−4),Xは属性ベクトル,Hoursは労働時間,PTはパートタイム学生,dはトレンド項,各変数について,個人iの年tを考える
- y_it = β0 + β1Hours_it + β2PT_it + β3(PT×Hours)it + ηX_it + d_t + ε_it
- β1はフルタイム学生の成績への限界効果,β1+β3がパートタイム学生の成績への限界効果を表す
- データはNational Longitudinal Survey of Youth,1996年の12-16学年9000人
- 結論として,労働時間はGPAに影響しないが,フルタイム学生については労働時間が増えると単位取得数が減る
2014/03/04
丸山真男(1961)『日本の思想』岩波新書
- 人間は,イメージを頼りにして物事を理解する。しかし,われわれを取り巻く環境は複雑・多様・世界的な広がりを持ち,感覚的に確かめることができないものや現物と比較できないイメージを頼りに行動・発言せざるを得なくなっている。これが続くと,もとの現実と離れて独自のイメージ(化けもの)ができてしまう。やがて,自分のイメージに自分の言動を合わせるという自己疎外が起こる(マルクスが,私はマルクス主義者ではないと言った)。
- 日本がヨーロッパの学問を受け入れたときは,学問の専門化・個別化がはっきりした段階で移植されたため,専門化された学科がはじめからアカデミックな学問の存在形態とされた。これは,研究者が共通のインテリジェンスで結ばれていない,掘り下げても共通の根にぶつからないタコツボになっている。
- 自然科学者と社会科学者の間に,本質的に同じ仕事をやり,同じ任務を持っているという連帯意識が乏しい。日本では哲学さえ,自身がタコツボ化した。
- ヨーロッパでは機能集団の分化が起こっても,別の次元で人間をつなぐ伝統的な集団や組織(教会,クラブ,サロン)が伝統的に大きな力を持っていて,異なる職能に従事する人々を横断的に結びつけるコミュニケーション経路になっている。
- 組織を強くしなければいけないという考えがタコツボ社会に適用されると,組織の中で通用している言葉が,組織の外でどれだけ通用するかということについての反省が欠けがちになり,組織内で通用している言葉の組織外での有効性を試す努力が忘れられ,組織対組織外,組織外の人が真理に到達していないという問題に帰着させられる。
- 組織内の言葉の沈殿を打破して自主的なコミュニケーションの幅を広げていくかというのが,これからの社会科学の当面する問題。
- 徳川時代は,何をするかではなく,なんであるかが価値判断の重要な基準であった。コミュニケーションが成り立つには,相手が何者であるか外部的に識別されることが第一の要件。逆に,これはアカの他人のモラルは発達する必要がない。パブリックな道徳は,アカの他人同士の道徳だが,儒教の五倫(君臣,父子,夫婦,兄弟,朋友)のうち4つは上下関係,朋友だけが横関係。この友人関係を超えた他人との横関係は,儒教の人倫に入らない。儒教道徳は「である」モラル。
- である思考とらしく道徳の社会では,はたらきが特定の集団の区分からできてくるように考えられる。すると,政治活動は職業政治家団体(政界)の専有物とされ,政治家以外の人によって行われる政治活動は,本来の分限をこえた行動・暴力のようにみなされる。民主主義は,もともと政治を特定身分の独占から広く市民に開放する運動として発達したものだが。
- 日本の急激な近代化は,する価値の浸透の一方で,強靱にである価値が根を張り,する原理を建前とする組織がである社会のモラルでセメント化されている。伝統的な身分は崩壊したのに,自発的な集団形成とコミュニケーションの発達が妨げられる(=会議と討論の社会的基礎が成熟しない)と,近代的組織や制度は閉鎖的な部落を形成し,さまざまな内的集団に関係しながら,場所柄に応じて振る舞いを使い分けなければならなくなる。
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