2018/01/30

福島洋佑・熊澤知喜(2017)「組織アイデンティティのダイナミクス」『赤門マネジメント・レビュー』16(5),233-238

  • OI:個人のアイデンティティ概念を、宣言性、識別性、時間的連続性の3つの特徴により、組織に対して拡張した。
  • Hatch and Schultz(2002):OI・組織イメージ・組織文化の相互依存関係を動態的なモデルで記述し、組織の内部・外部との関わり合いの中で変容していく組織アイデンティティの姿を描いた。
    • 組織構成員やステークホルダーとの関係性が断ち切られた時に、OIが機能不全に陥る(=アイデンティティ形成は社会的プロセスである)。
  • OIDM
    • 文化→(アイデンティティが文化の理解を表現する)→アイデンティティ→(表現されたアイデンティティが他者に印象づける)→イメージ→(アイデンティティが他者のイメージを写映する)→アイデンティティ→(自省が文化にアイデンティティを埋め込む)→文化
    • 組織アイデンティティは、この4つのプロセスの中で形成される(組織文化と組織イメージの絶え間ない会話によって社会的に構成される)
  • 組織文化:(1)無意識下で暗黙的、(2)意味・価値・信条・仮定などの深層に存在する、(3)他者の態度に反応するもの → 自我論におけるIに近い
    • 組織文化=アイデンティティの内的定義
  • 組織イメージ=アイデンティティの外的定義 → 他者が抱く認識に対する態度(me)
  • 4つのプロセスの断絶=機能不全
    • 自己陶酔:外部イメージを無視すると、自己表現のみに依存したアイデンティティが形成される。
    • 過剰反応:外部イメージを重視しすぎ、自らの文化的遺産を無視し、仮定や価値に基づいたアイデンティティ形成が損なわれる(文化喪失)。
    • → これらは一時的な機能不全で、OIDMによって修正される。
  • 一方の機能不全が起こると、もう一方のサイクルは機能しない(=アイデンティティ形成が停止する)。
    • → アイデンティティ形成が2つに分離し、一方で自己陶酔、もう一方で過剰反応が起こるわけではない(組織内に複数のアイデンティティが発生すること自体はあるものの)。
  • 限界
    • 組織アイデンティティが組織内で果たす役割について十分に説明されていない。
    • 機能不全を起こす外的な変化の分析に理論的発展の余地がある。
    • 組織アイデンティティと組織文化の概念亭な区別に、明確な判断基準がない=異なる組織や同一組織の異時点間で概念を実証的に比較できない。