本論文の基本的なアイディアは、労働者の努力水準が次式に従うという点にある。
e = min (w/w* , 1 )
どういうことかというと、労働者がFairと思う賃金水準(w*)があり、これをFair WageとかReference Wageと呼ぶ。そして、実際の賃金(w)がそれを上回るならば、Full Effor(e = 1)を供給する。下回るならば、部分的な努力水準しか供給しない。
非常にシンプルかつ有用なアイディアであるが、このままでは使えない。実際には労働者がどうやってFair Wageを決めるのかを考えなければならない。本論文の中では、社会学的な視点から多くの事例を挙げて説明している。それはいいとして、その際には何よりも本論文で使われている例が参考になる。すなわち、例えば、同じ職場で働く別タイプの賃金との加重平均をFair Wageにするというものである。これはモデルによって、同じ産業、同じ部門、同じ生産工程など読み替えてよいだろう。本論での例を使うと次のように表せる。
w1* = βw2 + (1-β)w1c
w2* = βw1 + (1-β)w2c
結局のところ、標準的な効率賃金仮説のモデルと同様となるといっていいだろう。この論文では、Fair Wage-Effort Hypothesis以外にもう一つ注目すべき点がある。それは、上式を用いたサンプルモデルにおいて、第1タイプには完全雇用が成立し、第2タイプには失業が発生することが示されることである。これは、本論で示される4つの補題から得られる。そして、Shapiro and Stiglitz (1984)のNo-Shirking Conditionのように、第2タイプにはFair-Wage Constraintが成立する。
このアイディアは、2タイプで効率賃金モデルを考える際に、非常に有用であろう。