ドナルド・ショーン(佐藤学・秋田喜代美訳)(2001)『専門家の知恵 反省的実践家は行為しながら考える』ゆみる出版
- 本書は、専門家(=医師、弁護士、教師、看護士、司書など)の思考・行動を考察するものである。著者によれば、専門家には技術的熟達者と反省的実践家の2つの専門家像があるという。技術的熟達者は、専門知識・科学技術を合理的に適用する実践者としての専門家を指す。反省的実践家とは、専門性が活動過程における知と省察それ自体にある専門家である。そして、その反省的実践家の知は、行為の中の知(knowing in action)、行為の中の省察(reflection in action)、状況との対話(conversation with situation)という3つの概念で捉えられる。行為の中の省察は、行為についての省察(reflection on action)=行為の後に立ち止まって振り返る思考とは異なる。
- 研究者の役割は実践者の役割と区別され、実践者の役割よりも優れたものとしがちである。高等な大学と低次の専門学校との適切な関係は分離と交換であり、専門家は実践上の問題を大学に与え、大学は新たな科学的知識を専門科に返す。専門家は、大学に入るのを認められない。
- しかし、こうした技術的合理性の観点からは、専門家の実践は問題の解決であるが、問題の設定は行われないか、その過程が無視されている。問題設定は、注意を向ける事柄を名付け(naming)、その事柄に注意を与える文脈に枠組みを与える(framing)を相互に行う過程を指す。