竹中克久(2002)「組織文化論から組織シンボリズムへ」『社会学評論』53(2), 36-51
- 組織文化論と組織シンボリズム:同じ組織文化の理論なのにアプローチが違いすぎる
- 組織文化論:成員の基本的仮定としての組織文化(シャイン)→機能主義的 な見地から分析を始めるがゆえに、組織文化を成員によって共有された一枚岩的なものであることを自明視せざるをえない
- 組織シンボリズム:成員・非成員と問わず当事者による解釈の対象としての組織文化(ハッチ)→組織文化はシンボルのシステム→シンボルを駆使していかに組織文化を共有化するか・しないかというプロセスに関心を示す
- 組織シンボリズムの有効性は、従来の組織論が組織という現象を絶対的な合理性を有する存在であると自明視してきたことを相対化すること(組織の合理性・組織それ自体が、非合理でシンボル的な側面を有していることに言及)
- 組織文化とは何か:組織構成員によって内面化され共有化された価値・規範・信念のセット」(加護野 1988)
- 80年代より前の組織論=コンティンジェンシー理論(組織と環境は不可分)による従来組織観の刷新
- しかし現実は、組織は環境に適応して変動できない、なぜか?→ 組織内に非合理な要素があるから → 80年代の組織文化論へ(=組織文化論はコンティンジェンシー理論を補完するもの)
- 組織文化論=組織文化を環境の1変数ととらえ、リーダーが基本的な仮定のレベルの操作にいかに関与するかを考察する研究(文化の道具性・操作可能性)
- 組織シンボリズムのゆらぎ
- 機能主義者:シンボル=社会的秩序の維持装置 → シンボルの政治利用論
- 解釈主義者:シンボル=個人がシンボルを通して自らの世界を創造するのに不可欠なメディア → 当事者がいかにシンボルを駆使して組織文化を構築し解釈するか
- 両者の人工物に対する見方
- 組織文化論:基本的仮定を重視するため、人工物を軽視する傾向
- 組織シンボリズム:人工物レベルにシンボル的要素が入り、当事者は人工物を解釈する存在であるから、人工物のレベルをシンボルとして分析する
- 時計回りのプロセス
- 成員は基本的仮定で支持されるべき価値観(何が正しいとされているかという基準)を創出する。
- その価値観を、行為によって具現化することで人工物(神話・スローガン)を創出する。
- その人工物は、イメージを通してシンボル化されることでシンボル(意味を付与された人工物)となり、そのシンボルは解釈され続けることで、基本的仮定を意味づけるのに役立つ。
- 反時計回りのプロセス
- ある新しい価値観が外から持ち込まれたり、人工物が破壊されることで組織文化を変動させることもあれば、現行の組織文化を再強化したり維持する場合がある。
- このモデルは、基本的仮定が変動する際に、リーダーの介入だけでなく、フォロワーによるシンボルの再解釈でも起こる点が特徴(リーダーそのものやリーダーシップもシンボルとして分析する存在)。
- 「教育組織は正当性を確保するため、環境の中で承認された様々な儀式(伝統的に確立されたカリキュラムの提供、それにもとづく学位授与)を行わねばならない。これらは有意義な教育の実行を保証しない。事実、教育組織は、その中核的な教育・学習活動を外部の評価や成果責任から遮断するのに骨を折っている。効率性を脚色することが、実際の効率性を制限するにもかかわらず、それに大きな努力を傾ける。」
- 非合理でも構造を変化させることができないことを説明する方法:
- 従来の組織論:官僚制の逆機能、組織文化を変えることの難しさ
- 組織シンボリズム:組織外の観察・解釈に応えて、合理的であることを装飾しようとするため(官僚制の逆機能=意図せざる帰結⇔装飾=意図的な帰結)