2007/12/25

Nawata, K. (2001), "Estimation of the Female Labor Supply Models by Heckman's Two-Step Estimator and the Maxmum Likelihood Estimator," manuscript document.

 本論文の要旨は、タイプIIIのトービットモデルでよく用いられる推定法である、ヘックマンの2段階推定量は効率的でないという点に尽きる。通常、このモデルでは尤度関数が複雑になるため、ニュートン法などのアルゴリズムでは尤度関数が最大化できない(最大値へ収束しない)ことがよくある。そのために、推定の容易なヘックマンの2段階推定を用いるわけだが、これも実はかなり昔からその問題点が指摘されており、真のパラメータと異なる推定値を得るケースも指摘されている。

 そういう意味でこの論文のメッセージは、ややいまさらな感があるが、新しい点はモンテカルロシミュレーションにより、ヘックマンの2段階推定量と最尤推定量の歪みや効率性を具体的に示したという点である。また、最尤推定量を得る際の数値計算の方法として、自身が提唱している(?)スキャニング法というアルゴリズムを用いている。

 通常のタイプIIIトービットの尤度関数であれば、TSPとかでも十分計算可能と思われるが、この論文では労働供給関数を推定しているために尤度関数が複雑になりすぎ、このようなアルゴリズムが必要になっている。しかし、Greeneの20.3.3に書いてあるような、パラメータの置き換えでこの問題は回避できないのか?自分で適当な計算でもしてみて後日確かめてみることにする。