2007/12/13

内閣府経済社会総合研究所(1998)「エコノミストによる教育改革への提言」教育経済研究会報告書

 長期的には、公的規制は撤廃し、公的補助は研究プロジェクトへの補助と奨学金に重点を移し、大学の形態によらず競争条件を同一として「良い教育を提供する大学では、消費者がそのために必要なコストを負担する」という他のサービスでは当然の関係が成り立つようにするべき。

 能力に差のある個人からなる社会があり、個人は費用と便益に応じて高等教育需要を決定する。高等教育は選抜なしに需要に応じて供給されるとき、国立大という均質な教育を均一授業料で供給する機関と、私大という質の異なる教育を費用に応じて供給する2つのタイプの高等教育機関があるとどうなるか。政府が、授業料で賄えない国立大の費用と、私大を選択する個人への補助金を払う。

 効用関数を、u = √nq - p 、留保水準をu0 = y0 、nが個人の能力、qが教育の質、pが授業料、y0が高卒所得とする。国立を選択した場合の効用をu1 = √nq1 - p1とする。私大の授業料をp2 = 1/2q^2 - s、sは学生一人当たり政府補助金とする。私大を選択した場合の効用はu2 = max {√nq2 - p2} s.t. p2 = 1/2q^2 - sとする。個人の能力がnlからnhまで分布するとすると、個人は高卒・国立・私立のなかから効用が最も高い選択をする。政府の教育予算Tは、T = q1F1 + sF2 - p1F1とする。この状況下では、私大の質の需要はq = √n、効用はu2 = 0.5n + sに決まる。

 このとき、国立大の授業料を下げることは質を上げることになり、私大補助を増やすことは私大選択者を増やす。国立選択者の効用を下げずに、私大補助を増やすことはできるか?政府予算制約を全微分すると、能力の分布が狭い時に可能かもしれない。このモデルでは、国立の質が一定という仮定が置かれているがどうなのか。