2021/04/20

林隆之・齊藤貴浩・水田健輔・米澤彰純・川村真理・安藤二香(2020)「大学評価と運営費交付金配分の一体的改革の在り方」『政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センターワーキングペーパー』

  • 海外では運営費交付金のような基盤経費の配分は、日本のような前年度額や非公式の交渉に基づく配分から、必要コスト(学生数等)や実績指標を総合的に用いた算定方式や、大学と国との契約に基づく配分を含むものへと次第に変化している。
    • 我が国の大学評価を、効率的な財政配分への貢献をも正面から見据えて、根本的に問い直すべき時期にきている。
    • 運営費交付金は前年度額に基づく理論なき配分から、大学の教育・研究・社会貢献の機能ごとに、必要コストや実績の測定を行い、配分に反映させる透明な算定方式へ移行する。
    • 一方、認証評価は内部質保証を重視した方向性を堅持しつつ、大学単独だけでなく大学セクターが共同して教育内容や学修成果の水準を外部のステークホルダーの視点も入れながら点検し、教育の質向上を図るよう取組を進めるべき。
  • 大学評価の課題
    • 大学の負担が大きいにもかかわらず、活用方策が不明瞭
      • 国立大学法人評価は、次期の中期目標・計画策定や運営費交付金配分に活用されることになっているが、評価の作業量に比して影響は限定的で、大学・社会双方にメリットが見えない。
      • 質保証のための認証評価は、「内部質保証重視」の原則が国際的に確立し簡素化しうるが、大学自身の自己点検能力への社会的信頼は十分得られておらず、細部にわたる第三者評価が継続している。
    • 多様な大学評価が存在し、教育研究活動に支障
      • 法律で規定されている評価制度に加え、運営費交付金の機能強化経費(3つの重点支援の枠組み)や共通指標による配分、大学・部局を対象とする各種競争的資金の評価が多数存在。結果的に大学が重複的な縛りを受け、全体的な有効性が担保されているかも不明瞭。
    • 大学評価の方法の不適合
      • 大学評価での大学の個性の尊重の原則が、教育・研究実績についての比較可能性の限定につながり、学生や社会が求める大学情報として機能せず、大学の切磋琢磨にもつながりにくい。
      • 評価基準と、政策的に大学に求められている課題との関係が不明瞭であり、評価を行うことで政策課題が改善される構造になっていない。
    • 大学の自律的経営に向けた、中期目標・計画の課題
      • 国立大学法人の中期目標・計画は、個々の計画の確実な達成が重視されるため、大学が中長期的な視野で戦略的経営を行うための目標として機能しづらい。
      • 高度人材の育成や科学技術イノベーションなど、国が大学セクターに期待する政策課題に対する各大学の貢献が、政府・社会と大学の双方にわかりやすく示される「契約」になっていない。
  • 英国の質保証:2018年からリスクベースアプローチ
    • 大学→OfS:申請書・エビデンス提出、登録要件充足審査
    • OfS→QAA:Quality and Standards Review実施依頼
    • QAA:クオリティ・コードのコアプラクティス適合を判断
    • OfS:リード指標(学生数、入学者数、卒業率、進路状況等)モニタリング → 指標変化=詳細調査 → リスク向上=個別モニタリング・罰金・登録削除
  • 提言:交付金はコストや実績の測定や評価に基づく算定方式へ
    • 例えば3つで構成
      • 学生数などのインプット指標に基づくコストを保証する基盤的部分
      • 博士号授与数や論文・特許数、教育研究の質的な評価結果などの教育・研究・社会貢献の実績を測定してインセンティブを付与する部分
      • 国の政策・社会課題への貢献や自律的な大学改革など大学の経営指針を反映した契約に基づく部分
    • 認証評価は内部質保証が機能していれば大幅に簡素化