2008/03/21

安西徹雄(1995)『英文翻訳術』ちくま学芸文庫


本書は、英文学者が翻訳上のノウハウをまとめたものである。しかし、読み始めるまで知らなかった点は、本書が1982年に出された本を文庫化したものであり、かなり古い文献であることだ。

翻訳原稿を書くことも多いので、一度はこの手の本を読んでおこうと思ったが、それほど新しい発見はなかった。翻訳は英語力も大事だが、それ以上に日本語力が大事で、筆者もそれを指摘している。英文読解と翻訳は根本的に違う。これまでの自分の翻訳はかなりうまい方ではないかと、逆に自信になった。
以下、目に留まった点のメモ。
  • 英文は頭から順に訳す
  • 代名詞は訳文から隠す
  • 他動詞+再帰代名詞は、自動詞か受け身で訳す
  • (If the readers wish to inform themselves of the pressing problems of the day... など)
  • 次の形容詞・副詞は、述語で訳す:no, many, few, much, little, some
  • 話者の見解を示す副詞は、述語的に訳す:rightly, safely, apparently, inevitably
  • 進行形には、非難・不快・困惑・賞賛などの感情的ニュアンスがある
  • 時制の一致(I did not know what I was doing = 何をしているのかわからなかった)
  • 受動態は、能動で訳す。主語が人、あるいは人にとっての利害を表すときだけ受動で訳す。