2023/07/28

Van Dijk, E., Geertsema, J., vonder Schaaf, M., van Tartwijk, J. & Kluijtmans, M. (2022) Connecting academics’ disciplinary knowledge to their professional development as university teachers: a conceptual analysis of teacher expertise and teacher knowledge, Higher Education

  •  従来のFD=非文脈的で汎用的な教育学的知識やスキルに重点を置きすぎている(=大学教員を単なる学習促進者に位置づけすぎている)
    • 大学教員としての成長を学問としての成長と区別して考えてしまう問題
    • 大学教員は、一般的な教育学原理を特定の学問的文脈にとって価値があるものとは認識しない可能性
    • 教育学やファシリテーション・テクニックへの道具的な焦点は、カリキュラムを構成する知識への注意を犠牲にしてしまう可能性(←大学教員としての役割を担う学識経験者は、個人としてもチームとしても、何を教えるか、どのように教えるかを決定する極めて重要な役割を担っているため)
  • →学問的知識が大学教員としてのアカデミックの発展にどのように結びつくのかについて、より深く理解する必要がある
  • →学問の専門知識と学力発達の関連性を促進する、より総合的なアプローチを可能にする理論的基盤を提供したい

  • 専門家は評判や資格によって識別されるべきではなく、専門家としてのパフォーマンス、すなわちある領域の本質を捉えた代表的なタスクにおける再現可能な優れたパフォーマンスを確立することによって識別されるべきである(Ericsson & Smith, 1991; Ericsson et al., 2018)
  • スクリプト:専門家が戦略、意思決定、手順をルーチンの形で自動化すること
    • 熟練した大学教員は、講義を開始する際に、何をどのような順序で行うかをガイドするスクリプトを持っているのではないか?⇔ルーチンは年数を経ると更新が難しくなる=ルーチン重視はイノベーションを阻害するリスクになる
  • 意図的実践:パフォーマンスの自己改善を目的とした活動を繰り返し実践し、何をどのように改善すればよいかを即座にフィードバックすること
  • expert performance perspective:大学教員の能力開発を支援するためには、大学教員が何を開発しなければならないかを理解することが重要
    • 46のフレームワークを分析・統合→大学教員には6つの相互に関連する課題がある:「教授と学習支援」「教育デザイン」「評価とフィードバック」「教育指導と管理」「教育学と研究」「専門性開発」
    • ↑ただし焦点の狭さが批判されている:(1)複雑な専門領域を代表せず、客観的なパフォーマンス基準を持つ安定したタスクに焦点を当てる傾向がある、(2)個人とタスクのパフォーマンスに分析の単位を絞ることで、エキスパート・パフォーマンス研究は、専門性の獲得に及ぼす社会的・文化的文脈の影響や、何をもって専門性とみなすかを見落としている、(3)知識が何かについて考えていない
    • →Adaptive expertise研究へ

  • 教師の知識研究
    • Pedagogical content knowledge:特定のトピックをどのように教えるか、
      • ただし、シュルマンは、カリキュラムで何を扱うか、いつ扱うか、カリキュラムの中で他の教師が教えていることとどのように関連するかに関する知識を重視していない
    • Powerful knowledge:「生徒にとって価値ある知識とは何か」に焦点化
      • 社会的実在論:あるテーマや学問分野の概念的・理論的知識は、非理論的知識や日常的な経験とは区別される(このような概念的・理論的知識が「強力な知識」)←自然界や社会界、そしてそれがどうあるべきかという社会的な対話へのアクセスを提供するからパワフル
      • 学習者が何を知るべきかではなく、学習者が何ができるようになるかという観点からカリキュラムを規定する戦略はダメ、「学習者が何かを専門的にできるようになったとき、学習者が知らなければならないことは何か?」を問うべき
      • 生徒に教える知識は教師にとって「与えられたもの」と考えるべきではなく、むしろ教師によって積極的に選択され、提示され、配列されるもの→カリキュラムに含めるべき価値ある分野知識とは何か、なぜそうするのか、という点の重要性を強調する(なのに、学問的知識がカリキュラムに変換されるプロセスは注目されない)

  • 適応的知識(Adaptive expertise, Hatano & Inagaki 1984)
    • 適応的専門知識⇔日常的専門知識
      • 適応的な専門家=不慣れな状況でも比較的高いレベルで遂行できる
      • 日常的な専門家=慣れ親しんだタスクを高い有効性と効率性で遂行できる
      • 教職は揮発性の高い専門領域
      • 何を教えるべきか、なぜ教えるべきか、特定のトピックをどのように教えるべきかに関する知識は、教師の適応的専門知識にとって重要な抽象的知識の一種
    • 実践的知識:行動指向で、人や状況に縛られた暗黙知と定義(実践における教師の行動を導く知識を記述するために開発された)
      • 知識がどのように解釈され、統合されるかについては、生徒、教科、指導に関する信念が重要な役割を果たす
      • ある学問分野において何が価値ある知識とみなされるのか、またそれはなぜなのかについての教師の知識は、教育実践における教師の行動を導く知識基盤の一部と考えることができ、特に生徒に何を教えるかについての決定に関連する

  • FD実践の3側面
    • FD目的に、教員の専門的知識への接続という目的を明示的に含めることが重要(「教育学的内容知識」「強力な知識」「適応的専門知識」「実践的知識」の概念が目的の明確化に有用)
    • 教員の学習と開発に焦点を当てたFDデザインが必要
    • FDの組織化を検討すべき