本書は、筆者が提案する大学卒業制度の廃止を、様々な傍証を引用しながら説明したものである。
筆者が指摘する、卒業認定の厳格性に関する指摘は、多くの大学人が同意するところであると思われるが、それが直ちに卒業制度廃止論へ向かうとは短絡的すぎる。
筆者には大学教育の目標という概念がなく、卒業制度廃止後の大学の組織としての目的をどこに置くのかを考えないため、現状への不満を述べているにすぎない。
筆者の指摘する問題は、大学教育のみならず、職業キャリアのスタートとなる新卒採用慣行にあるのに、大学内だけで解決しようとするために、方向違いの提言になってしまうのだろう。