羽田貴史(2007)「アメリカの大学理事会について」『私大経営システムの分析』私学高等教育研究叢書
- Trusteesとは,被信託者の集まり。ボローニャは学生支配の大学,パリは教員支配の大学,第三の管理運営革命としてBoard of Trusteesが出てきた。
- 単一の組織があるものを運営することは,公共的利益を侵害するので,チェックの仕組みが必要。これが,BTが管理の主要な位置づけになった背景。
- ただし,アメリカでは当初教員支配が成立する余地はなかった。誰かが大学を作って,それから教員を集めるため。逆に,オックス・ブリッジな上級教授の支配の大学。
- ある任務,ある財産を,社会全体または特定の人間から委託されて執行するのがTrustees。この信託統治はヨーロッパで古くから発達してきた法的な枠組み。(共有と概念がない。日本は共有の国。)
- アメリカ社会やヨーロッパ社会は,世間から信託されているという範囲でまず自分は行動しなければならないという倫理規範が内面にセットされている。日本の理事会は誰に責任を負っているのか?
- シェアド・ガバナンスは,分担管理。理事会は経営事項,教員は教育事項と,権限を住み分けて共有する(教学と経営の分離)。
- 理事会は社会と大学のバッファかつ架橋になれ。不当な支配や攻撃には大学を守り,社会の要求を大学に持ち込んで象牙の塔にしない。アメリカはレイマン・コントロールで社会と接続をはかることで,大学が進化してきた。上級教授支配のイギリスは,自分たちのやりたいことだけを再生産し,大学の外に成長した学問を取り込まずに停滞した。