本書は、英文学者が翻訳上のノウハウをまとめたものである。しかし、読み始めるまで知らなかった点は、本書が1982年に出された本を文庫化したものであり、かなり古い文献であることだ。
翻訳原稿を書くことも多いので、一度はこの手の本を読んでおこうと思ったが、それほど新しい発見はなかった。翻訳は英語力も大事だが、それ以上に日本語力が大事で、筆者もそれを指摘している。英文読解と翻訳は根本的に違う。これまでの自分の翻訳はかなりうまい方ではないかと、逆に自信になった。
以下、目に留まった点のメモ。
- 英文は頭から順に訳す
- 代名詞は訳文から隠す
- 他動詞+再帰代名詞は、自動詞か受け身で訳す
- (If the readers wish to inform themselves of the pressing problems of the day... など)
- 次の形容詞・副詞は、述語で訳す:no, many, few, much, little, some
- 話者の見解を示す副詞は、述語的に訳す:rightly, safely, apparently, inevitably
- 進行形には、非難・不快・困惑・賞賛などの感情的ニュアンスがある
- 時制の一致(I did not know what I was doing = 何をしているのかわからなかった)
- 受動態は、能動で訳す。主語が人、あるいは人にとっての利害を表すときだけ受動で訳す。