菅野寛(2011)『BCG流 経営者はこう育てる』日経ビジネス人文庫
- 経営者が実行すべきこと
- 自社の置かれている市場環境を正しく認識する
- 目標を決める
- 目標と現状のギャップを正確に認識する
- ギャップを埋めて,目標を達成するための戦略・実行プランを立案する
- 組織・構成員に対して,目標,戦略・実行プラン,なぜそれをやり遂げなければいけないのかを正しく伝え,目標達成に向けてモチベートする
- 組織として,戦略・実行プランを実行する
- プランの進捗状況・結果をモニターする
- 結果を解析し,必要に応じて軌道修正する
- これらを競合を上回るスピードで十戦し,競合を上回る頻度で繰り返す。これらは当たり前のことだが,これらから外れると成功は続かない。基本の実行が実は難しい。
- 経営者のスキルセットは,科学系スキルとアート系スキルから成り,前者にはマネジメント知識とロジカル・シンキングが,後者にはリーダーシップが含まれる。前者はかなりの部分を部下に委託できるため,全て必須ではないが,後者は他人に委託できない必須スキル。
- 科学のスキルを問われるのは参謀,アートのスキルが問われるのが指揮官。また,エリート集団は科学に偏向しやすく,ネガティブ・チェックが得意だが,周囲が反論できないまま何もしない状況が続いてしまう。
- リーダーシップを構成する要素は,(1)強烈な意志,(2)勇気,(3)インサイト,(4)しつこさ,(5)ソフトな統率力の5つ。(1)は全てのベースで,(2)〜(4)は組織として結果を出すスキル,それを束ねる(5)という構造を持つ。
- 強烈な意志の源泉は,高志と責任感。これはどちらか片方から出発するが,最終的に両方ないと意志は維持できない。人は利己欲ではとことん戦えない。
- 勇気は,(1)トレードオフを理解した上で,どちらかを捨てる勇気,(2)不完全な情報下でも必要なタイミングで決断する勇気,(3)やめる勇気,変える勇気,(4)必要ならば上を捨てて人を切る勇気の4つが必要。これらを使うためには,(1)メンタル・タフネス(つらい決断に耐える精神的強さ),(2)リスク管理(失敗確率の最小化と,失敗した場合の立ち直りプラン),(3)倫理観(組織・顧客・社会のために行い,結果を出せなければ去る)の3つが必要。
- ロジカル・シンキングで得られないインサイトを養うには,(1)わけがわからなくなったら,一歩引いて本質を見る癖をつける,(2)二極性で発想する癖をつける(積み上げ・トップダウン,帰納・演繹,ミクロ・マクロ,コストダウン・バリューアップ),(3)定石を壊して進化させる癖をつける,(4)他人の頭を使う癖をつける(人と議論する)。
- しつこさには,考えるしつこさと実行するしつこさがある。考えるしつこさはインサイトの源泉である。実行するしつこさのポイントは,(1)地味・地道,(2)長く(10年以上)の2つ。
- ソフトな統率力は,(1)夢を掲げる能力,(2)夢を共有する能力,(3)人間的魅力の3つから成る。共有のポイントは,やわらかな人的ネットワークを通じてコミュニケート,回数を多く,1回あたりの人数を少なくコミュニケート。人間的魅力は,カリスマ性ではなく,志の高さやひたむきな徹底からにじみ出るもので,明るいこと,善人であることが前提として必要。
- こうしたスキルの獲得は,身体でアクション可能な習慣にして実行することで獲得できる。ただし,その訓練法は自分で組み立てないといけない。多くの場合,書き留めることが有効。
- これらに加えて,体験が必要。これはデザインできないが,(1)できるだけ若いうちに体験する,(2)全体を統括する体験をする,(3)修羅場を体験する,(4)失敗しても立ち直れるようなダウンサイドリスクを小さくするの4つが重要。