本論文は、スキル偏向的技術進歩と労働市場の関係について、理論的に整理した研究である。この分野はには膨大な実証研究があるが、理論的な研究は比較的少ない。このテーマ自体は、大変古くから行われているが、最近の労働市場の特徴に注目した研究として、本論文は興味深い。
この論文では、内生的経済成長の枠組みで分析を行う。技術革新の成功確率を入れたりしてしまうのは、ちょっと複雑になりすぎる感がある。しかし、このモデルでは、著者があちこちで主張しているDirected Technical Changeに関する興味深い結論が得られる。
若干気になる点について。労働者が雇用されるのは中間財部門のみであるが、2つタイプのある中間財はそれぞれ1タイプのみの労働者のみで生産するというセッティングである。よって、Skilledを使う方は、Skilled集約的中間財、他方は逆となるわけだが、これでいいのだろうか。確かに2タイプ2要素というモデルは、そのまま分析することが非常に困難である。しかし、雇用の分析まで拡張する際に、このような定式化では、互いに独立なままで、一方の外生的変化が他方に全く影響しなくなる。
この論文のアイディアをうまく拡張できるとおもしろい分析ができるのではないかと思う。