舟津昌平(2019)「制度ロジック多元性下における組織のイノベーションマネジメント」『赤門マネジメント・レビュー』18(9), 117-146
- 新制度派組織論(Institutional theory)=制度概念を用いて組織を検討する理論的パースペクティブ
- 「組織が組織外部から影響を受ける」
- ↑元を辿ればコンティンジェンシー理論(=旧制度論)
- →新制度論=組織が制度の影響を受けて合理性や正当性を希求する
- →組織の同型化が注目される(没個性、非効率など非合理的同型化とさえ見られた)
- 問い:なぜ制度が同型化圧力を持つにも関わらず、一部は同型化しながら、組織は異なる行動を取るのか
- →個々の組織が与する制度的環境が異なるから
- 制度的環境の多元性を精緻化したい→制度ロジックの提唱
- 制度ロジック
- 個人と組織が物質的実存を再生産および時空間を組織化する基礎となる超組織的な活動のパターンであり、同時に、その活動のカテゴリ化および意味付与の基礎となる象徴システム(Friedland & Alford 1991)
- 社会的に構築される、個々人が物質性を(再)生産し、時間と空間を組織し、また社会的現実に意味を与える、物質的実践、過程、価値、信念、規則のパターン(Thornton & Ocasio 1999)
- ここで言う制度=「組織を取り巻く文化的環境」有形的で認識・参照可能なもの、つまり物質的側面と、無形的・暗黙的つまり象徴的側面の双方を含む定義
- 制度(マクロ)・組織(メゾ)・個人(ミクロ)の三つの分析単位を採用するのも特徴
- 超組織的なマクロ環境として「制度」の存在が想定されている
- さらにこの「制度」は有限個に分類することが可能と考える→「制度セクター」と名付けて分類
- 資本主義市場、官僚主義的国家、民主主義、核家族、キリスト教が特筆すべき制度セクター(Friedland & Alford 1991)
- →市場、企業、専門家、国家、家族・血族、宗教の6つに整理(Thornton 2004)
- (1)制度ロジック研究が前提とするマクロ単位の制度セクターは、少数の有限個に還元される
- (2)組織単位におけるメゾの制度ロジックは、マクロ単位の制度ロジックがときに混淆や分化をすることで構成される
- →複数の分析単位が使えることが制度ロジックの有用性
- ⇔ 制度論で制度変化が説明できない、社会化過剰の組織論(組織や個人の主体性を看過)
- →組織・個人の行為戦略を前提にしている
- 合理性概念(rationality):制度ロジック研究における行為者の(物質的)実践について検討するうえでの鍵概念
- 同型化概念:組織が正統性を獲得するために、ときに非効率性を受容してまで他の組織と同質的な形態をとる=組織が一律に(技術的)合理性に基づいて意思決定するという前提を揺さぶった
- 一方で、正統性を得るために非合理性を受容する「非合理的同型化」という二項対立の理解を作ってしまった
- マクロ単位における制度ロジックの変化が、組織や個人が没主体的に変化を受容したとするなら(=Thornton & Ocasio 1999やThornton 2004)、制度論における制度の入れ替えモデルや非合理的同型化などの理論課題を乗り越えたとは言えない
- →「制度ロジック多元性」:業界や組織といった単位において複数の制度ロジックが関与し影響を持っている状態
- 「組織レベルの精度ロジックは、マクロ単位における制度セクターに還元可能である」
- 理論の重要な前提であるのに、組織レベルの制度ロジックがどのような制度セクターを基に生成されているのかの研究がない
- 「制度ロジック多元性=複数の制度ロジックが存在する←なぜそれが組織によって異なるかという課題に答えてない」
- →中心性と両立性(Besharov & Smith 2014)
- 中心性:複数の制度ロジックが組織の機能に等しく有効となる・関連があると見なされる程度
- 両立性:複数の制度ロジックの実体化が組織の行動に合致・強化する程度

- 区分化戦略:多元な制度ロジックをドメインごとに切り分けることでコンフリクトを回避する戦略
- イノベーションのマネジメントでは、多元な制度ロジックの維持・両立が重要(イノベーションはコンフリクトから生まれる)
- 組織文化と制度ロジック
- 文化は多義的でその用法は文脈に依存する
- 組織文化=個々の組織における観念的・象徴的な意味のシステム(佐藤・山田 2004)
- 両者は適用の単位が違う
- 文化:抽象化の過程で、文化の源泉(=還元可能なカテゴリ)が軽視される
- 制度ロジック:制度セクターという各組織の制度ロジックが還元される源泉が明示される