小沢和彦(2011)「組織変革における組織慣性の意義」『早稲田大学大学院商学研究科紀要』73,15-27
- 組織慣性:構造と対比することで捉えられてきた。
- Hannan & Freeman(1984)の構造的慣性:環境変化に対して比較的緩やかに反応する=環境と同じ速さで変化できない力。
- 当初は停滞(=ネガティブ)と考えられてきた→長所もある
- 環境が安定している場合、高度な再現能力により生き延びる
- 行動の完成度が高まるために有効性・効率性が増大する
- 組織変革(org change/transformation)における位置づけ
- 組織変革が一時的と捉えるモデル(エピソディック)
- 時折、短期間の大規模な変革を行う
- 均衡状態から逸脱した時に起こる(=深層構造と環境のズレ=技術変化などによる)
- 計画的な変革を想定(環境変化を事前に想定して対応)
- 解凍・変革・再凍結モデル(組織慣性を仮定するため、まず解凍が必要)
- 組織変革が継続的と捉えるモデル
- 調整の積み重ねで大規模な変革へ至る
- 組織変革の本質と捉えられている(Orlikowski 1996)
- 創発的変革を想定(環境変化が激しい場合に有効)
- 凍結・リバランス・解凍モデル
- 凍結=欠点を発見するためにまず現状を明らかにする
- リバランス=現状の再解釈を行う
- 解凍=漸進的な変革を再開する
- ルーチン:複数人が関与するタスク遂行に関わる反復的行動パターン
- →ルーチンダイナミクス(Fedlman & Pentland 2008)
- ルーチンをブラックボックスと扱わず、ルーチンの内部に注目する
- いかに組織ルーチンが安定性や変化を達成できるかに注目する
- ルーチンの2側面
- 明示的:ルールとして成文化、明示的、抽象的、行動指針
- 遂行的:特定の時間・場所における特定の行為、即興的
- ルーチンの変化
- 外生的:環境等の影響
- 内生的:行使者が主体的にルーチンを変化させる、エージェンシーとしての行為者によってもたらされる
- 行為が常に意図した結果をもたらさない時
- 行為が新たな問題を作る時
- 行為が新たな資源や機会を作り出す時
- 結果は意図したとおりだが、改善の余地がある時
- 部分最適ルーチン
- 行為者は限定合理的と仮定
- 現実の複雑な問題を単純化する→各部門に下位目的が設定される→各部門は全体を考慮する必要がなくなる→部門目的に固執して全体目的を無視する
- 結果、内生的変化は部分最適ルーチンを増大させる→部門間調整が困難になる→組織慣性を増大させる(沼上ほか2007)
- エピソディックと継続的はどちらの説明力があるか
- エピソディック=組織慣性が強い組織を想定
- 継続的=組織慣性が弱い組織を想定
- 組織ルーチンが内生的に変化しない→組織慣性強い→エピソディック
- 組織ルーチンが内生的に変化する→調整困難→組織慣性強い→エピソディック
- 組織ルーチンが内生的に変化する→調整容易→組織慣性弱い→継続的