2022/03/04

小沢和彦(2011)「組織変革における組織慣性の意義」『早稲田大学大学院商学研究科紀要』73,15-27

  •  組織慣性:構造と対比することで捉えられてきた。
    • Hannan & Freeman(1984)の構造的慣性:環境変化に対して比較的緩やかに反応する=環境と同じ速さで変化できない力。
    • 当初は停滞(=ネガティブ)と考えられてきた→長所もある
      • 環境が安定している場合、高度な再現能力により生き延びる
      • 行動の完成度が高まるために有効性・効率性が増大する
  • 組織変革(org change/transformation)における位置づけ
    • 組織変革が一時的と捉えるモデル(エピソディック)
      • 時折、短期間の大規模な変革を行う
      • 均衡状態から逸脱した時に起こる(=深層構造と環境のズレ=技術変化などによる)
      • 計画的な変革を想定(環境変化を事前に想定して対応)
      • 解凍・変革・再凍結モデル(組織慣性を仮定するため、まず解凍が必要)
    • 組織変革が継続的と捉えるモデル
      • 調整の積み重ねで大規模な変革へ至る
      • 組織変革の本質と捉えられている(Orlikowski 1996)
      • 創発的変革を想定(環境変化が激しい場合に有効)
      • 凍結・リバランス・解凍モデル
        • 凍結=欠点を発見するためにまず現状を明らかにする
        • リバランス=現状の再解釈を行う
        • 解凍=漸進的な変革を再開する
  • ルーチン:複数人が関与するタスク遂行に関わる反復的行動パターン
    • →ルーチンダイナミクス(Fedlman & Pentland 2008)
      • ルーチンをブラックボックスと扱わず、ルーチンの内部に注目する
      • いかに組織ルーチンが安定性や変化を達成できるかに注目する
    • ルーチンの2側面
      • 明示的:ルールとして成文化、明示的、抽象的、行動指針
      • 遂行的:特定の時間・場所における特定の行為、即興的
    • ルーチンの変化
      • 外生的:環境等の影響
      • 内生的:行使者が主体的にルーチンを変化させる、エージェンシーとしての行為者によってもたらされる
        • 行為が常に意図した結果をもたらさない時
        • 行為が新たな問題を作る時
        • 行為が新たな資源や機会を作り出す時
        • 結果は意図したとおりだが、改善の余地がある時
  • 部分最適ルーチン
    • 行為者は限定合理的と仮定
      • 現実の複雑な問題を単純化する→各部門に下位目的が設定される→各部門は全体を考慮する必要がなくなる→部門目的に固執して全体目的を無視する
    • 結果、内生的変化は部分最適ルーチンを増大させる→部門間調整が困難になる→組織慣性を増大させる(沼上ほか2007)
  • エピソディックと継続的はどちらの説明力があるか
    • エピソディック=組織慣性が強い組織を想定
    • 継続的=組織慣性が弱い組織を想定
    • 組織ルーチンが内生的に変化しない→組織慣性強い→エピソディック
    • 組織ルーチンが内生的に変化する→調整困難→組織慣性強い→エピソディック
    • 組織ルーチンが内生的に変化する→調整容易→組織慣性弱い→継続的