2013/01/29

青木幹喜(2006)『エンパワーメント経営』中央経済社


  • エンパワーメントとは,本来,人間が持っているスキルや能力が発揮されること,および,発揮される場づくりである。
  • 本書では,エンパワーメントを,新しい戦略を創造しうる能力と考える。これは,リストラのように模倣が容易な競争力と異なるものである。
  • また,一般的な権限委譲に加え,やればできる(自己効力感・自己決定感)という心理的状態もエンパワーメントととらえる。
  • 組織能力は,トップ・ミドル・組織構造・組織文化などから構成されるが,関係性の中で定義される能力であるため,わかりにくい。
  • 組織能力は,個人が創造性を発揮する定性的能力(個人学習)と,創造性を発揮した結果をリンケージする能力(組織学習)で決まる。
  • エンパワーメントに関する混乱は,パワーを社会学的にとらえるか(社会的交換理論),心理学的にとらえるか(モチベーション)にある。
  • 促進要因が媒介変数を通じて成果に影響するモデルを考える。
    • 促進要因(独立変数)には,組織特性,トップ行動,ミドル行動,権限委譲,人事制度を取る。
    • 媒介変数には,サイコロジカル・エンパワーメントを取る。
    • 成果(結果変数)には,創造的学習,挑戦意欲の向上,能力発揮,創造性の発揮を取る。
  • 組織特性:現場歩き(貴社の社長は,経営方針・理念を浸透させるために,常日頃から現場歩きなどを行っていますか。貴社の社長は常日頃から現場歩きを行っていますか。),経営者特性(貴社の社長は,経営者としてどのような特性を備えていますか,管理者精神強⇔企業家精神強),危機感の醸成(貴社の社長は,日頃から現状に甘んじることなく高い目標を掲げ,社内に危機感を醸成していますか)
  • ミドル行動:上下・左右コミュニケーション(ミドルは日常的に上下のコミュニケ−ションやミドル同士の左右のコミュニケーションを積極的に働きかけていますか),経営方針の大枠提示・具体的目標(ミドルは従業員に対し,経営方針の大枠や個人が行うべき短期の具体的目標を示していますか),トップへの影響力(貴社のトップは,新製品開発のアイディアに関して,ミドルからの提案をどの程度重要視していますか。ミドルは経営方針の大枠の下でトップに企画案を提出し,戦略策定に影響を与えることが頻繁にありますか。ミドルは部下から上がってくるアイディアを評価し,その実現に向けて上司に積極的に働きかけていますか),部下からの情報重視(ミドルは部下から上がってくる市場や技術情報をどの程度重視していると思いますか)
  • 権限委譲:貴社の従業員は,仕事のやり方やスケジュールを自分自身でどの程度決めることができますか。(研究所研究員,営業部門,本社管理部門それぞれについて)
  • 人事制度:失敗評価(新しいことに挑戦して失敗した人を,従来通りやって並の成果を上げた人と比べてどのように評価しますか,低⇔高),能力開発の支援(貴社の能力開発制度は,同業他社と比べてどの程度充実していますか。現行業務内容に関連する能力開発への支援はどの程度行われていますか。現行業務に限定せず個人の潜在能力を高めるため,自己啓発型能力開発への支援はどの程度行われていますか。),人事評価結果の説明(人事評価の結果説明については,被評価者に対してどのような説明が行われていますか,十分時間を取る⇔あまり行われない),人事評価と報酬の結びつき(開発された能力について,その後の人事評価で何らかの処遇に結びついていますか)
  • サイコロジカル・エンパワーメント:全体感(給与や昇進のためでなく,仕事そのものが好きで熱心に働いている従業員が多いですか),自己効力感(自分の職務遂行能力に自信を持っている従業員は多いですか),有意味感(数値目標を除く貴社の経営方針・理念は,どのくらいの割合の従業員が理解していますか,一般職と管理職について。将来の事業の方向性は,どのくらいの割合の従業員が理解していますか,一般職とミドルについて)
  • 結果変数:挑戦意欲(従業員に習慣を打ち破り,新しいことに挑戦しようとする意識はどの程度備わっていますか,現状維持⇔挑戦的),能力発揮(貴社の従業員の能力は,入社以来,概ねどの程度高められていますか,またどの程度発揮されていますか,本社・研究所について,あまり発揮されない⇔十分発揮),創造性発揮(従業員は,有用かつオリジナリティのあるアイディアをどの程度生み出していますか,多いに⇔あまり)
  • これを,メーカー計800社弱に送り,回答者を対象企業に一任する。