2007/12/16

勇上和史(2005)「都道府県データを用いた地域労働市場の分析」『日本労働研究雑誌』no.539, pp.4-16.

 都道府県別失業率の維持転換の相関は高く、失業の地域的パターンは安定的。この硬直性をもたらす要因の1つが、労働移動を通じた市場の調整機能の弱さ。90年と00年の国勢調査から、失業率の都道府県間格差を、

 u = a + bX + cD + e

という線形失業率関数でとらえる。uはグループi(居住都道府県・性別・年齢階層・学歴の労働力状態)の平均失業率、Xがグループの労働需給属性(女性・年齢階層・学歴の各ダミー・グループ内の産業別就業者構成比)、Dが居住都道府県ダミーを表す。都道府県ダミーのばらつきで都道府県間失業率格差を見る。

 労働需給構造をコントロールすると、地域間格差は大きく縮小する。しかし、近年では地域間の実質賃金コストの格差と、受容減退の地域差による地域間格差拡大が見られる。要するに、地域別の産業構造の違いで地域間格差のばらつきは説明できるが、不況期には地域別の需要減退差がもたらす拡大が見られるようになる。失業率が高い地域ほど、求職意欲喪失効果は大きく、近年では特に若年層でその傾向が強くなる。